暖かな土曜日の午後、水墨画のお稽古に出かけた。今日は花を描いてみましょうか、と師匠はボケと菜の花を持ってきた。うーむ、ボケかあ。実は何度かスケッチしてみようかと思い、家の花瓶にもボケの枝をさしてあり、とげとげの枝の伸び方は面白いのだけれどなあと、敬遠していた花なのだ。
葉も小さいし、花も形だけ見ると梅みたいだし、つまりは描くのが面倒くさいからと、鑑賞するだけにしていた。ならば菜の花か。でもこれもちょっとなあと、仕方なくボケを鉛筆でスケッチしてから筆をとる。
最初から及び腰なものだから、うまくいくはずもなく、ならば師匠はどう描くのだろと挑発する。うーん、難しいよねと言いながらも、細部を省略しながらみごと描いてみせる。ち。と心で舌打ちし、それでもそうか、そこをそう描くか、と学ぶことは多い。
ボケ、実が瓜に似ているから「木瓜」と書いて「ボケ」と呼ぶらしいけれど、名前でとても損している。ボケだもんなあ。でもよおく観察するとつぼみのつき方、開きかけた花びら、なかなか色っぽいのだ。うまく描けなくてすまん、と上目づかいでため息をひとつ。
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