2020@TOKYO

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■ロベルト・プレガディオ  アッレ・タスティエレ

2009-11-14 | ■芸術(音楽、美術、映画、演劇)
  渋谷のHMVは、私にとって音楽のショーウィンドウのような場所で、毎日訪ねても常に新鮮な驚きがあります。

  一昨日、ジャズ・コーナーで店内演奏されていたのが、ロベルト・プレガディオ ( Roberto Pregadio )の「アッレ・タスティエレ ( Alle Tastiere ) 」というアルバム。
  
  ロベルト・プレガディオ氏は、南イタリアのカターニアの出身で、1960年代から映画音楽の仕事を始めたそうです。私にとっては未知の作曲家でしたが、今回出合ったアルバムは、彼がピアノを弾くトリオによるもので、1974年に録音されたライブラリー音源集。

  ライブラリー音源というのは、テレビやラジオのドラマなどで自由に使うことが許された音楽のことで、使用者は包括契約によって音源の使いまわしが可能になります。

  「アッレ・タステイエレ」には、そのようなライブラリー音源11曲が収録されていますが、いずれも3分程度の短尺ものばかりです。

  1974年の録音であるにもかかわらず、CDはモノラルの音になっていますが、それがまた不思議な哀愁を漂わせ、私は完全にロベルト・プレガディオ氏のサウンド・マジックにはまってしまいました。

  イタリアの映画音楽作家といえば、真っ先にエンニオ・モリコーネ氏が頭に浮かびますが、モリコーネ氏の情緒纏綿たる大オーケストラ的な作風に比べると、プレガディオ氏はかなり普通にあっさりとしています。あっさりしているのに、ちょっとしたフレージングが人の心をグイっとつかまえてしまう。この技が小気味よく、何度もくりかえし聴きたくなってしまうのです。

  特に、一曲目の「ワイルド・ガール」と二曲目の「ランド・スケイプ」、十曲目の「ムーンレス・ナイト」などは、この音楽が使われたはずの芝居や映画の場面を勝手に想像したくなるような哀愁をおびたメロディ・ラインで、心にしみ入ります。

  それにしても、こんな音源を何処でどうやって捜したのか?ライナー・ノートを書いているのは、この音源の発掘者とおぼしき丸山雅生氏。神戸にあるセレクトCDショップ・disques dessinee のオーナーです。こういう人がいてくれるから、日本の音楽シーンの幅が広がっていくのでしょう。これは快挙です!

    
  
  
コメント
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