敬愛する先輩が久しぶりに私を誘ったので、新橋に出かけた。その店は、日本酒のソムリエがいるというふれこみ。なるほど、野菜、魚、肉、移り変わる食材の妙に応えるように、若き女性ソムリエは、日本各地の酒を薦めてくれる。
北海道から沖縄まで、当地でとれる食材に対して、日本人は特有の思い入れを持っている。最近はこれが少し商業主義的になりすぎて、大間のまぐろ、関さば、関あじなど、いま流行の「産地偽装事件」が起きても仕方ないような状況がある。
日本酒の文化は、その産地における水の美しさと言う点で、風景の奥行きを感じるものがある。食材や酒の後ろ側にある物語(ストーリー)こそが、美しい国 日本の姿なのである。
祖国の美しさを知るのは、その人の生活に根ざした経験の量と器の深さであって、けして為政者などから教わるものではない。
(写真は造り酒屋の梅酒。見ているだけで涼味を誘う)