「利剣名号」のお力で疫病退散(その1)

2020-05-09 10:25:36 | 紹介
信玄ミュージアム内、旧堀田古城園には床の間があり、
建物をご寄付いただいた時、掛け軸も何点か残していただきました。
その中にあった、こちらの「利剣名号軸」(りけんみょうごうのじく)は、ちょっとした変わり種。

旧堀田古城園・主屋の広間に飾られた「利剣名号軸」(右)

早速ですが・・・「利剣名号」ってなんでしょう。

「利剣」とは、切れ味抜群の、鋭く尖った刀剣のこと。
仏教では、煩悩、邪気、災厄を切り裂く仏法・智慧の象徴とされ、
不動明王が手に持っている「ご利益のある剣」を指します。

「名号」とは、「南無阿弥陀仏」のお念仏そのもの。

面白いのは、その書体。フォントと呼んだ方がふさわしいかもしれません。
字画の末端を、それぞれ鋭く尖らせたもの。まるで「剣」のように✨
文字のひとつひとつに、「悪い因縁を断ち切らん!」との願いが込められているとか。


ちょっとアップでご覧ください♪

こちらのお軸、京都の百万遍知恩寺に伝わる「利剣名号軸」がオリジナル。
鎌倉時代の疫病の流行がきっかけで、全国に広まったそう。
そして、作者はなんと、あの空海!
掛け軸の左下に、「空海」の2文字と手形(手印)が押されています。

百万遍知恩寺の「利剣名号軸」はこちら。「宝物」の「その他」をご覧ください。
http://chionji.jp/houbutsu

百万遍知恩寺とは・・・昔から「ひゃくまんべんさん」と親しまれる、
浄土宗七大本山のひとつ。やはり京都にある知恩院とは別のお寺です。
名の由来は、読んで字のごとく、「恩を知る寺」。
浄土宗を開いた法然上人(1133-1212)がお亡くなりになった時、
その弟子である源智上人が
尊敬してやまない師匠への感謝の思いを込めて、こう名付けたそうです。
この「利剣名号軸」は、毎年4月に営まれる「御忌大会」(ぎょきだいえ)という
法然上人の忌日法要の期間中にだけ公開される、百万遍知恩寺の秘宝✨。

真言宗の開祖である空海のお軸が、どうして浄土宗の知恩寺に!?
お話はもう少し続きます。よろしければお付き合いください。

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