2020@TOKYO

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■ハリケーンの目

2007-07-12 | ■芸術(音楽、美術、映画、演劇)
  
  台風4号が接近している。沖縄は今夜半に暴風域に入るそうだ。最大瞬間風速が60-70メートルに達する見込み、たいへん危険な状況である。近頃、目にし、耳にする自然災害は度を越したものが多い。温暖化の影響なども語られている。何事もなく、台風が去ってくれることを祈りたい。

  "The Eye of Hurricane" = 「ハリケーンの目」という曲が入っているのが、ハービー・ハンコックの「処女航海 = Maiden Voyage」というアルバム。フレディ・ハバード (tp)、ジョージ・コールマン (ts)、ロン・カーター (bs)、トニー・ウィリアムス (ds)、そしてハンコックのピアノというクインテット。ジャズ史に残る名盤中の名盤として親しまれている。

  このメンバーは後にウエイン・ショーターをサックスに迎え、V.S.O.P.として再生する。V.S.O.P.はブランデーの名前ではなく、Very Special One Time Performance の頭文字をとったもの。ただ一度の、特別なパフォーマンスのために集まった5人だが、このメンバーは何度かの来日を含め、しばらくの間、活動を続けるようになる。

  1977年7月23日、田園コロシアムに登場したこのグループの演奏は、 " The Eye of Hurricane " で始まった。このときのライブは " Tempest In The Colosseum " =熱狂のコロシアムというアルバムに収録されていのだが、ハリケーンの目は、なんと16分をこえる演奏!文字どおり、田園コロシアムに嵐が吹き荒れるような大熱演だった。あの頃、ジャズは限りなく熱く燃えていた。

  早世したジャズ評論家の中野宏昭氏は、「ジャズはかつてジャズであった」という名著を遺した。リチャード・エイブラムス、アート・アンサンブル・オブ・シカゴなどについて、渋谷のメアリー・ジェーンでの勉強会に出席していた私は、アヴアンギャルドについて、静かに平易に語る中野氏の大ファンだった。「ジャズはかつてジャズであった」。この言葉は、30年以上経った今でも私の心に響き続けている。

  台風の接近がウソのように、東京は静かである。小さな音で、「処女航海」を聞いてみる。

  (写真:アルバム「処女航海」のフロント・カバー)
  
  

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1 コメント

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メアリー・ジェーンにて (中野倫太郎)
2018-10-23 14:54:00
明日閉店してしまうメアリー・ジェーンにて、何気なく手元の携帯で検索し、こちらのエントリーを発見しました。
父の大ファンだったとのこと、なんだか嬉しかったのでコメントしてしまいました。
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