磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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D048.王様だあァー!

2005年11月05日 | 【小説】 レインボー...
IV.むらさき色の部屋(虹の世界)

D048.王様だあァー!





 何度も男はそう言うので、ユリカは言いたくなかったけれど
「もしかしたら……、王様」
 と質問した。

 ユリカがそう言うと、やおら、多くの人が出て来た。
 トロンボーンをかついだ男の人、そのまわりには、さまざまなホーンを演奏している男の人がいた。

 バイオリンをあごにつけて、歩きつらそうに、でも、とっても、すました顔をして、演奏している長いドレスをきた女性が五人ならんで歩いていた。

 その反対からも、五人の女の人がバイオリンを演奏しながら歩いてきた。ピアノは飾られた荷馬車にのせられてやってきた。フルートを吹く人たちがそのまわりを歩いて来た。

 明らかに、みんなは、王様のために音楽を演奏しているのだった。ユリカは、これはチャイコフスキーが作曲したバレエの組曲の『くるみ割り人形』の中の“花のワルツ”という曲じゃないかしらと思った。

 ききほれているユリカの顔を見て、王様は、
「あはは、わたしは王様だ。きみの言うとおりだ。どうだね、ここの庭の優雅さ、すごさ、みごとさ、あのテーブルはロココ調という、すばらしく豪華なものだ」

 むらさき色のリンゴ、むらさき色のバナナ、むらさき色のパイナップル、豪華なテーブルと椅子を召使たちが運んで来た。色々なものがあるけど、色は一色だけだった。

 賑やかに、庭にある大きな池の噴水も音楽にあわせて、水しぶきをあげていた。まるで、水が優雅にバレエを踊っているようだった。

 王様は「あははは、わたしは王様だ。あははは。王様とは、国民みんなの父親みたいなものだ。あははは」と、やさしそうな顔で笑っていた。

「王様といっても、お名前があると思います」
 とユリカは質問した。

「あるあるとも、私の名前は王様じゃ」

「えっ」ユリカは聞き直した。
「つまり、名前も王様じゃ」

「王様の名前が王様なのね」
「そうだとも、じつに王の中の王とは私のことだ」

「そうですか、それはそれは」
 ユリカは何を言っていいかわからなかった。駄洒落なのだろうから、笑ってあげた方が王様にはよかったのかしらとも思う。

「わが国は素晴らしい。素晴らしくって、世界一、いや宇宙一じゃぞ」
「そうですか、王様」

「そうですか、執事! バトラー」
 そばにいた口髭の両端がぴょこんと天井をむいている背の高いやせた男にたずねた。彼はどうやら執事で名前をバトラーというみたいである。

「そうですとも、王様」
「そうなんですか?」
 ユリカはそんなふうには思えなかった。

「この小娘は、私のことを疑っておるぞ、執事、どうにかしたまえ!」
「どうにかって?」

「この国を見せてあげなさい。この国の素晴らしさ、この国の豊かさを見せてあげなさい」
「はい、かしこまりました」
 執事につれられて、ユリカはお城の中を歩く。

「これが、宝石でちりばめられた絵です。高価なものです」
「そうですか」

「これは、金でできた椅子です。とても高価なものです」
 執事はお城の宝物を見学させてくれた。

 そして、最後に「この国は豊かでしょう」きつい目でユリカをにらみつめていた。

「そうですか? あの国というのはお城のことではないのでは?」
「何を言いたいのじゃ、小娘?」

 そこに王様が踊りながらやってきた。その後に演奏をする人たちが、ふらふらになってついてきた。
「どうじゃ、私の国は素敵だろう」

「国は見せてもらってません」

「何? 執事、国を見せろと、わらわは言ったではないか」
「見せましたが、この小娘、奇妙なことをいうのです」

「奇妙なこと、いかに申したか」
「国を見せてもらってませんというのだ」

「国を、どういうことじゃ」
「国とは国民がいるものだと思います」
 ユリカは、はっきりと述べた。





閑話休題

昨日ラジオで外国人が、
「オーガニック製品は環境にもやさしいんです。
農薬はすごくエネルギーを使用しています。
ですから、私のシャツはオーガニック、
靴もオーガニック、環境にやさしいです」
と、自慢話をしていました。

人手がかかるから、エネルギーを使うんではないようです。
人間はかなり激しい運動をしても、熱の力を利用してタービンを
まわすようなメカニズムではないから、
そんなに酸素をつかうわけでもいない。

農業の20%のエネルギー消費は農薬だそうです。
農薬を作り出すのには、エネルギーがたくさん必要らしてです。

農薬は使うだけでも環境破壊につながる場合もある。
オーガニックいいですね。

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ドイツのようにメタンガスでエネルギーを考えるなら、
ますます農業に未来はありますよね。
これにはバイオテクノロジーの研究が不可欠だそうです。





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