今、問題になっている少子高齢化の根本の原因は三つあると思う。
一つは、まず若い人が家庭を持ち、子を設け、よりよい生活を目指すという人生価値観が崩壊していること。
二つ目は、年金問題を筆頭に、社会保障の先細りから、子育てに投資することへの不安。
三つ目は、女性の高学歴化、晩婚化。
昔は、男女とも二十歳を少し過ぎたくらいで結婚し、六畳一間のアパート生活から新婚の暮らしをスタートさせ、三、四人の子を設け、しかし明日は今日よりも確実に生活が良くなっているという希望があった。
世の中も今と比べて鷹揚で世知辛くなかった。
社会保障も削減よりも、充実にベクトルが向いていた。
それらの前提が、今の社会ですべて、崩壊したのである。
少子高齢化対策の政策も、これらの本質的原因を見据え、社会構造を根底から見直す必要があると思う。
弥縫策に陥らないで、世の中を、子供がたくさんいた古き良き時代に戻すことができないならできないなりに、新しい社会のヴィジョンを作るべきだと思う。
と、そんなことに全く関りのない、老人の戯言であった。
鍋焼きや赤子の泣く声寒星に 素閑
町工場鍋焼きに集う女工たち 素閑
鍋焼きやオリオンなるはどの星か 素閑
窓に立ち月に立山鍋焼きや 素閑
教師らの職員室の鍋焼きや 素閑
行列に微分式など鍋焼きや 素閑
初歌舞伎役者楽屋で鍋焼きや 素閑