磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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今西祐行 絵ぶんこ8 ハコちゃん

2009年01月16日 | 読書日記など
『今西祐行 絵ぶんこ8 ハコちゃん』
   今西祐行・作/吉崎正巳・絵/あすなろ書房1984年

--この話はまだ、原爆投下以前にかかれたリアリズム作品でしょうネ……。
絵がたくさんある本で、まるで絵本のようです……。絵本といっていいとも思います……。
「ハコちゃん」一作品だけが掲載されています。



「あとがき」に書かれてあります……。下「」引用。

「●ハコちゃん
 これは私の処女作である。昭和一七年、私は早稲田大学の予科である第二高等学院の二年生だった。その年の春から、私は早大童話会という会に入って、童話を書きはじめていた。毎週自作を朗読して、批評してもらうのだが、その研究会には上級生ばかりでなく、先輩の作家も顔をだしてくださることがあった。故坪田譲治先生にはじめてお会いしたのも故岡本良雄さんにお会いしたのもこの研究会のことだった。そして、この「ハコちゃん」は、研究会ではじめてほめていただいた作品だった。会では毎月『童話界』というタブロイド版の機関誌を出していたが、昭和一七年七月号に掲載された。そして翌一八年、坪田先生の編で『たのしい仲間』という天佑書房から出版された童話集にも入れていただいた。その年の一二月、私は学徒出陣した。
 ハコちゃんという子は、私の育った奈良の家の近くに実在した子どもである。チフスで亡くなったことも事実である。私は坪田先生や岡本さんの作品を見習うようなつもりで、リアルにありのままのハコちゃんを書いた。
 チフスで死んだハコちゃんのなきがらは、リンゴ箱につめられ、お父さんにかつがれて、見送る人もなく焼き場にはこばれた。
 ハコちゃんはとても人なつこい子だった。ハコちゃんのことを思うと、今でも私は涙が出る。
   一九八四年一二月
         今西祐行(いまにしすけゆき)」

しかし、複雑な気持ちになる作品でもあります。

『はだしのゲン』のように、差別は悪いことじゃ!
というようなことを、表現していてくれたら、こんな複雑な気持ちはないと思うのですが……。

感傷的(センチメンタル)な作品では、そんな当たり前のことを表現してはいけないのでしようか?

人の死や、差別を単なる感傷的な視点でみていることが、人道的には思えない昨今です……。

しかし、戦中に書かれた作品であるということ……。

--これは仕方がないかもしれない……。

だけど、やはり、感傷的ですませては偽善者としか今では思えないのでは?

--海軍に入隊した今西……。

彼にも平和主義者でない部分があるのだろうとも思う……。







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