『見えない恐怖-放射線内部被曝-』
松井英介・著/旬報社2011年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「なぜ「内部被曝」は危険なのでしょうか
からだの中に入り込んだ放射性物質が引き起こすがんや白血病
被曝のしくみや健康への影響を正しく知って適切な対応を」
意識しないことも……【晩発障害】 下「」引用。
「そして、もうひとつ困ったことは、身体の中に入ってきた放射性物質による内部被曝による病気は、何年も経って忘れたころに出てくるとです。これを晩発障害といいますが、自分の病気が放射線の影響によるものだということを意識しないことだってめずらしくないのです。それをよいことに、今回の福島原発事故に際しても、原因企業、日本政府、学者そしてマスメディアは、こぞって内部被曝と晩発障害を無視した対応に終始しています。」
【ホールボディーカウンター】で検出できるのは……。下「」引用。
「ただし、「ホールボディーカウンター」で検出できるのは、身体の中から出てくるガンマ線だけで、ベータ線やアルファ線は含まれていないので、身体の局所の被曝線量はずっと高いことを知っていることも大切です。」
胎児や小さな子供に……。下「」引用。
「放射線は胎児や小さな子どもにより大きな影響を及ぼします。胎児や小さな子どもは、細胞分裂の速度が速く、代謝もおとなよりははるかに活発です。発達中の細胞ほど放射線による損傷を受けやすく、損傷を受けやすく、損傷を受けた遺伝子が修復されないまま増え続けるとがん細胞に変化していくおそれもあります。-略-」
国際会議には日本からの参加者なし。下「」引用。
「二○一一年四月六日から八日までベルリンで、チェルノブイリ二五周年記念の国際会議が開かれました。主催者には、放射線による内部被曝がもたらす健康障害を重視するヨーロッパ放射線リスク委員会(ECCR、第2章の2参照)も加わっていました。今回の日本の事故直後でしたが、残念ながら私も含めて日本からの参加者はなく、日本人としての出席者はベルリン在住のジャーナリストである梶村太一郎さんだけだったようです。被害の大きかったウクライナやベラルーシからの報告をはじめ、詳しいプログラムと発表内容は、次のウェブサイトから読むことができます。-略-」
人間の身体は……。下「」引用。
「たとえば、人間の身体は七割-子どもだと八割--が水です。放射線が身体を透過したときに、水の分子が水素イオンと水酸基イオンに分解されます。これを「イオン化」といいます。」
菅首相と非核三原則。下「」引用。
「二○一○年八月、菅首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が、国是である「核兵器をもたず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則のうち「持ち込ませず」を見直す提言をまとめました。-略-」
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「クリアランス制度」 下「」引用。
「原子力発電にとって放射性廃棄物は避けて通ることができない問題です。そして放射性廃棄物の処理は、「スソ切り問題」=「クリアランス制度」と一体として考える必要があるでしょう。」
「スソ切り問題」 下「」引用。
「「スソキリ」の最大の問題は、安全性の評価です。一○○分の一ミリシーベルト(○・○一ミリシーベルト)以下であれば安全かというと、そうではありません。放射能にはこれ以下ならば安全であるという値は存在しないのです。この「スソキリ」問題をめぐって、「放射性廃棄物スソ切り問題連絡会」が二○○二年に発足しました。その設立シンポジウムで埼玉大学名誉教授(遺伝学)の市川定夫さんが「放射性廃棄物『スソ切り』の本質と問題点」という記念講演を行いました。そのなかで内部被曝にもふれていて、身体の「内部に入ってきたものは微量だからいいということではありません。どんなに微量でも、人体に対しては毒です。健康障害の原因として働きます」と話されています。」
肥田舜太郎軍医。下「」引用。
「広島・長崎の被爆者の内部被曝の問題と最初に向き合ったのは、肥田舜太郎医師です。当時、肥田さんは陸軍の軍医でしたが、原爆投下の前の日に、たまたま広島を離れて戸坂村に往診に出かけ、そのまま泊まったため直撃を免れました。この戸板村には、のちの救護所を作ることになります。肥田さんは原爆投下直後、急いで広島に取って返し、被害者の治療に当たります。ですから、肥田さん自身も内部被曝の被害者です。-略-」
入市被曝者、今も苦しむ。下「」引用。
「原爆投下から六五年、広島にも長崎にも、たくさんの入市被曝の人たちがいて、その人たちは、今なお、二○一○年三月現在で、原爆症と認定された被爆者は六四○○人です。被爆者手帳を持っている人は二二万八○○○人ほどいますが、原爆症と認定されている人は、その三%にも満たない状態です。」
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「「劣化」ウラン弾」のすさまじい被害が掲載されています。
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モザナイト。下「」引用。
「皆さんはモザナイトという物質をご存知でしょうか。ラドン温泉、トロン温泉などとして温泉で使われています。日本では、このモザナイトは取れないので、すべて外国からの輸入です。モザナイトは非常に高濃度のトリウムを含んでいます。」
「カレン・シルクウッド裁判でのジョン・ゴフマンとカール・モーガンの証言」 下「」引用。
「一九四三年世界で初めてプルトニウム(Pu)の分離に成功したジョン・ゴフマン(John. W. Gofman)。ICRPの内部被曝に関する委員会の委員長を務めたカール・Z・モーガン(Karl Z. Morgan)とともに、ゴフマンが一九七九年カレン・シルクウッド(Karen Silkwood)裁判で行った証言を以下に要約する。-略-」
プルトニウムの危険性を訴える証言台のゴフマン。下「」引用。
「-略-プルトニウム239が肺に吸入された時、何がおこるのか。微小弾丸であるアルファ粒子が一分間に二○○○回出てくる。一個あたり五ミリオン・エレクトロン・ボルトのエネルギーを放出しながらである。これは現実離れした発射物である。肺中のアルファ粒子は、炭素を燃やすことによって得られるエネルギーの二五○万倍のエネルギーで肺の細胞に正確に命中する。
彼は、一グラムの人間の組織には一億から一○億の細胞があること、すべての細胞は適切に機能するように連携していること、すべての細胞は指令ライブラリーをもっており、その情報量は何冊もの本に匹敵するものであることを、陪審員に説明した。さらに、アルファ粒子は細胞に入り込み、細胞内の情報を徹底的に破壊する。細胞情報に関する指令書がひとたび破壊されると、新しい細胞とがん細胞とが一緒に形成される。するとがん細胞は自らの法則で増殖するようになることを述べた。」
生殖細胞と『許容』、ゴフマン。下「」引用。
「また、プルトニウムは血中に入り、ときには卵巣や睾丸に沈着する。卵巣あるいは睾丸のいずれかがプルトニウムのアルファ線によって砲撃されると、欠陥精子あるいは卵子ができる。受精した卵子は、ときとして、生れながらにして一つあるいは何百種もの欠陥をもった生体を作るのに十分な誤った情報を有していることを明らかにした。
またゴフマンは、許容という考え方について、次のように述べた。
「『許容』という用語を使わないようにすべきである。理由は、許容という用語は、労働者に安全であると思わせるように誤用されてきているからである」」
プルトニウムが危険だということは知られていた。下「」引用。
「そして、「彼らは七○年(カレンの死の四年前)にアルファ線が非常に危険なものであることを十分知っていたのですか」との問いに、モーガンは「はい、この事実を示す何千冊もの出版物が存在していましたから」と応えている。」
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矢ヶ崎克馬、ICRP基準を批判。下「」引用。
「「アメリカは核兵器の放射性物質がもたらす残虐さを隠し、『破壊力は大きいが、放射線被曝で長期に人を苦しめることはない』という核兵器の虚像を仕立てようとしました。また、(中略)商業原子炉を、地球社会に押し付けるために内部被曝を見えないものにする必要がありました」(『隠された被曝』二○一○年、新日本出版社、一五~一六頁)。」
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「放射線誘導遺伝的不安定性とミニサテライト配列」
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目 次
松井英介・著/旬報社2011年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「なぜ「内部被曝」は危険なのでしょうか
からだの中に入り込んだ放射性物質が引き起こすがんや白血病
被曝のしくみや健康への影響を正しく知って適切な対応を」
意識しないことも……【晩発障害】 下「」引用。
「そして、もうひとつ困ったことは、身体の中に入ってきた放射性物質による内部被曝による病気は、何年も経って忘れたころに出てくるとです。これを晩発障害といいますが、自分の病気が放射線の影響によるものだということを意識しないことだってめずらしくないのです。それをよいことに、今回の福島原発事故に際しても、原因企業、日本政府、学者そしてマスメディアは、こぞって内部被曝と晩発障害を無視した対応に終始しています。」
【ホールボディーカウンター】で検出できるのは……。下「」引用。
「ただし、「ホールボディーカウンター」で検出できるのは、身体の中から出てくるガンマ線だけで、ベータ線やアルファ線は含まれていないので、身体の局所の被曝線量はずっと高いことを知っていることも大切です。」
胎児や小さな子供に……。下「」引用。
「放射線は胎児や小さな子どもにより大きな影響を及ぼします。胎児や小さな子どもは、細胞分裂の速度が速く、代謝もおとなよりははるかに活発です。発達中の細胞ほど放射線による損傷を受けやすく、損傷を受けやすく、損傷を受けた遺伝子が修復されないまま増え続けるとがん細胞に変化していくおそれもあります。-略-」
国際会議には日本からの参加者なし。下「」引用。
「二○一一年四月六日から八日までベルリンで、チェルノブイリ二五周年記念の国際会議が開かれました。主催者には、放射線による内部被曝がもたらす健康障害を重視するヨーロッパ放射線リスク委員会(ECCR、第2章の2参照)も加わっていました。今回の日本の事故直後でしたが、残念ながら私も含めて日本からの参加者はなく、日本人としての出席者はベルリン在住のジャーナリストである梶村太一郎さんだけだったようです。被害の大きかったウクライナやベラルーシからの報告をはじめ、詳しいプログラムと発表内容は、次のウェブサイトから読むことができます。-略-」
人間の身体は……。下「」引用。
「たとえば、人間の身体は七割-子どもだと八割--が水です。放射線が身体を透過したときに、水の分子が水素イオンと水酸基イオンに分解されます。これを「イオン化」といいます。」
菅首相と非核三原則。下「」引用。
「二○一○年八月、菅首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が、国是である「核兵器をもたず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則のうち「持ち込ませず」を見直す提言をまとめました。-略-」
index
「クリアランス制度」 下「」引用。
「原子力発電にとって放射性廃棄物は避けて通ることができない問題です。そして放射性廃棄物の処理は、「スソ切り問題」=「クリアランス制度」と一体として考える必要があるでしょう。」
「スソ切り問題」 下「」引用。
「「スソキリ」の最大の問題は、安全性の評価です。一○○分の一ミリシーベルト(○・○一ミリシーベルト)以下であれば安全かというと、そうではありません。放射能にはこれ以下ならば安全であるという値は存在しないのです。この「スソキリ」問題をめぐって、「放射性廃棄物スソ切り問題連絡会」が二○○二年に発足しました。その設立シンポジウムで埼玉大学名誉教授(遺伝学)の市川定夫さんが「放射性廃棄物『スソ切り』の本質と問題点」という記念講演を行いました。そのなかで内部被曝にもふれていて、身体の「内部に入ってきたものは微量だからいいということではありません。どんなに微量でも、人体に対しては毒です。健康障害の原因として働きます」と話されています。」
肥田舜太郎軍医。下「」引用。
「広島・長崎の被爆者の内部被曝の問題と最初に向き合ったのは、肥田舜太郎医師です。当時、肥田さんは陸軍の軍医でしたが、原爆投下の前の日に、たまたま広島を離れて戸坂村に往診に出かけ、そのまま泊まったため直撃を免れました。この戸板村には、のちの救護所を作ることになります。肥田さんは原爆投下直後、急いで広島に取って返し、被害者の治療に当たります。ですから、肥田さん自身も内部被曝の被害者です。-略-」
入市被曝者、今も苦しむ。下「」引用。
「原爆投下から六五年、広島にも長崎にも、たくさんの入市被曝の人たちがいて、その人たちは、今なお、二○一○年三月現在で、原爆症と認定された被爆者は六四○○人です。被爆者手帳を持っている人は二二万八○○○人ほどいますが、原爆症と認定されている人は、その三%にも満たない状態です。」
index
「「劣化」ウラン弾」のすさまじい被害が掲載されています。
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モザナイト。下「」引用。
「皆さんはモザナイトという物質をご存知でしょうか。ラドン温泉、トロン温泉などとして温泉で使われています。日本では、このモザナイトは取れないので、すべて外国からの輸入です。モザナイトは非常に高濃度のトリウムを含んでいます。」
「カレン・シルクウッド裁判でのジョン・ゴフマンとカール・モーガンの証言」 下「」引用。
「一九四三年世界で初めてプルトニウム(Pu)の分離に成功したジョン・ゴフマン(John. W. Gofman)。ICRPの内部被曝に関する委員会の委員長を務めたカール・Z・モーガン(Karl Z. Morgan)とともに、ゴフマンが一九七九年カレン・シルクウッド(Karen Silkwood)裁判で行った証言を以下に要約する。-略-」
プルトニウムの危険性を訴える証言台のゴフマン。下「」引用。
「-略-プルトニウム239が肺に吸入された時、何がおこるのか。微小弾丸であるアルファ粒子が一分間に二○○○回出てくる。一個あたり五ミリオン・エレクトロン・ボルトのエネルギーを放出しながらである。これは現実離れした発射物である。肺中のアルファ粒子は、炭素を燃やすことによって得られるエネルギーの二五○万倍のエネルギーで肺の細胞に正確に命中する。
彼は、一グラムの人間の組織には一億から一○億の細胞があること、すべての細胞は適切に機能するように連携していること、すべての細胞は指令ライブラリーをもっており、その情報量は何冊もの本に匹敵するものであることを、陪審員に説明した。さらに、アルファ粒子は細胞に入り込み、細胞内の情報を徹底的に破壊する。細胞情報に関する指令書がひとたび破壊されると、新しい細胞とがん細胞とが一緒に形成される。するとがん細胞は自らの法則で増殖するようになることを述べた。」
生殖細胞と『許容』、ゴフマン。下「」引用。
「また、プルトニウムは血中に入り、ときには卵巣や睾丸に沈着する。卵巣あるいは睾丸のいずれかがプルトニウムのアルファ線によって砲撃されると、欠陥精子あるいは卵子ができる。受精した卵子は、ときとして、生れながらにして一つあるいは何百種もの欠陥をもった生体を作るのに十分な誤った情報を有していることを明らかにした。
またゴフマンは、許容という考え方について、次のように述べた。
「『許容』という用語を使わないようにすべきである。理由は、許容という用語は、労働者に安全であると思わせるように誤用されてきているからである」」
プルトニウムが危険だということは知られていた。下「」引用。
「そして、「彼らは七○年(カレンの死の四年前)にアルファ線が非常に危険なものであることを十分知っていたのですか」との問いに、モーガンは「はい、この事実を示す何千冊もの出版物が存在していましたから」と応えている。」
index
矢ヶ崎克馬、ICRP基準を批判。下「」引用。
「「アメリカは核兵器の放射性物質がもたらす残虐さを隠し、『破壊力は大きいが、放射線被曝で長期に人を苦しめることはない』という核兵器の虚像を仕立てようとしました。また、(中略)商業原子炉を、地球社会に押し付けるために内部被曝を見えないものにする必要がありました」(『隠された被曝』二○一○年、新日本出版社、一五~一六頁)。」
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「放射線誘導遺伝的不安定性とミニサテライト配列」
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