【創作びより】

娘の作品を……


次女の用事で、夕方まで出かける。おかしなもので、推理・探偵のことばかり考えてると、道行く人がみんな犯人に見えてくる。高級なお店の前を通ると、ここで盗難事件が起きて…などと考えてしまう。ギラッとした目でショーウインドウを見つめるわたしは、かなりあやしい。
しかも、出先では、トイレから戻ると、次女が勝手にウロウロし始めたので、尾行までしてしまった。やばい…。かなり、危ない主婦だ。
その割に、たいした収穫もなく、家に帰る。帰るなり、長女が「これ、面白いわぁ」と本を手に駆け寄ってきた。ミステリーシリーズ、わたしはまだ2巻しか読んでないのに、娘はすでに4巻も読破していた。こんなんなって、あんなんなるねんでぇと、筋を話すところを見ると、相当面白いんだろう。
夕飯の仕度をしてると、突然、長女が「わたしもお話、書こう!」と、スケッチブックを開いて、何やら書き始めた。ピ、ピクンピクン。ああ、魔の手が伸びそうになってるのはなぜ……。娘が相談してくる。主人公の名前は、こういう漢字を使って、こうしようと思うんやけど。学校の名前は、こんなんでどうやろう。キッチンカウンターごしに娘の机があるんで、料理をしながら、答えを返す。け、けど、心がザワザワするのはなぜ……。
娘に「お風呂洗ってきてぇ」と頼むと、「はーい」と返事して、いつものように洗いに行ってくれた。い、今だっ! 娘がいないすきに、スケッチブックをのぞきに行く。タイトルを見る。『事けんはいつも学校で!』お、面白そうじゃーん!! 登場人物の名前も性格づけも書いている。うおー。娘が育ってる!(笑) キッチンにもどったけど、さっきより胸の鼓動が激しい。
お風呂から帰ってきた娘は、スケッチブックに顔がくっつきそうなほど、真剣に何かを書き始めた。もうわたしに相談してこない。そのかわり、書いては読み、読んでは書きを繰り返している。ものすごーく期待してるのはなぜ……。も、もし、彼女がすごーく面白そうなプロットを作ったら、わ、分けてもらおうか…。すっごく素直なわたしがつぶやくと、もう一人の自分が叱責する。なに言うてんねんな! 昨日、あきらめないとか、山を登るとか書いてたのは何なんや! 子供の力を頼るなんて、情けないにもほどがあるっ! 素直なわたしが言い返す。でもでも、子供の発想って、肩に力が入ってなくていいわよぉ。心の中で、押し問答。まさか娘は、母がサンマを焼きながら、自分の作品を狙ってるなんて、これっぽっちも思ってないだろう。
だけど、母は口が裂けても言うまいと思ってる。この公募の応募資格が高校生以上だということ……。や、やらしいなぁ! あきらめないでね、進めるとこまで進んでね…と、娘の後ろ姿を見ながら、祈るような気持ちになる。
「はぁ、18行も書けたわぁ」と晴れ晴れした顔で、伸びをする娘。一緒に食事をしながら、スケッチブックが気になる母。見せてと言って、断られると困るんで、機会を伺う。食事が終わって、娘がお風呂に入る。よっしゃ! 急いでスケッチブックに駆けよる。書きかけの作品を読む。っと……、こ、こ、これ、わたしのネタやないかいっ!! こないだ口で喋ってたアイデアをみごとにパクってる……。
♪パクり、パクられ、うりふたつぅ~。
なぜかパフィーのメロディーで歌ってしまった。
あー、今さらながら、よこしまな考えを抱いた自分がいやになる。どうかしてた……。特大反省。
この山はやっぱりコツコツ登るしかない。
めずらしく子供達が添い寝しなくても寝てくれたので、夜、気持ちをひきしめ、作品に向かった。

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