『ＭＰのジープから見た占領下の東京－同乗警察官の観察記－』
原田弘・著/草思社1994年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「昭和20～30年代に米軍MPのジープに同乗し、通訳警察官として市内パトロールをする一群の警察官がいた。彼ら「MPライダー」の目を通して見た戦後の街の風景と世相史。
星条旗が翻っていた夢の街トウキョウを回想！」
消防手から警察官へ転官したという。下「」引用。
「昭和二十年九月三日、それまで消防手だった私は、この日をもって警察官に転官した。当時、消防は警視庁消防部に属しており、消防手の身分も巡査と同じ判任官（はんにんかん）待遇であった。その日、私は愛宕（あたご）警察署の北隣にあった警視庁警察練習所に入所し、警察官はなるべく一か月の速成授業を受けることになったのである。」
中曽根康弘も警察官だった。下「」引用。
「旧軍が解体されたあと、警察はそこからあふれ出た人たちの受け皿となっていたのである。私と同年の名簿を見ると第四方面警察官に“警視”中曾根康弘の名前が見える。警視といえばエリート中のエリートだが、彼もまた軍隊からの復員組であった。その他、坊さんとか歌手などの変わった職歴の人もいたが、彼らは戦時中、地方に疎開していたために人口流入の制限をしていた東京へもどってこれなくなった人たちで、警視庁につとめることを手段に帰京しようとしていた人たちだった。」
index
特高係員がパージされた。下「」引用。
「昭和二十年十月四日、GHQは「政治的、公民的、宗教的自由に対する制限除去に関する件」という覚書を出し、この覚書にもとづく勅令により、官制は改正され、内務大臣以下全国の特高関係職員は罷免されることになった。十月十二日、警視庁では特別高等警察部および総監官房の情報課が廃止された。そのため、警察署の特高係員も合わせ、六百七十六名の職員が公職追放（パージ）というかたちで首にさせられてしまったのである。」
そして建設業へ。下「」引用。
「元特高職員はその日から無収入者として敗戦の路頭へ投げ出され、悲惨な生活を送らなければならなかった。私の署ではさいわい管内の大手建設業者などが救いの手を差しのべてくれたようだが、戦前ゾルゲ事件の摘発をはじめ輝かしい功績をあげた特高が、共産党の弾圧ばかりが強調され、ソ連のゲーベーウーやナチスのゲシュタポあたりと同一視されて悪の根源のように言われ、その功績がまったく忘れられているのは、実に不公平なことだと思う。」
マッカーサーの息子入院
スケートで足を折り、当時陸軍病院だったいまの聖路加国際病院へ入院したという。
双葉山も奇妙な宗教の信者だったようだ。下「」引用。
「当時、有名な相撲の双葉山もこの璽光尊（じこうそん）の強烈な信者であった。」
マッカーサーに二人の巫女が非常識にやってきたという。赤坂署に渡されたという。
璽光尊事件－－双葉山も……。
昭和天皇のことも書かれてありました。下「」引用。
「昭和天皇もしばし官邸へマ元帥を訪問された。最初は終戦後間もない二十年九月十七日であったが、私はこのときはまだ警察学校で講習中であり、それを知らなかった。のちにいつごろだったか、昭和天皇がマ元帥の官邸を訪問されるということで、米兵が私に「今日ヒロヒトが来るよ」と告げたことがある。このころわれわれは天皇陛下をヒロヒトと呼ばれても、ちょっとピンとこなかった。とにかく本署へ一応電話をしておいたほうが無難だと思って電話すると、本署でもヒロヒトというのは誰か、ちよっと待て、問い合わせて返事をするという。警衛課に聞けば、それは天皇陛下だという。警察のほうへも天皇陛下の日程連絡は入っていなかったのであろう。ちなみにこのころは天皇陛下が官邸をご訪問されるときは、ほとんど警護車は付いていなかったようである。天皇は十回ぐらい訪問されて元帥と会談されたのではなかろうか。」
「「普通規律警邏隊」制度の誕生」 下「」引用。
「米軍の東京地区憲兵司令官（プロヴォスト・マーシャルズ・オフィス・メトロポリタン・トウキョウ・エアリア、略称PMO）でのMP同乗勤務が正式にはじまったのは、私が中央区隊に入隊する三か月前、昭和二十三年十一月三十日からのことである。この日、予備隊の各隊から選ばれた隊員たちへ、米憲兵司令部の出向し、MPのジープに同乗して協力して取締りにあたるように辞令が交付された。MPと日本の警察官を組ませた「普通規律警邏隊」制度の誕生である。」
講和条約発効で日本警察に捜査権がもどったという……。
index
index
もくじ
原田弘・著/草思社1994年
帯に書かれてあります。下「」引用。
「昭和20～30年代に米軍MPのジープに同乗し、通訳警察官として市内パトロールをする一群の警察官がいた。彼ら「MPライダー」の目を通して見た戦後の街の風景と世相史。
星条旗が翻っていた夢の街トウキョウを回想！」
消防手から警察官へ転官したという。下「」引用。
「昭和二十年九月三日、それまで消防手だった私は、この日をもって警察官に転官した。当時、消防は警視庁消防部に属しており、消防手の身分も巡査と同じ判任官（はんにんかん）待遇であった。その日、私は愛宕（あたご）警察署の北隣にあった警視庁警察練習所に入所し、警察官はなるべく一か月の速成授業を受けることになったのである。」
中曽根康弘も警察官だった。下「」引用。
「旧軍が解体されたあと、警察はそこからあふれ出た人たちの受け皿となっていたのである。私と同年の名簿を見ると第四方面警察官に“警視”中曾根康弘の名前が見える。警視といえばエリート中のエリートだが、彼もまた軍隊からの復員組であった。その他、坊さんとか歌手などの変わった職歴の人もいたが、彼らは戦時中、地方に疎開していたために人口流入の制限をしていた東京へもどってこれなくなった人たちで、警視庁につとめることを手段に帰京しようとしていた人たちだった。」
index特高係員がパージされた。下「」引用。
「昭和二十年十月四日、GHQは「政治的、公民的、宗教的自由に対する制限除去に関する件」という覚書を出し、この覚書にもとづく勅令により、官制は改正され、内務大臣以下全国の特高関係職員は罷免されることになった。十月十二日、警視庁では特別高等警察部および総監官房の情報課が廃止された。そのため、警察署の特高係員も合わせ、六百七十六名の職員が公職追放（パージ）というかたちで首にさせられてしまったのである。」
そして建設業へ。下「」引用。
「元特高職員はその日から無収入者として敗戦の路頭へ投げ出され、悲惨な生活を送らなければならなかった。私の署ではさいわい管内の大手建設業者などが救いの手を差しのべてくれたようだが、戦前ゾルゲ事件の摘発をはじめ輝かしい功績をあげた特高が、共産党の弾圧ばかりが強調され、ソ連のゲーベーウーやナチスのゲシュタポあたりと同一視されて悪の根源のように言われ、その功績がまったく忘れられているのは、実に不公平なことだと思う。」
マッカーサーの息子入院
スケートで足を折り、当時陸軍病院だったいまの聖路加国際病院へ入院したという。
双葉山も奇妙な宗教の信者だったようだ。下「」引用。
「当時、有名な相撲の双葉山もこの璽光尊（じこうそん）の強烈な信者であった。」
マッカーサーに二人の巫女が非常識にやってきたという。赤坂署に渡されたという。
璽光尊事件－－双葉山も……。
昭和天皇のことも書かれてありました。下「」引用。
「昭和天皇もしばし官邸へマ元帥を訪問された。最初は終戦後間もない二十年九月十七日であったが、私はこのときはまだ警察学校で講習中であり、それを知らなかった。のちにいつごろだったか、昭和天皇がマ元帥の官邸を訪問されるということで、米兵が私に「今日ヒロヒトが来るよ」と告げたことがある。このころわれわれは天皇陛下をヒロヒトと呼ばれても、ちょっとピンとこなかった。とにかく本署へ一応電話をしておいたほうが無難だと思って電話すると、本署でもヒロヒトというのは誰か、ちよっと待て、問い合わせて返事をするという。警衛課に聞けば、それは天皇陛下だという。警察のほうへも天皇陛下の日程連絡は入っていなかったのであろう。ちなみにこのころは天皇陛下が官邸をご訪問されるときは、ほとんど警護車は付いていなかったようである。天皇は十回ぐらい訪問されて元帥と会談されたのではなかろうか。」
「「普通規律警邏隊」制度の誕生」 下「」引用。
「米軍の東京地区憲兵司令官（プロヴォスト・マーシャルズ・オフィス・メトロポリタン・トウキョウ・エアリア、略称PMO）でのMP同乗勤務が正式にはじまったのは、私が中央区隊に入隊する三か月前、昭和二十三年十一月三十日からのことである。この日、予備隊の各隊から選ばれた隊員たちへ、米憲兵司令部の出向し、MPのジープに同乗して協力して取締りにあたるように辞令が交付された。MPと日本の警察官を組ませた「普通規律警邏隊」制度の誕生である。」
講和条約発効で日本警察に捜査権がもどったという……。
indexindexもくじ
