ひし形のお茶室に流れる「大夢」~TIME⌛~

2020-08-21 10:01:51 | 紹介
信玄ミュージアム内の昭和初期の料亭旅館、旧堀田古城園。
ミュージアムがオープンした時、その離れのひとつが茶室に改修されました。
それが、武田家家紋・武田菱のひし形のお茶室です。

現在、新型コロナウイルス感染対策のため、
外からご覧いただくご見学スタイルですが、
覗いていただくと、掛け軸に、ちょっとミッキーマウスに似た(!?)
「夢」という文字♬

「大夢」(たいむ)
これは、中国の詩人・李白(701-762)の「春日酔起言志」の詩の一節。
ここでの「大夢」は、大きな夢、大きな理想という一般的な意味よりも、
荘子の説いた「胡蝶の夢」に重なる世界のようで。
~夢の中で蝶となった自分が飛んでいた。ふと目覚めて自問する。
蝶になった夢を見たのか?
それとも、今、人間として生きる自分は、蝶が見ている夢なのか?
・・・いずれにせよ、どちらも自分であることに変わりはない。~

そんな李白の詩をざっくりですが、ご紹介すると・・・

「人生とは、大きな夢を見ているようなもの。
そんなにあくせくすることはない。
だから、一日中酔っぱらっている。
酔いから覚めると、鶯が春風の中しきりにさえずっている。
過ぎ行く時間にため息をつきつつ、
また酒を飲み、詩を吟じながら月を待つ・・・」


都での仕官を目指した李白。
詩の才が認められ、宮廷で「天子側近の顧問役」として玄宗に仕えることとなりますが、
李白の礼法にとらわれない言動で摩擦が起こり、長安を去ることに。
この詩は、いまだに天下国家に思いを残す一方で、
李白の志をよそに時が流れていく様が描かれています。

夢と現、酔いと覚醒、李白をも取り巻く世俗的な問題と、それにとらわれない自由奔放さ・・・
相反する状態が行ったり来たりしながらも、ふしぎに調和していく「大夢」(たいむ)の境地。
それが、潮が引いては満ちるというイメージを含むTime ⌛にふしぎと重なって・・・。

「大夢」は春の詩ではあるけれど、
ひし形空間のふしぎな感覚とともに、「大夢」の世界を味わってみてください。

ひし形な感じ、伝わりますか😅 




コメント
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