戦前の治安維持法と同種の性格を持つ、特定秘密保護法を衆議院特別委員会で強行採決しました。今日の委員会は10時から審議がNHKにより中継報道されていました。最後の質問者が質問を終了した段階で、怒号が飛びかう中で、NHKによる中継は終了、その直後に委員会審議打ち切り動議、委員会採決となりました。与党、みんなの党などは事前打ち合わせが完全に出来あがっていた。また、そのような予定がNHK側にも伝わっていたと考えるのが普通の経過です。これだけ多くの国民、弁護士団体、マスコミ、ジャーナリスト、民主団体が反対、慎重な審議要求を打ち切っての暴挙は許せないものです。
25日行われた福島市での「公聴会」は聞きおきました。しかし、その公聴会での意見陳述は全く、委員会審議、法案への反映はされませんでした。されませんというよりは、当初より、アリバイ的に行ったとしか言いようのないスケジュールでした。何が、震災復興を最優先する(安倍の発言)。福島第一原発事故対応なくして日本の復興なし。―――このような口先だけの安倍、自公政権には政治的な批判、選挙による徹底した批判票を浴びせることが必要です。
二回の世界大戦を経験し、世界は国連を中心として、紛争は軍事的な対応ではなく、平和的、話し合いによる解決が基本となってきました。その動きに真っ向から挑戦するかの安倍、自公政権の復古主義的な軍国主義復活、法案の提出、強行採決は歴史の流れに逆らう、どす黒く、醜悪な政治意図をさらけ出しました。このような政権、自公政権が長続きすることは日本と東アジアにとって不幸そのものでしかありません。
<でたらめな安倍政権、自民、公明党の暴挙>
審議入りからわずか20日。特定秘密保護法案が26日午前、衆院国家安全保障特別委員会で怒号の中、可決された。前日の福島市での地方公聴会では、7人の参考人全員が法案に懸念を突きつけたばかり。各種世論調査でも反対や慎重審議を求める声が多数を占める中での与党による強行採決に、野党議員や識者からも批判の声が上がった。
◇民主議員「おかしいよ」「立法府の敗北だ」
午前11時10分すぎ、最後の質問者の玉城デニー氏(生活)が慎重審議を求めた。有権者から送られたファクスの束を右手で振り上げ「反対討論を許さないような言論封殺はいけない」と審議打ち切りをけん制。だが、その直後、額賀福志郎委員長(自民)は安倍晋三首相に退席を促したうえで、自民議員の審議打ち切り動議を取り上げた。
民主党議員らが委員長席に集まり「おかしいよ」などと抗議の声を上げるが、額賀委員長は淡々と「採決を行います」と発言。野党議員の怒号が飛び交う中、委員席の大半を占める自民、公明の与党と、みんなの党の議員は、自民党理事の岩屋毅氏の合図で黙って立ち上がり、法案はあっけなく可決された。
後藤祐一氏(民主)は2階の傍聴席に向かって「こんな与党に民主主義は任せられない」と叫んだ。民主党理事の大島敦氏も「これは行政府のスケジュールにのっとった審議だ。立法府の敗北だ」と語った。
強行採決の場から安倍首相を退席させた与党の対応について、福島瑞穂参院議員(社民)は「法案の責任者は森雅子担当相ではなく、安倍首相と(委員会に不在だった)菅義偉官房長官だ。2人が採決の場にいないのはおかしい」と痛烈に批判した。
傍聴席の市民からは「強行採決反対」「福島の声を無視するのか」などと怒声が飛び交い、衛視に退去させられる人も出るなど一時騒然となった。埼玉県の男性(78)は「国民の声が届かないひどい国会だ」と怒りをあらわにした。
委員会に先立って、国会内で朝の閣議後の記者会見に臨んだ白いジャケット姿の森担当相は「審議は十分尽くされた」と強調。「福島での公聴会の声をどう受け止めるのか」との記者の質問に答えずに立ち去った。
委員会では自民党の法制プロジェクトチーム座長の町村信孝氏が、新聞やテレビの連日の批判的な報道に対して「悪意の報道だ」と強い口調で決めつけた。安倍首相は「他の法案と比べはるかに時間を取っている」と強調したが、40時間あまりの審議時間を「30時間」と言い間違える場面もあった。
◇特定秘密保護法案の審議経緯
9月3日 自民党が特定秘密保護法案の概要を大筋で了承。政府は国民からの意見(パブリックコメント)募集を開始
9月17日 パブリックコメント締め切り。約9万件のうち77%が反対意見
10月17日 国民の知る権利などに「十分配慮」するとの規定を盛り込んだ法案の政府最終案決定
25日 安倍晋三内閣が法案を閣議決定し、国会に提出
11月7日 衆院国家安全保障特別委員会で審議入り
20日 与党がみんな、維新両党と法案修正合意
25日 同委が福島市で地方公聴会を開催
26日 同委で法案が与党側の強行採決で可決