Ｃ033.クリスタル・ソード

III.手袋山

Ｃ033.クリスタル・ソード





「盆地の雷はよく響きよるな」
　さすがのヤスたちも、神社のやしろで雨やどりしていた。神社には高い木があるから、雷はそちらに落ちるだろうから安全だと先輩にきいていた。

「もうじき、終わるがな。これはきっと通り雨や」
「おれも、そう思うがな。こう激しいのは長続きはせえへん」
　ヤスたちは雨音に負けないように大きな声ではなしていた。

　ヤスは腰の袋から採ったばかりの水晶をだして、チャボに見せた。
「今日の収穫は、いいほうやな。これ見いよ。りっぱな剣のように見えへんか」
　チャボはじっとその水晶を見る。

「水晶の結晶はよく剣のように見えるけど、とくにこれは剣みたいに見えるわなー」
「そうやろ、ごっつ、めずらしい、立派な水晶やろ。これが、剣になって、悪いやつを倒してやるんや」
　ヤスは得意になっている。

「なぁ、ヤス。ヤスは水晶に不思議な力があること、信じるか」
「信じてる。野球選手の佐藤がつけとるやろ。そうしたら、ホームランをじゃかすか、打ちよるようになったやろ」

「佐藤だけやないで。サッカーの選手とかも使うとるらしいでえ」
　とチャボは言い、採ったばかりの水晶を見つめて
「こんなに、とれてよかったな。これで今度の野球の試合には勝ったも同然やなー」
　と、うれしそうだ。

　ヤスは「そんなアホなー」と笑っていた。

　すぐに、ヤスはしょんぼりして
「ほんでも、紫水晶、見つけたいでぇ」
　とチャボになげいた。紫水晶（アメジスト）はあまり見つからず貴重なのである。

「そのうち、見つかるがな」
　とチャボは面倒そうに言った。

「ほら、やみよるわ」
　チャボは笑顔でいた。

「そろそろ、また行こうか」
「うん」
　小ぶりになった雨の中をチャボとヤスは走って行った。

閑話休題 クリスタルの原石はけっこうステキです。 こんなのが採れたのです。 多くの子どもたちが夢中になったのも、 ご理解できるかと思います。 ほとんど採れませんが、 紫水晶（アメジスト）も採っている 友人もいました。 紫水晶の方がやはり、ふつうの水晶より キレイでした。 アメジストは僕の誕生石でもあります。 2月の誕生石　【アメジスト】　誠実・心の平和 平和は特別なものではなく、 水や食糧と僕は同じように思っています。 失ったとき、多くの人は気づくと思いますけどね……。 アメジストの原石は写真じゃきれいじゃないですね。 その下のアクアマリンきれいですね。

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