すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

可能性は、危険と紙一重

2010-09-21 | 素老日誌

●2010.09.19.(リハビリ編 3日目)
  
今朝は起きたものの、
顔に元気がなく言葉もない。
目もすぐにつぶってしまう。

昨日は、とても調子がよかったので
皆さんがいるホールに行ってみよう、
外にも出てみよう、
体操もしてみよう、
とたくさんのことをした。

だから、疲れていても当然。

早朝から神奈川県の義姉が来てくれたのだが、
反応もかすかである。

見たところ入院中の状態に戻っているかのようだ。

今日のミキサー食も一歩進めると言うよりは、
むしろ一歩戻ってもいいかも・・・と、
初期のミキサー食を心がけた。

  
しかし、こんな状態から驚くべきことが2つも起こったのである。

 
一つは、左腕をおもむろに肘の高さまで上げたのである。

 
これまで指先がかすかに動くことはあっても、
それ以上動くところを見たことはなかった。

しかし、
リハビリの先生が「右手は動くかもしれない」
と言っていらしたと聞いていたので、あきらめてはいなかった。

しかし、これだけ動くのを目の当たりにすると、
驚きも感動的だ。

さて、もう一つ。
 
ご飯を食べ終わる頃、
グループホームの来客のお土産のはちみつ饅頭を私たちにも持ってきていただいた。私がひとつを割って、柔らかい「あんこ」だけを母にあげた。

次の瞬間、
母の手が蜂蜜饅頭にゆっくりと伸びたのだ!

えっ、それは、まずい!

止めようとする私を倉田さんが止めた。

「ちょっと様子を見てみよう。
のどにつまらせたら、ぼくがたたいてでも出させるから」。

私も思わず息を飲んで見守る。

すると、母は大きく口を開けて、
蜂蜜饅頭をパックリ!
そして・・・モグモグモグ・・・
ゆっくりと大きくしっかりと噛んでいる。
 そして、ゴックン。

おー!!

驚くことに、また母は大きな口をあけて頬張り、
2個も食べてしまったのだ。

そして、今度はゆっくりとコップに手を伸ばし、
ゴックン、ゴックンとコップ1杯をほとんど飲んでしまった。

人の可能性とは、わからないものだ。

そして、可能性は「危険と紙一重」のところに潜んでいるのだろう。

子育ても同じだ。
「あれもダメ、これもダメ」と
危険を事前に防いでいる陰につぶされている可能性が、
どれほどあるだろう。

冒険をしながら、「自分でできること」がふえていくのだ。

そんなことを痛感する日であった。

しかし、これだけ食べることができるとなると、
明日はどんな食事にしたものか・・・・?

コメント (1)
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