2020@TOKYO

音楽、文学、映画、演劇、絵画、写真…、さまざまなアートシーンを駆けめぐるブログ。

■俳人EU大統領

2010-04-19 | ■俳句
  4月16日の朝日新聞朝刊の国際面に、EUの大統領が句集を出版したという話が載っていました。記事はつぎのようなものです。「ベルギー人で俳句愛好家として知られるEUのヘルマン・ファンロンパイ首脳会議常任議長(EU大統領)が15日、ブリュッセルで自作の句集を披露した。(中略)一番好きな俳人は松尾芭蕉。『ふだんは夜、寝る前に俳句をひねる。起きると頭に浮かんでくる』と記者らに語った」。

  俳句はオランダ語で詠まれているのだそうですが、英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語の翻訳がついているそうです。彼は4月末に来日するのですが、滞在中に句を詠みたいそうです。

  EU大統領の来日に合わせて、日本と欧州の俳句コンテストが開催されます。昨日が締め切りだったようですが、外務省のホームページに概要が載っています。4月1日に募集をはじめたところ、200句あまりが寄せられているようですが、ほとんどが欧州からの応募だそうです。

  おそるべし、俳句の力。


  欧州の俳句界はそのようなことになっていますが、こちらは句会に参加しはじめて一年、今まで詠んだ句の中から自選したものをまとめてみました。もしご興味のある方はご一報ください。データでお送りいたします。

  お申し込みは、このブログに「俳句一年送れ!」とコメントしていただければ結構です。お送りするアドレスも併記してください。なお、コメントはブログには反映されません(外には出ません)のでご安心ください。


  

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■四月句会 その七

2010-04-15 | ■俳句
  四月句会の席題は「合」でした。席題とは、句会の当日に師匠から提示されるもので、短時間に即興で詠む技が要求されます。季語を入れなければなりませんが、当日の季語を流用することは許されています。

  晩鐘の 余韻に合わせ 蛙啼く   白竜子

  蛙(かわず)という季語、例の芭蕉の句が存在するかぎり、とても思いつくものではありません。今回も、事前に準備した五句に蛙はありませんでした。そこで、思い切って席題の合うに使ってみました。

  師匠からは、「啼く」という字は大きな動物(たとえばカラス)に使うもので、蛙は「鳴く」にすべしとの指摘がありました。

  晩鐘の 余韻に合わせ 蛙鳴く   白竜子
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■四月句会 その六

2010-04-15 | ■俳句
  さて、今回の恋歌シリーズですが、いよいよ佳境です。

  葉桜に 散りゆく想ひ 重ねたり   白竜子

  花一切ということで、葉桜を季語にしましたが、最初は若芽の息吹のようなものを表現しようかと思っていました。美しい桜の花びらは散ってしまったが、その後から新たな生命が生まれるという設定です。しかし、やはり恋歌シリーズの流れとして、このような句を詠むことになりました。

  葉桜に 散りゆく想ひ 重ねたり   白竜子

  
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■四月句会 その五

2010-04-15 | ■俳句
  さて、だいたい毎回、音楽に関連した句を詠んでいるのですが、今回は、「困ったときの音楽ネタ」の例を挙げてみます。

  初桜 吾の望みと 喜びと   白竜子

  まさに、ヨハン・セバスチャン・バッハの「主よ人の望みの喜びよ」から発想を得ました。吾はもちろん、「われ」と読みます。

  初桜 吾の望みと 喜びと   白竜子
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■四月句会 その四

2010-04-15 | ■俳句
  昨日のブログ閲覧数は、開設以来最高を記録しました。通常時の約4倍というカウントです。ありがとうございました!

  さて、四月句会のつづきです。昨年の十二月句会、大きな反響を呼んだのがつぎの句でした。

  かの人を 手袋のまま 抱きしめる   白竜子

  季語は「手袋」なのですが、ほとんどの参加者から『てっきり女性が詠んだ句だと思った』という声をいただきました。

  これに味をしめて、四月句会では以下の一句を詠みました。

  手ずからに 帯をほどきし 春の暮   白竜子

  案の定、佳作としてとってくれた人が、えっ!女性じゃなかったんだ、と驚いていました。ただ、しかし、この句にはさらに奥がありまして、手ずからにという言葉に注目していただきたいと思います。

  これは、自分の手で…という意味ですが、視点を変えると、誰かが自分の手で、誰か別の人の帯をとくという情景にも映るわけです。

  むしろ、その解釈の方が、春の暮という季語の妖しさが際立つのではないでしょうか?

  手ずからに 帯をほどきし 春の暮   白竜子
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■四月句会 その三

2010-04-14 | ■俳句
  さて、三か月ぶりの句会も無事に終わり、結果的には六句の中で五句が選に入るという好調ぶりをキープしました。

  昨日、ひとつのテーマにしぼったと書きました。それは、恋歌というテーマです。万葉の恋歌のように、自らの恋情を吐露するというものではなく、恋に関する句という意味です。それでは本日より連日、四月句会で詠んだ句をご紹介いたします。

季題は「花一切」「蛙」「春の暮」というもの。花一切とは桜一切という意味です。桜であれば、桜鯛でも桜吹雪でもよいということになります。また、当日の席題は「合」でした。

  初恋や 雫れ桜の 夢のあと   白竜子

  雫れ桜は、こぼれざくらと読みます。

  初恋や 雫れ桜の 夢のあと   白竜子
  
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■四月句会 その二

2010-04-13 | ■俳句
  昨日まで悩んでいたものの、今朝、突如として十句浮かびました。もとより、俳句は推敲に推敲を重ねるという性格のものではなく、おそらく即興を旨とするものでしょうから、これが自然な状態だと思います。

  一気に詠めたのは、ひとつのテーマにしぼってみたからです。このテーマが句会で受け入れられるのかどうか、もし本日参加の諸先輩に喜んでいただけたら、今までの例にならってデイリーで一句づつご紹介いたします。

  不幸にも、まったくの的はずれだったときは、別の話題を掲載します!

  昨日は、昼と夜の2回、臥龍にて食しました。今回の句作のテーマ、じつは臥龍のカウンターで閃いたものです。
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■四月句会 その一

2010-04-12 | ■俳句
  今年に入り、一月から三月まで忙しくて句会に出られませんでした。ようやく諸々が一段落したので、明日、師匠をはじめ、メンバーの皆さんにお会いできます。

  季題は、「蛙(かわず)」「春の暮」「花一切」というもの。今までは、句会の前日までにはおおむね詠んでいたのですが、今回はまったく何も発想が生まれません。完璧に無、あるいは空という状態です。長い間休んだのが勘を鈍らせているのでしょうか?それとも、十二月句会で燃えつきたのでしょうか?

  初めて、手ぶらで参加ということになりかねません。冷や汗ものの四月句会、いよいよ明日です。
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■十二月句会 その五

2009-12-19 | ■俳句
  今回の句会、私にとっては手袋という季題がいちばん難物でした。当日、他の出席者たちの手袋を詠んだ句に接し、なるほど俳句に長じている人の感性は自分とは違うと感心しました。

  手袋の片方を失くす…というテーマが意外に多く、また、手袋を編むという風景の描写も数点ありました。私の作品は取り上げられるか?無視されるか?自分自身ぎりぎりの決断ではありましたが、とにかく手練の方々の意見を仰ぐべく、思い切って短冊にしたためました。

  彼の人を手袋のまま抱きしめる  白竜子

  結果、半数をこえる出席者から佳作の評価をいただいた上に、師匠からは特選の声がかかりました。彼の人=かの人は、オペラ「椿姫」の有名なアリア、ああ、そは彼の人か…に由来します。

  作者が私であることを知り、詠み手が男であることに驚いたという方もいました。句会が終わった後、師匠を囲む忘年会が催されたのですが、席上師匠はこの句について、彼の人が、あの人やその人では特選は出せなかった。彼の人としたところに意味がある!と仰っていました。また、抱きしめるは口語体で、選者によってはこのような表現が忌避されることがある、しかし自分はこの手法を認めると言い切ってくれました。私は、私自身の俳句世界が少しだけ拡がったような気がしました。

  
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■十二月句会 その四

2009-12-18 | ■俳句
  席題の「最」は、プラスとマイナス、極端な表現を呼び込む恐れがありました。最高、最悪、最良、最善、最愛、最下、最古など。強い表現は句を下品にしかねないと思い、私は最初という語句で詠んでみました。季語には寄せ鍋を持ってきました。

  寄せ鍋や最初はいつも灰汁をとり  白竜子

  これは、師匠が佳作としてとってくれました。他に衆目を集めたのは次の句でした。

  寄せ鍋に夢が集いて学生寮  白竜子

  私は、学生時代も社会人になってからも寮生活の経験がないので、これは想像の句です。

  さて、いよいよ明日は私自身、本年の最高傑作と思える句をご紹介します。一か八か、衆目を集めるか無視されるか?私にとっては一種の賭けでしたが、結果は多くの参加者から指示され、師匠からは特選をもらいました。十二月句会の季題は寄せ鍋、飾売り、手袋の三つ。今までご紹介した句の中に、手袋という季語は出てきていません。2009年の掉尾を飾る傑作、ご期待ください。
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■十二月句会 その三

2009-12-17 | ■俳句
  師匠から特選とされた二句、本日はそのひとつをご紹介します。

  神楽坂日向の先に飾売り  白竜子

  神楽坂という語句の強烈なインパクトが句の存在感を決定づけた、と選者は評しました。その後で、さすがにプロは次のようなアドバイスをくれました。

  日向の先に…は、日向の先は…とした方がよかったかもしれない、と。

  神楽坂日向の先は飾売り  白竜子
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■十二月句会 その二

2009-12-16 | ■俳句
  かくして今年最後の句会が終わりました。早々に結果をお知らせすべきところ、昨日から大阪に行く用事があり、ブログへのアップが遅れてしまいました。

  私にとって、2009年の掉尾を飾る句会は、誠に満足のいく結果となりました。というのも、詠んだ句のほぼ全てが多くの参加者によって佳作に選出されたばかりでなく、ありがたくも二句が師匠から特選とされました。

  季題は、手袋、寄せ鍋、飾売り。当日の席題は「最」でした。

  本日から数回にわたり、自作をご紹介します。まず、約半数の方々から佳作として支持された一句。

  寄せ鍋や愚痴を薬味に友の声  白竜子
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■十二月句会

2009-12-13 | ■俳句
  テレビドラマ、「JIN-仁―」がいよいよ佳境に入りました。次の日曜日が最終回の放送だそうです。南方先生の頭痛は、野風の病は、咲の縁談は、龍馬の運命は……、来週の放送は80分をこえる特別枠だそうで、ドラマチックな展開が期待できます。

  明日の月曜日は、久々の句会に出ます。題は、手袋、寄せ鍋、飾売り。今年最後の句会です。
  
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■九月句会 その五

2009-09-21 | ■俳句
  さて、すでに書いたとおり、句会には毎回「席題」というものが師匠から提示されます。私が始めて出席したときの席題は「鉄」、次が「気」、「急」とつづき、今回は「半」という題でした。

  半という題さえ入ればよいわけで、半分、半端、半漁人など、使い方は自由です。ただし、その場で詠む即興芸が問われるわけで、まさに実力が試される機会でもあります。

  季語の設定がむずかしい場合は、当日の季題を使うことが推奨されていて、この作戦に出る人が結構多いようです。

  そこで、私は「鯊」を使用し、以下の句を詠みました。

  鯊の背に半透明のひれ踊り   白竜子

  仕事の過労が重なって、句会の会場に着いたときにはほとんど寝てしまいそうな状況の中で詠んだものなので、自信はまったく無かったのですが、師匠が佳作として採ってくれました。

  そんな中、少し遅れてきて私の隣に座ったある参加者は、大島の単衣を凛と着こなし、席題を聞くやしばらくの間をおいて、ささっと短冊に筆を走らせました。

  それがどんな句だったか、私はカンニングをしませんでしたが、やがてその句が特選になったことで、全貌が明らかになりました。

  半襟の色も冴えたる月の道   香を里

  席題の「半」を半襟と見立てたところで勝負はついていました。しかも、この句の空気感の清冽なこと!この人が歩く月の道の先には何が待ち受けているのか?決して、悲劇だけは待ち受けているはずがない…と思わせる不思議な気配。

  半襟、色、冴える、月、道といった文字が心の安寧を表すのは何故か?

  半襟の色も冴えたる月の道   香を里

  「月に憑かれたピエロ」同様、私はますます俳句の深淵に引き込まれて行くのでした。

  

  
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■九月句会 その四

2009-09-19 | ■俳句
  句会への参加は、これで四回目になりますが、私は音や音楽に関わる句をなるべく一つは詠むように心がけてきました。

  今回の季題は吾亦紅、鯊、月でしたから、音楽に関わるテーマとしては月が一番適切でした。少し考えてはみたのですが、夜想曲とかノクターン、あるいは月光ソナタなどといった陳腐きわまりない発想しか出てきません。そこで、夜汽車の汽笛をモチーフにして、とりあえずは音に関わる句を読んだわけです(九月句会 その一)。

  ところが、今回の句会では驚くべきことが起きました。私は、ある参加者の句を見て愕然としました!

  あの人も月に憑かれたピエロかな   岡松朝季

  Pierrot Lunaire = ピエロ・リュネール(月に憑かれたピエロ)。20世紀現代音楽の扉を開いたシェーンベルクの代表作です。室内楽の伴奏で、女声によって歌われるのはアルベール・ジローの詩21編。後期ロマン派の音楽がもたらした調性の崩壊を体現した作品で、12音技法へ向かいつつあるシェーンベルクの傑作です。

  18歳のころ、大阪万博で出会ったシュトックハウゼンの衝撃を皮切りに、私は一気に現代音楽の世界に足を踏み入れましたが、その方向を決定づけたのが、シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」という作品でした。

  あの頃からおよそ40年、再びこの作品のタイトルに出会うとは!しかも、句会の席上で!音楽にまつわる句を探っていた中、まさに「やられた!」という感じでした。

  あの人も月に憑かれたピエロかな   岡松朝季

  「俳句は写生である」という一つの定義に、この句がかなっているのかどうかは分かりません。しかし、声に出して詠んだときの不思議な感覚、描く対象を冷静に客体化しつつも、どこかで背筋が凍るような鋭い韻律を感じます。

  十七文字のうち、月に憑かれたピエロで十文字を費やし、残りの五文字でこの句が支配する空間と時間を表してしまった。これは、まことに音楽的な句だと思います。音楽は1オクターブ=全音と半音12の音で出来ています。ドビュッシーは、モーツァルトの音楽を評して「これほどの音楽が、たった12の音で出来ているとは!」と書き残しました。この言葉を借りれば、これほどの世界が、たった十七の文字で出来ているとは!

  私は、この句に心からの感動を覚え、作者の許諾を得てここに紹介しました。今までの句会で出会った句の中では、もっとも衝撃的な作品でした。

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