『原爆と第二次世界大戦の終結』
ハーバート・ファイス(著)/
佐藤栄一、山本武彦、他(共訳)/南窓社1974年
トルーマン大統領は原爆についてあまり理解していなかったように書かれてある本です。
この本は一九六一年刊の『日本屈服せり--危機にさらされた不滅性』の増補・改訂版だという。
ブッシュとコナント。下「」引用。
「早くも一九四三年一○月に、開発計画についての大統領の顧問であり情報提供者でもあった二人の科学者のうちの一人ヴァネバー・ブッシュ(もう一人はジェームス・コナントであった)は、一九四五年初頭には原爆がわれわれの兵器庫に格納される「絶好のチャンス」が来ると予告していた。」
そして公表することを示唆していたという。下「」引用。
「ブッシュとコナントは大胆にも、これらの可能性によって支持されていると思われる、次のような進路を勧告している。秘密を母子することで米国の優位を維持しようとするのは無思慮であろう。したがってアメリカ政府は、原爆が誇示されたらすぐこの新兵器に関する事実を公表すべきである。またアメリカ政府は、戦後の平和を維持するために形成さるべき国際的連合体の賛助による、自由な情報交換を率先して提唱すべきである。-略-狂気じみた原爆開発競争を回避するために、すべての国民にどうして原爆を製造するかをより容易に知らせることが逆説であると思われなかったのだ。」
マーシャルはソ連が漁夫の利を得ようとしてると思っていたようだ。下「」引用。
「マーシャルは、ソ連は「われわれが汚い仕事を全部し終わるまで」太平洋戦争への参戦を遅らせることができるのだから、そうするかもしれないと気づいていた。」
しかし、それはアメリカのヨーロッパ戦での作戦だったのではないか?
報告書を理解するのが苦手なトルーマン。下「」引用。
「そこでこの三人(*スティムソンら)は、原爆開発計画の経過、その現状、予想される製造日程--最初の見本は七月に実験準備完了、八月一日までには、もはや実験を要しない別のタイプの第二発目完成--および期待されるそれらの爆発力の推定などを改めて説明する二四ページのグローヴズ報告の写しを一緒に読みつづけた。大統領は、「知ってのとおり私は報告書を読むのが苦手なんだよ」といいながら、幾度もこの報告を読むのを中断した。スティムソンとグローヴスが、「でも、これ以上簡潔な文章では説明できません」と答えると、彼は最後まで読みとおした。二人の訪問者には、トルーマンは感銘を受けはしたが、驚いたふうにはみえなかった。トルーマンが、この新型兵器とこれまで一般民衆にむけて発射された大砲の強力なものとの巨大な相違を本当に理解したかどうかは、疑わしいというべきである。何年か後に彼は、第一次世界大戦時にドイツ巨砲がパリに撃ち込んだ砲弾との比較が心に浮んだと会見記者は語っている。」
広島に原爆投下された時のトルーマン。下「」引用。
「オーガスタ艦上では、大統領が乗組員と食事をしていたが、続々とメッセージが彼のもとにとどけられた。「ワシントン時間の八月五日七時一五分、大型爆弾が広島に投下された。最初の報告は、初期の実験よりもめざましい完全な成功におさめたことを占めている。」数分後に、もっと細部にわたる内容の報告があった。これらの電文をバーンズに読んで聞かせた後、大統領は、今受け取ったニュースを聞かせたいとまわりの人々に合図した。拍手喝采する人々を残して、大統領は、士官たちにこの大爆発を知らせようと士官室におもむいた。「私は、太平洋戦争が今や急速に終了するかもしれないという期待を、かくすことができなかった」と、彼はのちに回顧している。」
INDEX
INDEX
ハーバート・ファイス(著)/
佐藤栄一、山本武彦、他(共訳)/南窓社1974年
トルーマン大統領は原爆についてあまり理解していなかったように書かれてある本です。
この本は一九六一年刊の『日本屈服せり--危機にさらされた不滅性』の増補・改訂版だという。
ブッシュとコナント。下「」引用。
「早くも一九四三年一○月に、開発計画についての大統領の顧問であり情報提供者でもあった二人の科学者のうちの一人ヴァネバー・ブッシュ(もう一人はジェームス・コナントであった)は、一九四五年初頭には原爆がわれわれの兵器庫に格納される「絶好のチャンス」が来ると予告していた。」
そして公表することを示唆していたという。下「」引用。
「ブッシュとコナントは大胆にも、これらの可能性によって支持されていると思われる、次のような進路を勧告している。秘密を母子することで米国の優位を維持しようとするのは無思慮であろう。したがってアメリカ政府は、原爆が誇示されたらすぐこの新兵器に関する事実を公表すべきである。またアメリカ政府は、戦後の平和を維持するために形成さるべき国際的連合体の賛助による、自由な情報交換を率先して提唱すべきである。-略-狂気じみた原爆開発競争を回避するために、すべての国民にどうして原爆を製造するかをより容易に知らせることが逆説であると思われなかったのだ。」
マーシャルはソ連が漁夫の利を得ようとしてると思っていたようだ。下「」引用。
「マーシャルは、ソ連は「われわれが汚い仕事を全部し終わるまで」太平洋戦争への参戦を遅らせることができるのだから、そうするかもしれないと気づいていた。」
しかし、それはアメリカのヨーロッパ戦での作戦だったのではないか?
報告書を理解するのが苦手なトルーマン。下「」引用。
「そこでこの三人(*スティムソンら)は、原爆開発計画の経過、その現状、予想される製造日程--最初の見本は七月に実験準備完了、八月一日までには、もはや実験を要しない別のタイプの第二発目完成--および期待されるそれらの爆発力の推定などを改めて説明する二四ページのグローヴズ報告の写しを一緒に読みつづけた。大統領は、「知ってのとおり私は報告書を読むのが苦手なんだよ」といいながら、幾度もこの報告を読むのを中断した。スティムソンとグローヴスが、「でも、これ以上簡潔な文章では説明できません」と答えると、彼は最後まで読みとおした。二人の訪問者には、トルーマンは感銘を受けはしたが、驚いたふうにはみえなかった。トルーマンが、この新型兵器とこれまで一般民衆にむけて発射された大砲の強力なものとの巨大な相違を本当に理解したかどうかは、疑わしいというべきである。何年か後に彼は、第一次世界大戦時にドイツ巨砲がパリに撃ち込んだ砲弾との比較が心に浮んだと会見記者は語っている。」
広島に原爆投下された時のトルーマン。下「」引用。
「オーガスタ艦上では、大統領が乗組員と食事をしていたが、続々とメッセージが彼のもとにとどけられた。「ワシントン時間の八月五日七時一五分、大型爆弾が広島に投下された。最初の報告は、初期の実験よりもめざましい完全な成功におさめたことを占めている。」数分後に、もっと細部にわたる内容の報告があった。これらの電文をバーンズに読んで聞かせた後、大統領は、今受け取ったニュースを聞かせたいとまわりの人々に合図した。拍手喝采する人々を残して、大統領は、士官たちにこの大爆発を知らせようと士官室におもむいた。「私は、太平洋戦争が今や急速に終了するかもしれないという期待を、かくすことができなかった」と、彼はのちに回顧している。」
INDEX
INDEX