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原発のコスト-エネルギー転換への視点- 岩波新書 新赤版 1342

2012年05月24日 | 読書日記など
『原発のコスト-エネルギー転換への視点- 岩波新書 新赤版 1342』
   大島堅一・著/岩波書店2011年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「他と比べて安いと言われてきた原発の発電コスト。立地対策費や使用済燃料の処分費用などを含めた本当のコストはいくらになるのか。福島第一原発事故の莫大な損害賠償を考えると、原発が経済的に成り立たないものはもはや明らかではないか。再生可能エネルギーを普及させ、脱原発を進めることの合理性をコスト論の視点から訴える。」



大きなマイナス。下「」引用。

「まず第一に、福島第一原発事故によって、原発周辺にすむ人々に筆舌に尽くしがたい被害が及んでいる。また、日々事故の収束を目指して働く原発労働者は、かつてないほどの被曝をしている。農林水産業を含め、福島県等の経済には非常に大きなマイナスがもたらされている。これらは、福島第一原発事故による直接の被害がある。これも、「原発のコスト」ではないだろうか。
 第二に、それらの被害を補償するコストが必要になっている。損害賠償だけでも、要するコストは、少なくとも数兆円にのぼるとみられている。また、このような重大事故がおこると想定すらしていなかったために、損害賠償のための新たな枠組みがつくられ、具体的な賠償が進められていくことになった。これらも、「原発のコスト」をめぐる問題ではないだろうか。
 第三に、事故とは別にかかっているコストもある。これまで原子力発電を推進するために、国家財政らか多額の財政資金を湯水のごとく投入されている。さらに、発電が終わった後、残る大量の使用済み燃料の処理・処分にもコストがかかる。これらのコストは誰が支払うのだろうか。
 以上はいずれも、「原発のコスト」として検討しなければならないものである。-略-」

「社会的コスト(費用)」 下「」引用。

「これらは、電力会社が発電のために直接支払っているコストではない。電力会社とは異なる第三者--福島の人々や一般国民が負担しているコストである。このようなコストのことを「社会的コスト(費用)」という。これは、環境経済学の確立に深くかかわつたK・W・カップが提唱した概念で著書『私的企業と社会的費用』の中に詳しく述べられている。-略-」

「事故費用の四つの区分」 下「」引用。

「福島第一原発事故で明らかになったことは、原発事故による被害は、金銭で表せる部分だけでも膨大であるということである 。これは表2-1のように(1)損害賠償費用、(2)事故収束・廃炉費用、(3)原状回復費用、(4)行政費用に区分して考えることができる。-略-」

ドイツやスイス……。下「」引用。

「ドイツやスイスのようにの、事業者に対して無限責任を負わせておきながら、日本のような国の援助を定めていない国もある。このような国の場合は、あくまで原子力事業者が損害賠償を最後まで行うということになる。」

「含まれていないコスト」 下「」引用。

「二○○四年の報告書のタイトルは「バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等の分析・評価」となっている。これを文字通り受け取れば、すべてのコストが計算の対象になっているかのようにみえる。
 これは真実ではない。注意して報告書を読むと、六ヶ所再処理工場での再処理についてのコストのみが計算されている。-略-
 だがこれは、この報告書でも述べられているように、原発から発生するとされている使用済燃料の半分の量にすぎない。つまり、全量再処理を基本方針としてもっている以上、第二再処理工場の建設が不可避となる。そうなると、一一兆円では全量再処理するのには全く足りない。-略-」

再処理されていないのだから、まったく計算外になっていますね……。この本でも軽く書かれてある……。

「疑われている経済性」 下「」引用。

「さらに、問題はり、再処理そのものの経済性にのついて疑問があることである。-略-」

「求められる市民の責任ある関与」 下「」引用。

「日本の原子力開発は、原子力複合体によって、反対派、慎重派を徹底的に排除して、進められてきた。その最終的な帰結が福島第一原発事故である。原子力政策を推進してきた体制が完全に解体されなければ、原子力複合体は復活してくるであろう。福島第一原発事故のような事故がおこった後も、従来通りの原子力政策が継続されるようなことになれば、日本は二度と民主的なエネルギー政策をつくりだすことはできない。
 脱原発は、政治的スローガンでもイデオロギーでもなく、現実に実行可能な政策である。脱原発に進むことは、保守や革新などの政治的立場、思想信条、社会的立場の別を超え、多くの国民が一致できる政策である。」








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