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内部被曝という問題をどう考えるのか②松井英介医師との対話「どこまで危険は迫るのか」

2011-04-10 02:01:38 | 福島第一原発と放射能

まず松井英介医師の話です。 

 木下さん、内部被曝というのは、まず、次々と呼吸をつうじてはいってくるんですよ。これが多いんです。そして、水や食物を通じてもさらに入ってくる、核種はつぎつぎといろんなものがあって、入ってきますから。時間軸で見ると短い時間と言うよりも、長い時間で広い範囲内で考えておかないと、どうにもならない。だから、内部被曝はやっかいなんです。もう一つ別の例で考えてみて見ましょうか。X線の場合は、線量と電流の量の関係を考えます。アンペア数と被曝線量はパラレルの関係にあります。低線量のCTを考案したときに、アンペア数を十分の一くらいに落とすことで、低線量のCTとして機能させています。もちろん、外部からの照射ですし、一定時間内での照射ですから、たいしたことにはなりません。染色体にまばらに傷がついても、限られた時間での話ですし、ふつうに修復されていくのです。こうしたX線と異なり、内部に入った粒から、体内で至近距離に近いところから繰り返しα線、β線の照射がくるんです。非常に至近距離で被曝しますし、そこの細胞は強く被曝することになります。DNAは傷ができると、修復の働きが当たり前のようにありますが、傷ついたところにまた放射線があたりますと、なかなか修復がうまくいかなくなることがあります。そして、間違ったくっつき方をする場合があります。内部被曝は体内に粒を取り込んでいる以上、こうした繰り返しがおきやすい環境なんです。しかも、中にありますから、外からの放射線以上に危険度は高いんですよ。繰り返し、照射されるリスクも大きいし。正しく、くっつきにくくなれば、何がおきるのかというと、、ガン、先天性障害が起こりうるんですよ。免疫系統の異常等はさらに高密度に起こりうるんですよ。だから内部被曝をCTと比較するなんて、だましのテクニックですね、全然レベルが違うんですよ。素人相手にこういうウソをつくのは僕には理解できませんね。

 それから、「直ちに影響はない」という決まり文句にも触れておきましょうか。まず、作業員の急性被曝は多かれ少なかれ、必ずありますから、これはそもそも該当しませんから。もちろん、「直ちに」というのは、急性被曝がないということしか指していないと、私は理解しています。時間軸の概念から考えると「直ちに」というのは、ちょっと後のことは想定に入れていないという意味でしかなく、本当に安心できる話ではないと言うことなんです。まあ、そういう言葉遣いでなんとなくそれで安心させる物の言い方だということです。つまり、今すぐ無くても、そのうちおきることをはっきりと言わないための言い方なんですね。具体的な言葉で言うと、晩発障害です。二年後、五年後、十年後という感じのスケールで考えていかなければいけません。このうち割合に早く出るのは、核種の粒が小さくて、母体から赤ちゃんに出てくる場合です。粒が小さければ、つたわりやすく、先天性障害は割合と早く出るのです。だから、妊婦が最も早く避難すべきなのは当然のことなんです。生まれてきた赤ちゃんに、こうした障害を極力避けるために、妊娠中の女性は守らなければならないと、私は強く思いますよ。次に子どものガンです。固形のガンというのは、時間軸で言うと20年くらいの間隔はあると思います。しかし、甲状腺のガンは早ければ数年内にでてきますし、白血病も十年以内に出てくる可能性があります。割合に早いんですよ。子どもはやはり早くて、数年内にいろんな形で発症したケースが、イラク戦争で、劣化ウランで被曝した子どもたちでもありました。子どもの方が早くて、しかもはっきりと出てくるんです。だから、子どもを避難させなければならないんです。

 長期的な調査が必要になります。今回の場合は広い地域で、多くの人々が被曝しつつある状態ですから、政府がやることは過去にない規模になります。都市部を抱えているので、本当に大変ですよ。内部被曝というのは、蓄積性のあるもの、水に溶けない核種というのがどうなっていくかということです。木下さんも、他の人に聞かれたでしょうから、判っていらっしゃると思いますが、ICRPの基準が軽視しているんですよ。内部被曝を過小評価なんです。やっかいなのは、内部被曝というのは、微量であっても無視できないんです。だから、汚染の少ないところに移住しましょうと言うことしか解決策がない。外部被曝は放射線がそれほど出なくなれば、なんとかなりますが、放射性物質は、もうすでにいろんところに出てしまっていますから、簡単では有りません。高濃度のエリアは本当に大変なことなんです。そういうことをどうしたらよいのかという例はチェルノブイリしかありませんから。対応をどうするのかは、内部被曝はかなりやっかいなものなのです。

 僕が危険性を感じているのは、福島、宮城、茨城、のエリアで、内部被爆がどういう状況なのかは危惧していますし、いろんな数値を見ていて、ある程度警戒が必要なのは、千葉、栃木、東京、神奈川でも思います。セシウムはカリウムに近くて、カリウムと間違えて認識する場合があります。もちろん、セシウム以外にもいろんな核種があります。どの核種にも警戒が必要なんです。例えば、野菜は洗った後でも、それなりの放射能があるのなら、外に付着しているだけではなくて、水分からも野菜が中に取り込んでいることを考えなければらないかもしれません。雨が降って、ある程度は染み込んでいるという想定です。こういう状況にあるのが現況なんです。だから、小さなお子さんや妊婦の方が、より汚染の高い地域にいるのは、内部被爆に取り組んできた医師として、避難してほしいと思いますよ。政治的な話は知りませんが。次には妊娠可能な若い女性でしょう。福島県内にとどまらない話ですから。

 ヨーロッパの反応は早いですね。フランスもドイツも。ドイツは大使館を大阪ベースにしたままのはずでは。チェルノブイリの経験がありますから。スウェーデンは250キロで線を引きましたし。当然、東京も入りますよ。なかなか、きびしい状態なんです。現実に可能かどうかは別として、内部被曝という観点からしますと、中部より西日本の圏内まで退避するほうが望ましいと僕は思います。いずれにしても、できる範囲内で、日本政府はまず適切な方針を出すべきなのに、そうしようとはしていない。内部被曝ということを原子力関係の人々は、世界的にもずっと軽視していました。そして、内部被曝に関しての研究蓄積は、日本にはありません。世界的にも少ないんですが。ちょうどベルリンで、チェルノブイリ関連の国際会議でしたが、日本の参加者は一人だけのはずですよ。日本の研究者で、劣化ウランの診療に携わったのが、一番まだ経験値がある気もします。とにかく、データが出てきていないんです。今のデータじゃ足りません。調査はもっとすべきだし、データは全部出さなければならない。土、地下水、水道水、大気、植物、野菜、農作物、海水、すべてから徹底的に調査をしてもらわなければなりません。ヨウ素もセシウムも、ストロンチウムもウランもプルトニウムも、あらゆる核種がどのような感じで出てくるのかを詳らかにしなければなりません。それが、はっきりしないと、どの地域にどのくらいの危険が有るのか、新たなホットスポットがあるのか、まずはそこをはっきりさせる作業をおこなうことが肝要なんです。

 松井医師のお話です。先生は岐阜環境医学研究所所長、元岐阜大学医学部で放射線医学をされていました。日本呼吸器学会呼吸器専門医でもあり、主な関連著書:『国際法違反の新型核兵器「劣化ウラン弾」の人体への影響』(2003耕文社)があります。とにかく、内部被曝の専門家は少なく、医師として発言する人もほとんどいません。外部被曝に比べて、検証しにくいことが一つの理由ではありますが、内部被曝が人体に与える影響を考察していくと、改めて中身を聞くとびっくりする思いです。その症例のおこり方まで。しかも、現時点でも、広いエリアで問題が今後、発生する可能性を指摘されると愕然といたします。強制的な避難という線引きのあとに、自主的な避難という発想があります。僕自身、いろいろと考えていますけれども、この内部被曝の危険をどう考えるのかという観点からも、引き続き、考えたいと思っています。ここは、実は、日本人がどういう生き方をするかという根幹につながる部分であるとも思いますし、このリスクを軽視することが正しいと言う人々が、まさにそれを軽視することそのものが、国民の安全を最も損ねていく可能性があると僕は思うからです。

 

 

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貴重な情報、ありがとうございます (空っ風)
2011-04-10 09:09:54
私たち家族は群馬県在住です。
5歳の子供がいます。
近所の人はみなマスクなしで平気な顔をして外出してます(幼児も含めて)。
でも私は「内部被曝を考えると群馬も危ないのでは?」と直感し、情報を集めています。
必要に応じて疎開も検討しています。

今欲しい情報は、「ICRP以外」の基準で
①幼児の被曝限度は年間何㏜?(年齢別)
②自治体が発表している空間線量の何倍を考慮したら、(おおよその)体内被曝を考慮することになるのか?

です。

でも情報がなかなか見つからず、困っています。

これからも木下さんを応援しています!
本当に子供た若い世代が心配 (sakura)
2011-04-10 11:33:55
このような記事の内容に、感謝申し上げます。
この活動を、どのように社会全体の大きなムーブメントにできるでしょうか。
方法が思いつかず、気ばかりが焦ります。
私は幼稚園中学生の母で、大変無力ですが、このような事態の際、社会全体の大きな動きとして、
危機を感じている国民が集結して動きを見せないと、政府は全く動きませんよね。
木下様のように危機感を持つ方々は、他にも
大勢いらっしゃいます。その方々の動きを結束させて、政府にも動かざるをえない状況を訴えかける大きな輪ができることを願っております。
今の現状では、一部の学者の方々やジャーナリストの方々、一般市民の一部が危機感を持っている形なので、皆の力を結集し、政府を動かす何がしかができることを、切に願っております。
どうしたらよいのでしょうか、、、、。9518
現実的対応 (50のおじん)
2011-04-10 14:31:08
内部被曝に関しては、正確に計測することは不可能である。しかし、被曝を少なくするための自衛手段を講ずることは可能だ。外国の放射性物質拡散注意報に基づき、武田邦彦教授等の専門家のアドバイスを参考にするのが良いだろう。

昨日のNHKスペシャルで、斎藤紀医師(わたり病院)が、「これまでの線量の経過から言えば長期に亘る健康障害は少ない。しかし、不安は払拭できない。それが、社会の核としての家族に大きな亀裂を作りつつある。」と述べていた。同氏は、講演会で、晩発性障害は宝くじに当たるようなものだとも述べている。要するに、何人かの人が何らかの障害を発症することは避けられない。それを受け入れた上で、健康管理をしつつ、医学の進歩に期待しながら、現実を生きて行こうと呼びかけているのだ。家族や社会等さまざまな問題で、発症するかも知れない人や発症してしまった人を追い込むなと言っている訳である。正に、現実的対応と評価すべきだろう。

人それぞれ事情が異なる。選択肢も同じではあり得ない。そこで重要なのが政府の役割である。「個別的、きめ細かな対応をしないと家族の翻弄は続く。原爆被爆者の教訓として、家族の離別・死別が
患者の存命に影響した。国の援助が必要である。国は不作為をしないで欲しい。」(斎藤氏)という言葉は重い。

「楽観視するのではなく、厳し目に対応して行くべきである。」(原子力委員会元委員長 松浦祥次郎氏)、「最悪の事態に備えて考えて行く。」(NHK鎌田靖氏)、NHKは、安全一辺倒から現実路線へと報道姿勢を変えたらしい。政府にも現実的対応を望みたい。
Unknown (中島)
2011-04-10 16:22:35
空っ風さん
以下のサイトが参考になるかもしれません。

武田邦彦(中部大学)
http://takedanet.com/

①政府が最近年間被曝量限度を20ミリシーベルトに引き上げたが、
元の1ミリシーベルト以下(子供でも)が望ましい(累計で)。

②については次の項目に目を通して下さい。

■原発 小さな疑問その2福島は足し算、大阪はそのまま

結論だけ言うと、群馬は今のところ大丈夫なようです。
ただ、水や食べ物は気をつけた方がいい。
特に、食べ物は福島やその周りでとれたものは極力避ける。
西日本や外国産の食品を買う。または3月11日以前にとれたものを買う。
福島市心配です (関東から)
2011-04-10 22:04:47
東京にいても毎日モニタリングポストの数値をチェックしてしまいます。
連日2マイクロを超えている福島市が心配です。
飯舘村から山を隔てて、ほぼ隣なのでこの数値も当然でしょう。
3時間外にいただけで、外部被爆と内部被爆合わせて、
簡単に15から20はいってしまいます。
2ヶ月くらいで1ミリを超えてしまいます。
国や県、市が避難を考えてないのであれば、本当にひどいです。
子供だけでも避難させてほしいです。
福島の女性が「もう水の味が違う。顔を洗うと肌もがさがさになる。
でも逃げることもできない」とネットに書いていました。
行政が何もしてくれないのであれば、
困難が待ち受けていても自主避難を決断するしかないのではないでしょうか。
素人の乱 (miki)
2011-04-11 02:08:26
高円寺で15000人、素人の乱 反原発
若者の乱

どこの団体にも組織されない、今までに無い画期的なデモです。

しかし検索してみると、オルタナ、、NNNだけが配信。

やはりマスコミはゴミに成ってしまったのでしょうか?
やはりー (あさ)
2011-04-11 02:12:38
これは危ない処に来ている感じがします。

なにより長期の影響だということ。一番ごまかしやすいパターンです。

この国は戦争中からそうやって庶民を見捨ててきたのですから。

ようやく批判的報道が出た来た感じでしたが、ここで沈黙というもっと大きな罪をマスコミは犯すわけです。

本当にいけない。
もっと、木下氏を支援する具体的な方法があればと考えてはみるのですが…

追記 (miki)
2011-04-11 02:14:57
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/912.html
忘れた
Unknown (ありさ)
2011-04-11 06:21:06
このような事態になって、なおも安全側の考え方。完全に政府が信用できなくなりました。
やっぱり私達を他人事におもってるのが嫌というほどわかりました。
mikiさん、私も高円寺デモにいってきました。
参加者は実際は一万五千人でした。
怒ってる国民で結束すべきですね。

普段は自衛していきましょう。
カワイイ孫の顔拝みたいですから…。
水徒然 (tetsu)
2011-04-11 12:23:32
内部被曝の恐ろしさに対する松井先生の話じっくり拝読しました。私も同感です。私は最初、よくわからなかったので、単位も含めて放射能物質を調べました。知れば知るほど原発事故は怖いですね。
 原発から漏洩した放射性物質の非水溶性微粒子(エアロゾル)を生体内に吸引して蓄積することによる被曝後遺症は心配ですね。
 私はエアロゾルのひとつである高病原性ウィルス、黄砂などいろいろな悪影響を調べてきましたが、今回のお話の「・・・内部被曝を過小評価なんです。やっかいなのは、内部被曝というのは、微量であっても無視できないんです。」と「・・・ヨウ素もセシウムも、ストロンチウムもウランもプルトニウムも、あらゆる核種がどのような感じで出てくるのかを詳らかにしなければなりません。それが、はっきりしないと、どの地域にどのくらいの危険が有るのか、・・・」について共感しています。放射性物質の同定と公開が今後の汚染対策に必要であると思っています。松井先生の関係論文も見てみようかと思います。紹介ありがとうございます。一度、ブログ覗いてみてください。

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