世界陸上の男子100メートル決勝を見た。アサファ・パウエルとタイソン・ゲイの一騎打ち!軍配はゲイに上がった。向かい風9秒85という記録。
1964年東京オリンピックのとき、ボブ・ヘイズというアメリカの選手が、100メートルを10秒00という世界記録で走破した。それがどれほど早いものか? 当時、子供だった私たちには想像すらできなかったが、43年経った世界陸上の優勝タイムが9秒58だったことを考えると、やはりヘイズの記録は驚異的なものだったのだろう。
玉木正之のこどもスポーツ研究室(http://www.spopara.com/sp/tamaki_child/008.html)では、このことについて、面白い解説をしている。1964年当時は、審判がスタートとゴールを彼自身の目で判断してストップウォッチを押していたので、現在のような機械に頼る判定とは、誤差があるというのだ。いわく、ヘイズの10秒00という記録にしても、今の技術基準に照らすと、9秒95から10秒44までの範囲での判定ということになるらしい。いずれにしても、1着とビリの差は、肉眼で見る限り「あっという間」である。
ヒュー・ハドソンの映画「炎のランナー」では、限りなく美しく陸上競技が描かれている。さすがCM界の出身だけあって、映像のインパクトは抜群、しかもヴァンゲリスを音楽担当に迎えたことによって、この映画は世界的な成功を勝ち得た。「日曜は神の安息日。したがって神に仕える者は、日曜の競技で走ることはできない」。映画に登場するのは実在の人物だから、本当にこんなストイックな話があったのだろう。
映画の冒頭、若者たちが無心に海辺を走るシーン。ヴァンゲリスの名曲に乗って、私たちの脳裏に一生焼きついている映像である。
(写真は、亀倉雄策がデザインした東京オリンピックのポスター)