堺北民主商工会

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自治体と企業誘致~シャープ堺工場問題に寄せて~前編

2009年10月27日 10時50分54秒 | 堺の話
シャープの液晶工場が堺市に誘致された事は皆さんご存知の事と思います。このシャープ工場は堺の西のはずれ、臨海の埋め立て地域に誘致されました。堺の臨海部開発の歴史は古く、昭和32年から埋め立て計画が推進されてゆきました。この埋め立てにより八幡製鉄(現新日本製鉄)の進出に代表される重化学コンビナートが造成されましたが、その後の産業の衰退により広大な未利用地を残す状況に現在あります。
そんな中でのシャープ誘致成功に当時の大阪府知事である太田氏と堺市長である木原氏は共に手放しで賛辞を送り、地域発展の起爆剤になる事を強調し自らの手柄と胸を張りました。どちらもすでに首長の椅子に座っていない事は皮肉な話です。
さて、シャープ堺工場の誘致は、昨今激化しつつある自治体が補助金を出し、企業に来ていただくという形式の物でありますが、幾つもの問題を持っていますので順を追って書いていきたいと思います。

☆大阪府と堺市の補助金
この誘致にあたり大阪府は実に150億円もの補助金を支出しています。大阪府の拠出した費用も莫大ですが、堺市の支出はその比ではありません。堺市の支援策は固定資産税や都市計画税を8割減免し、10年間で240億円もの税金を軽減すると言うものです。大阪府以上の補助額です。しかし、元々シャープの工場の建設地は遊休地であり何ら税収には貢献していない土地でした。8割の税減免という事は残り2割が税収に入るのだから、全く何も無いよりは良いのではないか?という疑問を持たれる方も居られると思います。事実、堺市も当初「残りの2割でも約19億円の税収がある」としていました。しかし、2割分は確かに税収は増えるのですが、残りの8割の減税分は一度堺市に税収があったと見なされ、国から貰う地方交付税が大幅に減額されるのです。つまり自治体として総合的な収入は増収どころか大幅なマイナスになるというわけです。一年あたりで試算するとトータルの収支ではマイナス15億円となり、全く話になりません。 

来週に続く。  
事務局つ

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