かなかんぶつ~甲州独自の節句飾り~

2020-05-01 13:39:07 | 紹介
ゴールデンウイークに入りました🍃
今年は新型コロナウイルス感染防止のため、多くの方がステイホーム🏠でしょうか。

端午の節句であるこどもの日は、何か特別なことをされますか?
鯉のぼりや五月人形など、飾っているご家庭も多いでしょうか。
柏餅を食べたり、菖蒲を飾ったり、菖蒲湯に入ったり。
初節句であれば、おじいちゃんおばあちゃんなども集まってお祝いするお家も。
(今年はちょっと難しいかもしれませんが。)


ところで、「かなかんぶつ」という名前を耳に、
またその姿を目にされたことはありますか?

「かなかんぶつ」、またの名を「おかぶと(さん)」。
男の子の健やかな成長を願い、縁側など人目に付く場所に飾られた節句の外飾り、人形です。
紙製の張子面を棒で支え、その下には、鎧の袖のようなものが垂れ下がっています。
長さはだいたい4尺(約120㎝)ほど。
張子面は、武田菱をつけた武田信玄が一般的だったようですが、
他に鎌倉や戦国の武将、桃太郎や天狗のものなどもあったとか。
垂れ下がった部分に、日の出に鯉や亀(!)の瀧登りというバージョンもあったようです。

※『甲斐の落葉』より

端午の節句のお飾り、邪気払いで菖蒲やヨモギを家の門に飾っていたものが、
鎧兜や武者人形など、家の中で飾る今日の姿に変化する中、
「かなかんぶつ」は武者絵を取り入れつつ、外飾りの風習を残したものと言われています。
江戸後期から明治中頃まで流行。実は、他では見られない甲州独自の節句飾り。
しかし、明治の文明開化政策で、多くの年中行事や習俗が縮小される中、
「かなかんぶつ」も途絶えてしまいます・・・。


※『甲斐の落葉』、山中共古、1926年
牧師として甲府に滞在中、山梨県内の民俗や考古資料を調査、出版。
日本民俗学の先駆者のひとりとして評価されている。
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