09.6.27.より
● 私がいないと何もできなくなる?
「わけがわからんようになってきた。
何したらええんやろ。
晴子ぉ~!教えてちょうだいか」。
私の母の口癖である。
「口癖」というのか、
そう言わざるをえない心境に陥りやすいということだろう。
「自分がしたいことしたらいいやないの」
「自分でも考えてみたら?」
いくら母に返しても、パニくってくるばかり。
そんな母を見ていたら、つい
「あれ、したら?」「これしてちょうだい」
と指示してしまうのだ。
することがわからないと
母は、すぐにベッドに横になって眠ってしまう。
こんなことしていたら、私がいなきゃ、何もできなくなってしまう。
ずっと横にいなくてはならなくなってしまうのではないだろうか・・・。
どうしたらいいんだろう?
そうは思っても、「指示をする」しかなかったのだ。
● だから、わけがわからなくなっていたんだ!
先日、母の心境を少し垣間見たような気がした。
「何か役に立つことをしよう。
何したら役に立つんやろう?」
そう思うと、わけがわからなくってきて、頭がおかしくなってくる。
「さあ、今日はデイサービスだ。何着ていこう?
前と違う服を着ていこう。
前は何を着ていったんやったかなあ? 」
ところが、前に来て行った服が思い出せない。
昨日の服も思い出せない。
そのうち頭が変になってくる。
そういうことらしいのだ。
認知症の特徴として、
「段取りができない」ということがある。
どういうことか、というと・・・
「服を着る順番がわからなくなる」
「次に何をする。その前に何をする」
ということを考える力が衰えてくるのだ。
母の「わけがわからんようになってくる」は、
そういうことだろうと、ひとくくりに解釈していた。
しかし、「段取り」とは別の「わからなさ」があったのだ。
「役に立ちたい」
「その日だけでなく服装で自分を演出する」
ということをずっと考えて、母は生きてきたんだ。
だから、わけがわからなくなるのだ。
なるほど~!と、私は妙に納得した。
そこで、ちょっと母への返答を変えてみることにした。
「今、何がしたいのか?」
「今、どうしたいのか?」
「今の自分」に気持ちを向けてもらうようにしてみよう。
その成果というのだろうか・・・
先日、母にちょっとした変化が起こった。
それについては、また明日書くことにしよう。