サタン道

フリマ命!の中年オバハン愚痴日記。

リリアン

2017-01-30 05:57:13 | Weblog
今日は父の会社のことを少し書こうと思います。






わたくしの父の会社は刺繍の手芸キットのメーカーで、父が二代目。



亡きおじいちゃんが考案し、会社を作りました。



父の代になってから 刺繍画のデザインを増やし、海外とも取引するように。






ウチの刺繍画は特殊で、糸にはリリアンを使います。



「リリアンってなに?」と思う方も多い事でしょう。



知っているのは昭和世代の女性なのかな。



わたくしが小学生の頃は手のひらほどの大きさの編み機が駄菓子屋とかで売られており、リリアンでひらすら編むのが流行ったんですけどね。







父の会社の刺繍は そのリリアンをほどいて特殊な針に入れ、生地にブスブスさして刺繍画に仕上げるもの。



リリアンは軽くひっはるとほどけ、さらに縮れた細い糸になるのですが、生地のほうも刺繍用に別注で織った生地なので、刺すだけで糸が抜けません。



なので糸を結ぶことなく刺せるので フランス刺繍などに比べて製作期間がやや短く仕上げることができます。



また縮れた糸の効果で 表面が盛り上がり、立体的な刺繍画になるのも特徴。



こんなもんをよく発明したよなぁ、とおじいちゃんに脱帽です。(わたくしが生まれる前に亡くなったので会ったことなし)







わたくしが小学校くらいの頃までは よく会社で遊んでいたので、200色はあろうかというリリアンに囲まれて育ちました。







自身が大学生〜社会人くらいの頃くらいは バブルでしたし会社の出荷量も多かったように思いますが、だんだん注文が少なくなり、従業員も減るように。



今ではわたくしも含め、ギリギリの人数で細々と経営しております。







手芸じたいの需要が減ったことに加え、材料を生産する工場がなくなってきたことを父から聞きました。



刺繍には木枠をや針を使用しますが、加工するにも 細かく面倒だったり、汚れを懸念して(メッキ加工など)断る工場が多くなったと。



なにより 働く職人の高齢化で 跡継ぎがいないことが問題になっています。




取引先は 注文が減り、いきなり倒産する会社も少なくありません。








刺繍に一番大事なリリアンですが、現在 日本製のリリアンを扱っているのはうちの会社のみ。



他は中国製です。



触ってみれば一目瞭然ですが、糸の太さや強さがかなり違い、日本製はしっかりしています。







この唯一日本製のリリアンは 長いおつきあいの京都の工場で染められたもの。







一時、リリアンを染めてくださる職人さんが病気になり、同じ時期に父が脳梗塞になったので、会社をたたむ危機になりました。







糸がなければ うちの会社はどうしようもないので、わたくしも覚悟を決めていたのですが、その後 職人さんも父も回復し、

「治ったから もうちょっとやる?」

と電話で会話しているのを聞いてウケました。(笑)




父は現在80歳ですし、癌でもあるので いつ会社をたたんでもおかしくない状況ですが、何十年も買い続けてくださっているリピーターの方がいらっしゃるので、「はい、やめます!とはできない」と。



材料を仕入れるには それなりの量を発注しなければならず、でも仕入れれば注文が少ないので負担になってしまう。




一度、取引先にうちの会社を買い取ってもらう話も出ましたが、採算がとれないことでなしとなりました。








父は ほぼ利益のない状態で会社を維持しています。








おじいちゃんが発明した刺繍、日本製のリリアン。。。できれば絶やしたくない想いですが、どうすることもできません。







それでも自分にできることを微力ながら頑張るつもりです。







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