『悪戯好きの妖精たち』
秦寛博・文/平尾香・画/健部伸明・監修/新紀元社2003年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「フェアリーに会いたいですか--
ピクシーに会ったらどうしますか--
現実をフッと忘れて、幻想世界を散歩する。
愛すべき妖精たちの不思議な国へご案内いたします。」

よい人々、聖なる群……。下「」引用。
「最も妖精と親しいと評判のケルト人たちは、彼らのことを“よい人々(グッド・ピープル)”と呼びます。同じことをスコットランド方言ではシーりー・コートと呼び“聖なる一群”という意味です。」
スコットランド人は醜くゆがめた……。下「」引用。
「隣国のアイルランド人は「スコットランド人は、妖精たちをも、醜く残酷に歪めてしまった」などと言っています。」
アンシーリー・コート(たちの悪い妖精のこと)。下「」引用。
「こういったタチの悪い妖精のことは、アンシーリー・コートといいます。そしてわたしたちの人間界は、シーリー・コートとアンシーリー・コートのはざまにあります。だから妖精たちは、さかんに人間に干渉してきます。」
スパイ妖精。下「」引用。
「人間になりすましているスパイ妖精のことを、チェンジリングと呼びます。」
半妖精=出自不明の英雄。下「」引用。
「またあるものは、人間とのあいだに子供をなします。歴史や伝説に名を残してる、出自不明の英雄たちは、こういった半妖精であることがあります。」
フェアリー(愛らしい花の精)。下「」引用。
「『ピーター・パン』のティンカー・ベルのような姿をしたものは、フェアリーだけではありません。コーンウォールの中心とする。イギリス南西部にすむ妖精ピクシーのなかにも、ほぼぴったりの姿をしたものがいます。-略-」
ピクシー。下「」引用。
「コーンウォールの東隣、デヴォン地方のピクシーは、色白でほっそりとした美しい姿をしています。服を着ることがなく、薄い翅をつけています。ときには足音のしない靴を履いたり、虹色の紗(さや)などをまとったりしています。」
律義なピクシー。下「」引用。
「さてピクシーは、恩を受けたらきちんとお礼をしてくれる。律義な妖精です。そのぶんピクシーの親切にお礼をするのを忘れると、怒って報復してくるのです。
でも、もともと善良なピクシーは、最後には人間に幸運をもたらすようです。だから今日では、キノコに座ったかわいらしいピクシーのペンダントが、魔よけや幸運のお守りとして、コーンウォールの土産物屋などで売られています。」
ケット・シー=『長靴をはいた猫』の歩くネコは妖精だった。
ケット・シーと、シー。下「」引用。
「ケット・シーは動物妖精でしたが、単にシーといったら、人間によく似た姿の妖精です。シーは“塚の者”という意味で、妖精の国が塚の下にあることから、こう呼ぶようになりました。
彼らは人間同様の社会生活を営んでいて、愛し合ったり戦争をしたしています。-略-」
モラルもことなる……。下「」引用。
「「戦争や死も遊びなのか? なんて不謹慎な!」と、思う人もいるでしょう。妖精はもともと節操なしですし、モラルも人間とは異なっています。ある子供の死を予知した妖精は、棺おけを作る遊びをして茶化しました。いわゆる「禁じられた遊び」です。」
「エルフ・北欧の白き輝き」 下「」引用。
「エルフ(ELF)は、昔から妖精なのですが、J・R・R・トールキンの『指輪物語』によって、ぐんと知名度が上がりました。最近では、映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するレゴラスの、颯爽とした戦いぶりに魅了された人も多いはずです。」
「ハイエルフ・美しく高貴なエルフ」 下「」引用。
「現代のファンタジーには、ハイエルフと呼ばれる、他のエルフとは一線を画したものたちが登場します。日本で有名なところでは水野良の『ロードス島戦記』に登場するディードリットがあげられます。」
「アザラシの皮を纏った淑女・セルキー」 下「」引用。
「男女問わず人間として関係しているセルキーですから、-略-浮気症で困りものですが、それ以外の点でアザラシ妖精は、じつは友好的で平和主義の良き隣人です。妖精のなかでも、一番といっていいほどの善良さです。」
「ギリシアの乙女・ニンフ」 下「」引用。
「ニンフ(Nymphe)は英語読みで、本場のギリシアではニュンペーと発音する自然精霊の総称です。もともとの意味は“花嫁”または“若い娘”で、その名の通りみなを大変美しい女性の姿をしています。
妖精としては強力で、呪いや変身の魔法をよく使います。神のように崇められていて、生け贄などを捧げられることもあります。神との違いは、木や森、山、海、川というような依代が必要なことです。依代を遠く離れて繰らすことはできませし、依代が死んだり亡くなったりしてしまうと、 ニンフも死んでしまいます。」
「ドリュアス・木に宿る美しいニンフ」 下「」引用。
「ドリュアスは樹木を依代にするニンフです。ふつうは楢の木の精です。柏の木の精はハマドリュアス、トネリコの精はメリアと呼ばれることもあります。ハマドリュアスは、とくに木の結びつきが強くて、木と一体になっています。-略-」
蜜蜂によく刺される人……。下「」引用。
「蜜蜂によく刺されるという人は、木にイタズラしてドリュアスの機嫌を損ねているのかもしれません。心当たりがあるなら、お供えを持っていってよく謝っておくといいでしょう。ドリュアスは本質的には優しい妖精です~、きっと許してくれるはずです。」
「麗しき情熱の嵐・シルフィード」 下「」引用。
「シルフィードは、風の妖精シルクの女性形です。
シルフは、十六世紀にスイス出身のパラケラススという医師で錬金術師として有名な人物が著した『妖精の書』に書かれた精霊ジルフの英語読みです。火の精のサラマンダー、水のウンディーネ、土のノームと合わせて四大精霊といいます。男性形のシルフの場合でも外見はふつうの女性であるといいます。
精霊は姿こそ人間とよく似ているけれど、魂がありません。しかし人間と恋愛をして結ばれれば、魂が宿り、死後に天国に行くこともできるのです。」
「シェイクスピアの風の精・エアリアル」
「寝物語の人食い鬼・バグベア」 下「」引用。
「バグベアは、黒い毛むくじゃらの怪物です。人間に危害を加えたり、脅かしたりする精霊をゴブリンと呼びますが、バグベアもこの仲間とされています。遅くまで遊んでいる子供を見つけると、頭からムシャムシャと食べてしまうそうです。悪い子を脅かすということで、秋田県のナマハゲや青森県のモッコと似ています。」
「ザントマン・眠りを誘う小さな老父」 下「」引用。
「ザントマン(砂男)はドイツ出身の、眠りをもたらす妖精です。彼が魔法の砂を人の目のなかにかけると、その人はどうしようもない睡魔に襲われるのです。抵抗しようとすると、この眠りの精はどっかりとまぶたの上に座りこんで、無理やり目を閉じさせてしまいます。まぶたに座れるのですから、非常に小さいのです。」
「グレムリン・機械に憑かれたイタズラもの」 下「」引用。
「映画のグレムリンは妖精ではなく、地球外で作られたかわいらしい生物モグワイが変異したものでした。
妖精のグレムリンは、道具や機械に住み着きます。ふつう、とても小さな男の姿をしています。たまに可愛らしい女のグレムリンがいて、フィフィネラと呼ばれます。」
飛行機好きの妖精グレムリン。
「家事好きの茶色さん・ブラウニー」
「働き者の家憑き小人・ホブゴブリン」下「」引用。
「ホブゴブリンは、屋敷に憑く小さな妖精です。日本の家内安全をつかさどる妖怪・座敷童も、その仲間といっていいでしょう。変身が得意でイタズラ好きですが、手伝いもしてくれる親切な妖精なのです。ホブゴブリンでは名称が長いので、単にホブあるいはロブと呼ばれることもあります。」
「サンタクロースになった北欧の小人・ニス」 下「」引用。
「それもそのはず、じつはサンタクロースの正体は、北欧の妖精ニスのひとりなのです。
ニス(Nis)は北欧の家憑き妖精です。国よってはニッセ(Nisse)ともいいます。
背丈は人間の一歳児ほどで、顔は老人のうよです。瞳は琥珀色で、猫のようなひげがあります。-略-」
サンタクロースに。下「」引用。
「さて、ニスはどうしてサンタクロースになったのかをお話しましょう。
童話集で有名なグリム兄弟によれば、ドイツではニスのことを、ニクルス、ニコラウス、ニクラスなどと呼ぶそうです。これに聖人をあらわす聖がつけば聖ニコラウスになります。ちなみにサンタクロースは(Santa Claus)は、聖ニコラウスのオランダ語読みです。
サンタの赤い帽子ともじゃもじゃひげは、ニスに由来していたわけです。教会にもすんでいますから、キリスト教に改宗してもおかしくありませんが、聖者にまでなったのですから、大した妖精もいたものです。」
「黄金好きの匠・ドワーフ」
もくじ
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目次


秦寛博・文/平尾香・画/健部伸明・監修/新紀元社2003年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「フェアリーに会いたいですか--
ピクシーに会ったらどうしますか--
現実をフッと忘れて、幻想世界を散歩する。
愛すべき妖精たちの不思議な国へご案内いたします。」

よい人々、聖なる群……。下「」引用。
「最も妖精と親しいと評判のケルト人たちは、彼らのことを“よい人々(グッド・ピープル)”と呼びます。同じことをスコットランド方言ではシーりー・コートと呼び“聖なる一群”という意味です。」
スコットランド人は醜くゆがめた……。下「」引用。
「隣国のアイルランド人は「スコットランド人は、妖精たちをも、醜く残酷に歪めてしまった」などと言っています。」
アンシーリー・コート(たちの悪い妖精のこと)。下「」引用。
「こういったタチの悪い妖精のことは、アンシーリー・コートといいます。そしてわたしたちの人間界は、シーリー・コートとアンシーリー・コートのはざまにあります。だから妖精たちは、さかんに人間に干渉してきます。」
スパイ妖精。下「」引用。
「人間になりすましているスパイ妖精のことを、チェンジリングと呼びます。」
半妖精=出自不明の英雄。下「」引用。
「またあるものは、人間とのあいだに子供をなします。歴史や伝説に名を残してる、出自不明の英雄たちは、こういった半妖精であることがあります。」
フェアリー(愛らしい花の精)。下「」引用。
「『ピーター・パン』のティンカー・ベルのような姿をしたものは、フェアリーだけではありません。コーンウォールの中心とする。イギリス南西部にすむ妖精ピクシーのなかにも、ほぼぴったりの姿をしたものがいます。-略-」
ピクシー。下「」引用。
「コーンウォールの東隣、デヴォン地方のピクシーは、色白でほっそりとした美しい姿をしています。服を着ることがなく、薄い翅をつけています。ときには足音のしない靴を履いたり、虹色の紗(さや)などをまとったりしています。」
律義なピクシー。下「」引用。
「さてピクシーは、恩を受けたらきちんとお礼をしてくれる。律義な妖精です。そのぶんピクシーの親切にお礼をするのを忘れると、怒って報復してくるのです。
でも、もともと善良なピクシーは、最後には人間に幸運をもたらすようです。だから今日では、キノコに座ったかわいらしいピクシーのペンダントが、魔よけや幸運のお守りとして、コーンウォールの土産物屋などで売られています。」
ケット・シー=『長靴をはいた猫』の歩くネコは妖精だった。
ケット・シーと、シー。下「」引用。
「ケット・シーは動物妖精でしたが、単にシーといったら、人間によく似た姿の妖精です。シーは“塚の者”という意味で、妖精の国が塚の下にあることから、こう呼ぶようになりました。
彼らは人間同様の社会生活を営んでいて、愛し合ったり戦争をしたしています。-略-」
モラルもことなる……。下「」引用。
「「戦争や死も遊びなのか? なんて不謹慎な!」と、思う人もいるでしょう。妖精はもともと節操なしですし、モラルも人間とは異なっています。ある子供の死を予知した妖精は、棺おけを作る遊びをして茶化しました。いわゆる「禁じられた遊び」です。」
「エルフ・北欧の白き輝き」 下「」引用。
「エルフ(ELF)は、昔から妖精なのですが、J・R・R・トールキンの『指輪物語』によって、ぐんと知名度が上がりました。最近では、映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するレゴラスの、颯爽とした戦いぶりに魅了された人も多いはずです。」
「ハイエルフ・美しく高貴なエルフ」 下「」引用。
「現代のファンタジーには、ハイエルフと呼ばれる、他のエルフとは一線を画したものたちが登場します。日本で有名なところでは水野良の『ロードス島戦記』に登場するディードリットがあげられます。」
「アザラシの皮を纏った淑女・セルキー」 下「」引用。
「男女問わず人間として関係しているセルキーですから、-略-浮気症で困りものですが、それ以外の点でアザラシ妖精は、じつは友好的で平和主義の良き隣人です。妖精のなかでも、一番といっていいほどの善良さです。」
「ギリシアの乙女・ニンフ」 下「」引用。
「ニンフ(Nymphe)は英語読みで、本場のギリシアではニュンペーと発音する自然精霊の総称です。もともとの意味は“花嫁”または“若い娘”で、その名の通りみなを大変美しい女性の姿をしています。
妖精としては強力で、呪いや変身の魔法をよく使います。神のように崇められていて、生け贄などを捧げられることもあります。神との違いは、木や森、山、海、川というような依代が必要なことです。依代を遠く離れて繰らすことはできませし、依代が死んだり亡くなったりしてしまうと、 ニンフも死んでしまいます。」
「ドリュアス・木に宿る美しいニンフ」 下「」引用。
「ドリュアスは樹木を依代にするニンフです。ふつうは楢の木の精です。柏の木の精はハマドリュアス、トネリコの精はメリアと呼ばれることもあります。ハマドリュアスは、とくに木の結びつきが強くて、木と一体になっています。-略-」
蜜蜂によく刺される人……。下「」引用。
「蜜蜂によく刺されるという人は、木にイタズラしてドリュアスの機嫌を損ねているのかもしれません。心当たりがあるなら、お供えを持っていってよく謝っておくといいでしょう。ドリュアスは本質的には優しい妖精です~、きっと許してくれるはずです。」
「麗しき情熱の嵐・シルフィード」 下「」引用。
「シルフィードは、風の妖精シルクの女性形です。
シルフは、十六世紀にスイス出身のパラケラススという医師で錬金術師として有名な人物が著した『妖精の書』に書かれた精霊ジルフの英語読みです。火の精のサラマンダー、水のウンディーネ、土のノームと合わせて四大精霊といいます。男性形のシルフの場合でも外見はふつうの女性であるといいます。
精霊は姿こそ人間とよく似ているけれど、魂がありません。しかし人間と恋愛をして結ばれれば、魂が宿り、死後に天国に行くこともできるのです。」
「シェイクスピアの風の精・エアリアル」
「寝物語の人食い鬼・バグベア」 下「」引用。
「バグベアは、黒い毛むくじゃらの怪物です。人間に危害を加えたり、脅かしたりする精霊をゴブリンと呼びますが、バグベアもこの仲間とされています。遅くまで遊んでいる子供を見つけると、頭からムシャムシャと食べてしまうそうです。悪い子を脅かすということで、秋田県のナマハゲや青森県のモッコと似ています。」
「ザントマン・眠りを誘う小さな老父」 下「」引用。
「ザントマン(砂男)はドイツ出身の、眠りをもたらす妖精です。彼が魔法の砂を人の目のなかにかけると、その人はどうしようもない睡魔に襲われるのです。抵抗しようとすると、この眠りの精はどっかりとまぶたの上に座りこんで、無理やり目を閉じさせてしまいます。まぶたに座れるのですから、非常に小さいのです。」
「グレムリン・機械に憑かれたイタズラもの」 下「」引用。
「映画のグレムリンは妖精ではなく、地球外で作られたかわいらしい生物モグワイが変異したものでした。
妖精のグレムリンは、道具や機械に住み着きます。ふつう、とても小さな男の姿をしています。たまに可愛らしい女のグレムリンがいて、フィフィネラと呼ばれます。」
飛行機好きの妖精グレムリン。
「家事好きの茶色さん・ブラウニー」
「働き者の家憑き小人・ホブゴブリン」下「」引用。
「ホブゴブリンは、屋敷に憑く小さな妖精です。日本の家内安全をつかさどる妖怪・座敷童も、その仲間といっていいでしょう。変身が得意でイタズラ好きですが、手伝いもしてくれる親切な妖精なのです。ホブゴブリンでは名称が長いので、単にホブあるいはロブと呼ばれることもあります。」
「サンタクロースになった北欧の小人・ニス」 下「」引用。
「それもそのはず、じつはサンタクロースの正体は、北欧の妖精ニスのひとりなのです。
ニス(Nis)は北欧の家憑き妖精です。国よってはニッセ(Nisse)ともいいます。
背丈は人間の一歳児ほどで、顔は老人のうよです。瞳は琥珀色で、猫のようなひげがあります。-略-」
サンタクロースに。下「」引用。
「さて、ニスはどうしてサンタクロースになったのかをお話しましょう。
童話集で有名なグリム兄弟によれば、ドイツではニスのことを、ニクルス、ニコラウス、ニクラスなどと呼ぶそうです。これに聖人をあらわす聖がつけば聖ニコラウスになります。ちなみにサンタクロースは(Santa Claus)は、聖ニコラウスのオランダ語読みです。
サンタの赤い帽子ともじゃもじゃひげは、ニスに由来していたわけです。教会にもすんでいますから、キリスト教に改宗してもおかしくありませんが、聖者にまでなったのですから、大した妖精もいたものです。」
「黄金好きの匠・ドワーフ」




