“コンチェルタンテ”という言葉、ご存知ですか?
先日、宮川彬良さんのインタビューの中で知りました。
「コンチェルタンテには『協力する、主張する』という意味がある。
双方が主張し合うことで、協力し合う。
言葉で主張し合うと、みんな冷静でいられない。
でも、音楽ならできるんだよ。
それが、僕の想いなんです」。
これに私は、ピン!ときました。
「大きな木」を大きな紙に描き終えたその子に
私は言いました。
「これから他の子も参加していくと、
あなたが思うような木にはならないよ。それでもいい?」
「うん、いいよ」。
逆に、
「この木、いやー!」と言う子がいました。
そこで、よく聞いていくと・・・
「ここに大きな川がほしいの!」
「そう。じゃあ、川を描こうよ。
今日は描く時間がないのなら、
『ここに川を描きたいから、他のもの描かんといて!』
って場所だけとっといたら?」
すると、その子は、
ほっとした様子で川のアウトラインだけ描いて帰りました。
その何日も後に彼女はひらめいたように
「川」に取りかかり、
他の人も参加しながら、
あの川ができていったのです。
「今週で終わりよー!」と作製にピリオドを打ったとき、
「川」の彼女は言いました。
「最初の頃は、この木がいややったけど、
なんか・・・もういやじゃなくなった」。
「自分で川を作っているうちに気持ちが変わってきたのかなあ?」
「うん、そうやと思う。」
「よかったなあ。
川ができて、木は前より素敵に見えるし、
いややっていう思いもなくなって・・・
自分の思ったことやってみて、よかったなあ」
少しお休みしていた「大きな木」の彼女は、
最終週・最終日に来て言いました。
「へえ~、こんなんになったんだ~。なんか面白い!」
そして、彼女は最後に川にカラフルな魚を泳がせました。
「人を否定してはいけない」
道徳的によく言われることです。
でも、自分の気持ちを大事にしないで、
「人を否定しない」を実行しようとすると、
「我慢」「抑圧」が伴い、どうもギクシャクする、
という体験はありませんか?
「木」と「川」の彼女たちは、
自分のやりたいことをしながら、
自分の思いと違うものを受け入れていきました。
そして、最終的には、
参加した全てによって、
素敵な調和が生まれたのです。
つまり、言葉でなく、
「自分の気持ちも大事にしながら、人を否定しない」を
体感的に自ずと学んでいったのではないかと思います。
これって、ささやかながら、
「コンチェルタンテ」と言えるのではないでしょうか?
S.L.S.すぎなで大事にしたいことの一つ
「折り合いをつける」とも重なります。
こういう体験と伝えるべき最小限の言葉。
もっと上手く教室で使っていきたいです~!