磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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C032.『泣き面に蜂』

2005年10月20日 | 【小説】 レインボー...
III.手袋山

C032.『泣き面に蜂』





 今は水草だけが、川の流れに流されていた。パパが足をひっかけたのはあのあたりかしら。ユリカが昨年のバーベーキューのことを思い出していると、雨がポツンと肩に落ちてきたのがわかった。

 空を見上げると分厚い雲が空をおおっていた。
「いやだな。雨にぬれるの」
 ユリカはあたりを見まわしたが、家なんて一軒もない。それで、大きな木の下にでも行って雨をしのごうと思った。走り出すとき草に足がからまって、べたとこけてしまった。

 おばあさんの口ぐせの言葉を思い出した。『泣きつらに蜂』、きっとこんな時のことを言うのだろうと思った。

 ユリカは激しく降る雨で、泥を落とした。


 ヤスとチャボは藪蚊(やぶか)に刺されつつも、水晶をさがしていた。
「おい、すごく暗くなったな」

 木の葉にぶつからず落ちてきた雨粒が、チャボの顔の上に落ちた。
「雨、降ってきたみたいや」
 チャボはヤスに言った。
「涼しくなるで」
 とヤスは笑った。けれど、目は一心に水晶をさがしていた。
 宝石の美しさの虜とりこになるのは女の人ばかりとは限らない……。


 ユリカは考えてみれば、こんなに遠くまで一人で来たことが、今までなかった。
 ユリカは大きな木の下で、膝をたててすわった。そして、ひざの怪我を見つめた。血が流れていた。

 とっても不安な気持ちがした。それに、こんなに天気が悪いのに一人だなんて、いやだなあと思った。

 ピカッと稲妻は走り、バリバリどころか、ドスンと雷はお腹まで響く大きな音になった。山は雷が落ちやすいんだというパパの言葉を思い出した。

 雷のときは、木の下にいるのは危険なことなんだと思ったが、どうしたらいいのかわからなくって、ユリカはそのまま木の下にいた。本当は危険なのだが……。






閑話休題

盆地の雷はよく響きます。
山ではさらによく響きます。
高い山での雷の動きは、
平地とはちがいます。

人体に落雷すると絶命することあります。
それについて理解する必要があると思います。

たとえ建物であっても、
側撃雷で死亡した例もあります。
まわりに高い建築物などがない場合、
建物の内であっても、柱などに落雷する危険があります。
そのとき側撃雷によって死亡された事例があります。
柱などからも離れることが大切らしいです。







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『兄のトランク』宮沢清六

2005年10月20日 | 読書日記など


『兄のトランク』宮沢清六・著、筑摩書房1991年
裏表紙から
「短い生涯を流星のように駆けぬけた兄・宮沢賢治の生と死をそのかたわらで見つめ、兄の死後も烈しい空襲や散佚から遺稿類を守りぬいてきた実弟による初めての文集。昭和14年に変名で発表した幻の詩論「『春と修羅』への独白」をはじめ、45年の長きにわたって発表しつづけてきた兄の想い出や作品についてのエッセーを収録。文庫化に当たり新たに二篇を加え、決定版としてた。 解説 入沢康夫」




僕といえば高校のときの友人は宮沢賢治といったくらい、
僕は宮沢賢治が好きでした。

彼の書物は翻訳され海外でも売れているそうです。
宮沢賢治はなんと日本の「聖フランシスコ」
いわれているそうですよ。

宮沢賢治も聖フランシスコも親が金持ちというのは
確かに似ていますが、僕は宮沢賢治の方が人間的だと思いますし、
科学者・宮沢賢治もわすれてほしくありません。
こしひかりは宮沢賢治の研究によって生まれたそうです。

聖フランシスコでは、今でもよく語られるものは、
「平和の祈り」です。
よく語られることですので、ご存知の方も
多いかと思います。
仏教徒の方もとりあげられてもいます。




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