スペイン紀行（57） サンチャゴ・デ・コンポステーラ⑨ サンチャゴ（大ヤコブ）

スペイン国旗やらこの地方のガリシア県の旗等々が翻る中、大聖堂の
荘厳な姿が。

二つの巨大な尖塔の部分が教会。左翼は王の施療院、右翼は回廊があり、宝物館
になっています。

この建物の歴史はサンチャゴさん（大ヤコブ）の歴史もそうですが不明な部分も多い
のですが、最近の発掘調査で3世紀頃のローマ時代の墓の上に建っていることは
間違いないそうです。

伝承によれば、9世紀初頭に司教テオドミーロが明るい星の光に導かれて
サンチャゴの墓を発見したと伝えられます。これが巷間に伝わり、それを聞いたこの地を
当時支配していたアストゥリアス王アルフォンソ2世が、サンチャゴの墓と言われる場所に
教会建設を命じました。

その後872年にアルフォンソ3世により改築され、更に1078年には現在の姿である
大教会が着工しています。当時としては驚異的な早さでこの建物は工事が進捗して、
塔屋部分を含む主要部は1105年に、全体の完成は1128年となっています。
ヨーロッパのこれほどの大教会で僅か５０年くらいで完成というのはボクは余り例を
知りません。如何に当時の国王がこの教会を必要としていたかと言うことがよく
分かります。

この工事期間が短いことが、全体が後から殆ど手を加えられておらず、このような
統一された緊張感のある美しいフォルムが維持できた一因ではないでしょうか。
そういう意味で、現在建設中のガウディのサグラダ・ファミリアも多くの人が携わり、
その統一感は行くたびに失われているような気がするのはボクだけでしょうか。

因みに、この装飾に使われている彫刻群の様式はフランスのトゥールーズを始めとする
サンチャゴ巡礼路の教会にも特徴がよく見られるそうで、前にも書きましたが、フランスの
教会建築に携わったマエストロ（美術家・工匠）がこの建築に多く参加していたのでは
ないかと思われます。

真中の尖塔の下に立っているのがサンチャゴさんです。12使徒の中でもヨハネと
共にもっともキリストと近かったとされる大聖人。そして12使徒の中で真っ先に
殉教した人でもあります。

帽子をかぶって手には杖を持って。この杖の先には小さくて見づらいのですが、
ホタテガイの殻がつけられています。ホタテの殻はサンチャゴさんのシンボルです。
サンチャゴさんの頭の上にはちゃんとホタテの彫刻があります。

こちらのサンチャゴさんは普通の杖を持っています。

このサンチャゴさんは棍棒のような剣のようなものを持っています。実はサンチャゴさんは
平和の使徒、愛の使徒でもあり、更には戦いの使徒、守護聖人でもあります。この辺りは
十字軍の歴史とも絡みます。それはまた別途解説を。

下の方には王冠を頂いた女性像が。なんやら箒みたいのを持っていますが、
これはなんでしょう。何れにしてもサンチャゴさんにしても、この女性像に
しても衣服のドレープまで巧みに表現されていて。フランス・ロマネスク建築
の特徴が良く出ています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ｐｈｏｅｎｉｘ　東北＆関東
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・