すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

色の移り変わる様こそ、美しい。

2022-09-27 | ノルウェーの自然
秋、葉の色の変化とは、
なんと美しいんだろう。

心からそう思っている自分に 
「私、少々学んだんだわ」
と思う今秋です。


初めて秋に、ここを訪れた時、
山の色を見て、こう思ったものです。

「紅葉とは言え、美しいとは言い難いな。
やっぱり、日本の紅葉が美しい」。


日本人は、鮮やかに紅葉したもみじを見に行き、
混ざり毛ない黄色に惹かれて、
銀杏並木を眺め歩きます。

誰もが認めるあの色を 
私はここに求めたのでしょう。

「十分綺麗だよ」と苦笑いする相方さん。

「なんか失礼なことを言っているな、私」
と思いつつ、その理由がはっきりしないままでした。

それが、ようやく今年、思い当たりました。

ここの山肌を覆うのは、
多くは
Bjørk(ダケカンバ)という木。

黄色になりますが、
茶色い斑点が出てきて、
決して澄んだ黄色にはなりません。

ある日、Bjørkの葉が一枚、たった一枚が黄色になる。
その日のうちに 数枚が色を変えていく。
朝になると、昨日より多くの葉が
一晩でころりと色を変えている。
緑と黄色のコントラストは一瞬。

低い位地に長くとどまる太陽は、
照らしたり、透かしたりと、
この色の変化をさらに演出してくれる。
折を見て
水面に写して倍量にするという技も使う。

その変わり様こそ、美しい。

紅葉狩りで、
この変わり様、この美しさを
想像したことがあっただろうか?

他の色の変わり様を見ていただろうか?

いかにも美しい、一瞬の色だけを見て、
美しいと感嘆していたのだなあ、私は。

一瞬であっても 変化の中でとらえる。 
どんな環境にあるのか、と推測する。


そんな視点も持たず、ただ比較していた。

それが、「失礼」と直感した理由だったのではないか。

まったく「人と人生」にも言えることだった。

毎年陽が惜しまれる、同じ季節、
それでも数年見続けて気づくことって、
あるものですねえ。

この変化を見届けたいと思う、9月の終わりです。



Prestvannet(プレスト湖)トロムソ島のてっぺんにある。
ここもBjørkに囲まれている。
20分後には、もう映ってはいませんでした。
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お義母さん、電話が取れるようになりました!!!

2022-09-20 | 日本とノルウェー
今日は、久しぶりに義母のお話です。

お義母さんは、手伝ってもらって、
量は少いですが、食べれています。
また週末は、家族がカフェに連れ出すのが、
恒例になっています。

さて、もう一つ大きな問題だったのが、
電話を受けられなくなったこと。
もちろん、かけることもできません。
つまり、携帯電話の「操作」が全くできなくなったのです。

毎日の電話は、
彼女の生きがい
と言ってもよいほど、大切。

そこで、私たちが、夜に行き、
義妹さんたちに電話をかけてもらってきました。

私たちもいろいろ工夫したのですが、
どうしても正しい場所を押すことができません。

ある日、義妹が言いました。

「昔の電話だったら、
 受話器を取るだけなのにね」

確かに。

携帯が普及して、
昔の電話回線は、もうノルウェーにはありません。

気づかなかったけど、
これは高齢者にとって大きな問題だったんだ。

うーん、他人ごとじゃない。
日本の電話回線、残しとかなければ。

なんて思っていたら、
義妹が見つけたんですねえ。

「固定電話風携帯電話」

こんなのあったんだあ!
(調べたら、日本にもありました)

先週、お義母さんの部屋に置きますと、
お義母さん、自分で受話器を取れました!!!


線なし、SIMカードのみ。
どこにでも置ける携帯です。

受話器を取る。

これは、しっかり身についているのですね。

本人もとっても満足、皆が大喜び。
これで、私たちの行く回数も減らせます。

「固定電話風携帯電話機さまさま」です。

先日、スマフォに替えたものの、
まだ使いこなせていない私。
携帯、スマフォが当たり前の現代。

私たちがもっと高齢になったとき、
どこまで身についているのでしょう?


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スーパーピンクが醸す夏の風情

2022-09-13 | 日本とノルウェー




今夏は、このタペストリーに、
ずっと心和ませてもらってきました。
お客様にも好評でした。

実はこれ、
単衣着物の紗の帯だったんです。

この春、故母の着物の整理を娘とし、
「私たちにはきついな、このピンク。
これはインテリアに使おう」
となったものです。

「いつでもいいからね」と
リメイクの得意な友人に預けたら、
なんと日本を発つ前に仕上げてくれたのです。

可愛いい!

想像以上で、軽くてコンパクト。
荷物が増えていくスーツケースに
ちゃっかり入れました。

「これ、ノルウェーの夏やん!」。

そう気づいたのは、トロムソに帰ってから。


ノルウェーの夏には、
gjeitrams(イェイトラムス)という
ピンクの花が群生します。

深く青い海岸沿いだと、より鮮やかで、
ドライブを楽しませてくれます。


ロフォテンの海沿いに咲くイェイトラムス

帯の青色は、
義父の故郷ロフォテンの翠がかった海を
思い出させてくれます。

帯柄のサクラソウのような花は、
こちらの夏に咲いていそうな花のイメージ。

ロフォテンの祖父母の遺品の
グラスも置いてみると・・・。

あらあ。

私の祖父母、父母、
相方さんの祖父母、義父が
あの世で優しく頷いてくれてる。

暖かかった夏に、
ますます温めてくれたタペストリー。

いよいよ今週は、秋ものと交替です。

ここの秋は、魔法でもかけるように
いつの間にか 
彩りを変えてしまいます。


2022,9,11.葉が色づいたイェイトラムス
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「結婚」とは違う「サンボーエル」って、なに?

2022-09-06 | 日本とノルウェー
先週末は、姪の結婚式に招待してもらい、
幸せに浸らせてもらってきました。

そこで、今日は、
ノルウェーでは、「結婚」とセットの
「サンボーエル」について、
お話ししようと思います。

「サンボーエル(Samboer)」とは?

私は一度結婚し離婚しましたが、
二回目に希望を持っていました。

「一緒に暮らしてみて、
この人となら一緒に暮らしていきたい。
そう思えたら、結婚しよう」と。

一緒に暮らしてみないとわからないことって、
ありますものね。

相方さんが日本に来るようになった頃、
彼は、私に聞きました。

「ノルウェーには、
 “サンボーエル”というものがあるけど、
日本はどうなの?」

「サンボーエル」とは、
「結婚」ではなく、
「一緒に暮らして生計を共にする二人の形」。

サンボーエルを日本語に充てるなら「同棲」。

しかし、大きな違いは、
「サンボーエル」はノルウェーで(たぶん北欧で)
誰もが認める形であり、
今や普通のこと。

サンボーエルを経て
結婚するケースが多いそうです。

中高年のカップルなどは、
「結婚」しないで
「サンボーエル」を選ぶとも聞きました。

「お試し結婚」
という意味だけではないからです。

サンボーエルの契約をきちんと結べば、
既製の法に守られた結婚より、
個人の現実に沿いやすい
という利点もあるのです。

「サンボーエル!
それは、私の望んでいたこと。
でも、日本では普通じゃないから、
いろいろ言う人もあるでしょう。
でも、周りの人がどう言うかはいいの。
真剣ならば
大事な、必要なプロセスだと、
私は思うから」。

というわけで、
私たちも「サンボーエル」の時期を経て、
結婚に至ったのです。

「サンボーエル」から
 「結婚しよう」と思うタイミング

これまで何組かのサンボーエルの話を聞きました。
子どもが大人になっていたりして、
「結婚してなかったんだ!」と
驚くこともあります。

「サンボーエル」と「結婚」は、
どう違うんだろう?

どのタイミングで、
結婚しようと決めるんだろう?

ずっと疑問に思っていましたが、
最近思うのです。

「結婚した方がいい」と思う時期が
社会的事情を含め、
それぞれのカップルに訪れるものなんだな、と。

人前で改めてする「誓い」

実は、昨日の姪も10数年のサンボーエル期に、
二児が授かり、長男は10才。
彼女自身は、新しい資格をとり、
仕事もがっつりしています。
一年前に結婚を決め、
今年は家も買いました。

姪から来たメール。

「家を買っちゃったので、
 結婚のお祝いは
 お金でお願いします(#^^#)」。

はっきりしているんです。(笑)

結婚式もパーティーもお金をかけず、
サンボーエル期にできた
人の輪で用意されていました。


前日、夜遅くまで飾り付けていたそうです。


名前が、焼いて書いてあるのに、びっくり!


姪本人と友人、二人の手作り。


グルテンフリー、ラクトーセフリーも4種。
すべて姪、夫(も!)、友人、家族の手作り!

すごいバイタリティー!
どっしりとしたものです。

これまでの時間が
力と自信になっているのでしょう。

それでも、誓いの場面では、
二人とも緊張した真剣な表情。

人前で結婚する、ということは
改めてする 
人生の大きな誓いなのですね。



今日の主役は、パパとママ

子どもたちの席には こんな配慮が。

特に印象的だったのが、
「誓うパパとママ」を
じっと見つめる子供たち。

いつもは、パパママにくっついて
やんちゃしているんですよ。

それが、「今日は、パパとママが主役」、
それを心得たようにお利口さん。
しかも、一日中です。

結婚式場で讃美歌集を渡そうと
ゲストを待ち構える子どもたち

すべてを温かく見守り
何気にフォローする、
おばあちゃん、おじいちゃん。

胸熱くなるし、
力分けてもらうよう。

結婚式、
やり直したい(笑)。
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