磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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ボクの心のオレたちへのレクイエム 第一話 八方“不良”

2011年10月29日 | 短編など
ボクの心のオレたちへのレクイエム

プロローグ


まだ、青春って呼べたころの僕のなかのオレたちの話……。

多重人格と呼ばれていたころの時代。

少しもめげることもなくって、

苦しいことがあれば、大きな声でわめいて、

痛ければ、思い切り泣いて……。

犬みたいに生きていたころの話……。

犬みたいなオレらとサヨナラさせてくれた女性に感謝すんぜ!


第一話 八方“不良”


噂なんてあまり信用できない。

なぜって、不良の「悪友」がおもしがって流している……。

そんなこと、どうでもいいけどね……。

「ワル」のボクって、想像するだけでも、楽しかったりする。

そんな体力あるわけないし……。

だけど、噂を信じる人もいる……。

でも、ボクと親しくなって、大笑いする人もいる……。

--昨年まで、担任は生徒たちにいじめられていたという。

学校を辞めようかと思っていたら、あなたの受け持ちになって、途中で辞めさせてもらうかもしれないと約束して、担任になったそうだ。ボクがそれほど怖かったそうで、そうじゃなくなって、話しているわけ……。

だけど、やはりセンコウと、話しなんて、つまらない……。偉そうに詰問だよ。

「あなた、中学二年の時に、社会科の先生に、俺の女といったんでしょう?」

「そんなこと、あったかもね?」もちろん、はぐらかすボク……。

「でっ、私、そんな子どもの担任になりたくなかったのよ」

それでか、担任なのに、現代国語受け持ちなのに、担任の授業ないの……。

珍しい……。

担任の授業なら、遊べると、クラスメートの女子が話していた。

ボクなら、誰が授業やってても遊ぶけど……。

いじめなんて、遊びはしらない。そんなものは、遊びですらない。

でも、知らず知らずにいじめてたりもする……。

「あなたのこと、いろいろ噂あるけど、本当はそうじゃないって、聞いたのよ」

「どうでもいいけど……。噂と関係なく、オレって存在するし、他もいっしょだろう?」

「その社会科の先生、いじめられていたんだって、それであなたが助けてあげたのが本当のことなの?」

少し考える……。

「そうかもね?」

「本当のこと話してよ……。かぶりつきで授業を受けますって言ったの? いつも、席替えあっても、一番うしろの席を指定席にしていたんでしょう」

「ま・あ・ね……」

ストリップみたいな表現でおもしろいと思った……。行ったことないけど……。そんな金あったら、ハードロックのレコードを買うけどね……。

「その先生の授業のときだけ、一番前で受けていたんでしょう」

「どうでもいいと思うけど……」

「私ね、このごろ、いじめられないの! どうして? あなたのセイ?」

「いじめられていたいの?」

「そんなわけないでしょう……」

「ボクは何もしてません。中二のときも、小学生の時からの「悪友」が母親が入院して、いらいらしているので、遊び相手になっただけ! 後はおふざけ!」

「そうなの!」

「俺の女だ! といったとき、他のクラスの授業だったけど、爆笑だったよ。その先生、すぐ怒鳴るから! おもしろいんだよ。担任でもないのに、毎日、だらしない! って注意してくるから、大笑いしていた。先生、そういうタイプじゃないのも知っているよ」

「そうなの?」

「先生は世話女房って感じじゃないよ。あの人は、カッターシャツだしていたら、いつも注意して、いれてくれる先生だったよ」

「やさしい先生だったのね……」

「まあね……」

口うるさい方がすごかったけど……。

「そんなこともあったのね……」

「不良には不良の流儀はあるから、「いじめやめて!」なんて言えないんだよ。どこにでも、流儀はあるから……」

「でっ、わたしはどうして、いじめれないの?」

「こんなくだらないこと、くっちゃべるようになったからじゃないの? 生徒と親しくなりたいと思ったからじゃないの? 黒板と授業していたら、そりゃ、生徒せつないよ」

「そうなの……」と考えこんで、「くだらないこと……」と口調をあげ、担任は目をくるくるまわしていた。先生にとっちゃ、大切なことだろうけど、オレにとってはつまらないことだった。

「そう、先生と親しくなる気はない。不良の流儀……。そいじゃ、また、今度、呼び出す時は、お茶菓子だしてね。中学のころは、出てたよ。もちろん、問題おこして呼び出されたら、お茶菓子はけっこうだけどね。貸し借り嫌いだから、お茶菓子でOKね!」

「あなたって、ひどく嫌われているけど、すごく気に入っている先生もいるわよね」

「そんな先生いるの? 知らなかったな!」

「あなた、昨年。すごいことあったでしょう……」

「何があったの? 知らないよ。つまらないだらけた日常があっただけでしょう……」

「ちがうわよ。ほら、ダンプカーが運動場にのりつけたとき、大勢の先生があつまってきて、出ていけってあったわよ!……」

あー、そんなことがあった。そのダンプカーにのっていたのは、オレの中学の時のクラスメート。でも、滅多に学校なんかにこないで、ドカタやっていた奴だ。分数もできない奴で、オレが教えてやった。

「あの時、みんなで騒いでいて、それであきらめていたら、あなたが一人にこにこしてやってきた……」

そういや、ボクのところに、中学のときからのクラスメートが呼びに来たんだよ。

「勝ちゃんきたよ。ダンプカーにのって、グラウンド、ぐるぐるまわっている」

「そんなこと楽しいのかあ? 相変わらずな」

「大騒ぎになっているみたい。私たちの歳なら、無免許でしょう」

「国際免許だな!」「笑っている場合じゃないわよ」

「でっ、何したらいいの?」いつもやさしいこの女性には逆らえない。

「勝ちゃん、追い出して、つかまっちゃう。警察に連絡するかどうか、先生話していた」

「あいつなら、捕まっても、どうってことないよ」

「そんな! 追い出して……」「わかった、わかった、かったるいなあー」

オレがいくと、ダンプをとめた。

「おーい、アホ」「おまえもアホじゃん」

二人は笑顔になった。

「相変わらず、バカやってんだな」「おまえもな!」

「サツ呼んだって! 逮捕されたいのか?」

「逮捕なんか、されたくないよ。おまえじゃないから」

「国際免許だろ? ここ、ド田舎だから、通用しないぞ」

「そろそろ、トンづらすっか!」

「しなよ」といって、ダンプのタイヤをけってやったっけ……。

--「あの時のあなたを、私もみていたの! 迫力あったわよ」

「えっ? ボクが迫力?」

「いろいろ噂あるでしょう。あなた見て、みんなで、さすが伝説のウラバンっていっていたわよ」

「また、そんな暇人なこと話していたの? まだお茶飲み友達ほしい歳じゃないんで……。用事ないなら、失礼します……と。お茶菓子は一つでいいからね。長話はしないからね……」

--そういえば、一年の時、黒板と授業する先生がいると聞いて、観察好きのボクは先輩のクラスへ。

みごとに黒板と授業していたなあ。

同じ小学校からの女の先輩がいて、お菓子を出してくれた。

よく、お菓子をくれる、やさしい先輩だった……。

そうしたら、クラブの先輩が缶ジュースだしてくれて、宴会はじめちゃったけ……。

藤娘おどって、爆笑をとっていた! もちろん、アレンジくわえて、笑わせてやっていた。 

--そう思い出していると、もしかして、先生、いじめたのボク?

そうか、だから「ひどく嫌われている」って、嫌っていたの先生か……。

言ってくれないと、わかんないもんな!

--まあ、どうでもいいや、たいしたことないもんね。

問題山積みで、悩んでいる暇もなかった……。中学の時は今より、ひどかった……。

中二のときの担任が一升瓶をさげてきて、あるところで、一緒に飲んでいた。

「あのなあ、新記録だぞ。職員会議、一月で24回も、おまえの名前でてきたぞ。これ以上、かばえないぞ!」

「別にかばわなくてもいいよ。めんどくせえ!」

少年院の見学につれていってもらって、自由をとられるのは嫌だと思った……。

つかまらないように、やろうと心に決めた……。

「おまえだから、一線は守るだろうけど、自由をうばわれたら、おまえみたいなのは、めちゃくちゃダメになるぞ!」

心配してくれる先生たちもいた。「スケベー」と呼んでいた先公もその一人だった。

--独身のおんなの先生、3人担任だったけど……。

3人とも、どういうわけか、クラスで一番好きな男の子はボクだった……。

3人とも結婚が決まった……。この担任も、ひどく嫌ってたみたいだけど、好きになったみたいだった。別にどうでもいいけど……。嫌われようが、好かれようが、ボク自身には何の関係もない……。

小学生のときの先生は授業も捨ててでていく熱心な共産党員だった。ボクが今も共産党嫌いなのは、先生のおかげ……。

中学の時の先生は、「愛と誠」の誠のように、顔に傷がある、元スケバンで、750ccのスズキに乗って通勤していた。ボクから暴力をうばってやると、メンチを切られたのを思い出す。大笑いしていたけど、気がついたら、頭で喧嘩するようになっていた……。もちろん、その担任も女……。

ボクは大きなオオフク・ビンタをくらう奴は、バカだといっていたけど、授業中にくらって、顔にしばらく手形が残っていた……。すごくみっともなかった……。泣いてしまって……。女子生徒はボクが泣くなんて信じられないといったけど、「悪友」はしょっちゅう、便所とかで泣いているよ、と笑っていた。その通りだった……。顔に涙の跡がよくついているじゃんとつけたしていた……。人間泣けなくなったら、おしまいよと、大きな声でいってくれた……。頭で負けたと思ったので、哲学書など読みまくった……。

秘密をいつも守ってくれるこの高校の時の担任とは、「悪友」といる時よりも心開いた……。文学好きで素敵な人だった……。参考に名作を教えてくれる人だった……。

そして、担任の婚約者とは、どういう人という質問で「うっとおしてくって、感じ悪い」と話していた……。これも3人とも同じ答えだった……。

「わかる気がする」とかいうのが聞こえた……。

文庫本から目を離した僕は、ボクのことを話しのタネにしやがってと回りを見まわした。

一人だけ、うつむきかげんにボクを見て微笑んでくれたのは中学高校とほとんどクラスメートだった女性だった。中学の時、担任に殴られたとき、ぬれたハンカチを貸してくれた……。優等生はちがうなーと思っていた。

そして、先生にむかって、
「ほれたはれたじゃないだけ、大人だな!」と、笑ってやった。

女子が「本当! うっとおしてくって、感じ悪い」「それで高校生! おっさんみたい」「こんな奴、愛する人って大変ね」とブーブーいっていた。

「あー! 眠い」と、文庫本をまた読みだした……。

「あいつ、理想の恋愛って何ってきいてたら、「くされ縁」だって……、本当?」
「そうみたいよ。詩とか芸術はエッセンスにすぎないって……。料理でいえばスパイスだって……。生活至上主義が好きなのよ」
「ふーん、やっぱ、渋いわよね」
「ねえ、本当?」ボクに話しかけてくる。
「もう聞こえてないって、本の世界にひたっているのよ」

聞こえているけど、めんどうなので、相手にしなかった……。

「ジョン・レノンって、生活至上主義なの?」
「そうでしょう、あいつの憧れの人なんだから……」
「ジョン・レノンも不良だったんだって……」




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