疾風怒濤の80年代

日本中が熱い風に包まれていた1980年代
そのころの音楽・映画・テレビなどを語る30代のための
広場です!

オペラ座の怪人

2005年04月14日 22時59分34秒 | 映画・ドラマ
今日、やっと映画の「オペラ座の怪人」を見ました。
なにしろあの「ファントム」を映画化しようというジョエル=シューマッハーの勇気には
感銘を受けますね。だって、ここ40年で最高のミュージカルでしょう?間違いなく。
いや、もちろん「レミゼ」も「キャッツ」もいいけれど、ミュージカルの高揚感を
劇場で味あわせてくれたのは、やはり「ファントム」ですよ。
私は1989年に四季のを東京は新橋演舞場ではじめて見ました。
その時、シャンデリアがガーンとあがっていったときに興奮は忘れません。

さて映画版ですが、基本的にロード=アンドリュー=ロイド=ウエーバーが全面的に
かかわっているので、ミュージカル版と台詞も曲のアレンジもほとんど変わらない
感じで、そういう面では、見ているものの期待を裏切らない出来だったと思います。

映画版のいいところは、このミュージカルがもつ時間的な広がりを、さらに映像手法を用いて
劇的にしたところですね。それは、はじめのオークションがモノクロで、そこからカラーになっていくところもそうですが、一番それが発揮されるのがラストシーンの、「クリスティーヌのその後の人生と、ファントムのその後の人生を暗示するカット」だと思います。
あれはあれ以上でもあれ以下でもだめで、非常にいい感じで収まっていると思います。

逆に映画版の悪いところは、空間的な広がりのリアルさですね。
言うまでもなく舞台版の革命的な仕事である霧の船の場面や、マスカレードのシーンの
高揚感は、「映像的なリアルさ」を求めてしまったり、「この物の寄りの絵がないと何の事を
話しているのか分からない」という説明的なアップ手法の多用で、どうしても薄れてしまっています。
それはオペラ座内部の描写でもいえると思います。
リアルを捨てて耽美的にというところでは、スタッフの思いは同じでかなり頑張っていますが、
どうしてもカメラの目は寄ったときに露悪的に移ってしまうことがあって、それが残念でした。

あと、「墓場にて」のシーン(四季の邦題ですね)あのクリスティーヌの衣装はないでしょう?
黒いネグリジェに胸を強調した衣装では、黒が雪景色でディティールを失うので、
胸がやけに生々しく見えてしまいます。あれはいけません。クリスティーヌは清純さのイコンなのです。

逆に「ポイント・オブ・ノーリターン」のシーンはよかったですね。あれは映像のもつ寄りの
力をいい風に使った好例だと思います。
あそこでクリスティーヌ・ラウル・ファントムそれぞれの瞳に宿る感情を、話さないで
表現するのは映像の力だと思いますし、あのシーンを撮ったことで、この映画は凡百の
映画からはかけ離れた映画になったと思います。

ただ、40年前のナンバーワンミュージカルであった、「ウエスト・サイド・ストーリー」の
映画版がもつ端正な力は残念ながらないかもしれませんね・・・。


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