昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

リーダー電子 テスト オシレーター LSG-11(1)

2008-04-29 | 昭和三丁目の真空管ラジオ

曲がりなりにも半田ごてとテスターを使い、真空管ラジオのレストアの真似事を楽しんでいる店長としては、測定器にもつい関心を寄せてしまう。そんなある日、ヤフオクで目に止まった測定器が、リーダー電子の昭和43年製シグナル ジェネレータ LSG-11である。 
        
 LEADER TEST INSTRYMENTS LSG-11 SIGNAL GENERATORと書かれた外箱の横に並ぶグレーに塗装されたLSG-11本体ケースの中央には、 “ 俺は測定器だ~! ”と自己主張するかのように大型スケールダイヤルが据えられている。その周囲にレイアウトされた各種切替スイッチや調整ノブといった “ 昭和の機能美 ” に、ボクの目は思わず釘付けとなった。
        
 シグナル ジェネレータは、ラジオのレストアをするとき、IFT調整、トラッキング調整などを行なうために必要な測定器であり、 修理や調整の力強い味方になるそうですが・・・真空管ラジオの清掃と簡単な部品交換、デザインにまつわる “ 講釈 ” を並べるだけの、「なんちゃってレストア・ワールド」を楽しむ店長には、まさに “ 猫に小判 ” 。 
        
 本来Signal Generatorとは、安定した任意の周波数と強度の信号を発生させることのできる測定器を指しますが、本機は「シグナル・ジェネレーター」と銘打っているものの、実際はテストオシレーターと呼ばれる簡易的な信号発生器。 400Hzと1000Hzの低周波信号、120KHz~390KHzの高周波信号をHigh/Lowの2段階で発振し、強弱の目安にしかなりませんが、真空管ラジオや受信機の調整に重宝する測定器なのです。

 今回入手したリーダー社製シグナルジェネレーター(テストオシレーター)LSG-11は、トランスレス・ラジオ2台分、つまり居酒屋2回分 or キャバクラ2セット分(笑)の価格で落札。当時のアマチュア無線家の方が購入され、使われる機会もほとんどなかったのか、元箱入りで届いたLSG-11は、'68年製の年代ものにしては実にキレイで使用感はまったくありません。 ただ取扱説明書と思われた添付の冊子は、リーダー電子の製品カタログ・・・当てが外れてしまいました。
トホホ・・・ (T△T)
        
 LSG-11は、双3極管の12BH7による発信回路および緩衝回路、6AR5によるAF発信回路または水晶発信回路、セレン整流器による整流回路で構成されています。
発振回路は、A~Fの6バンドで120Kc~130Mcまで対応し、高調波を利用するため120~350Mcのスケールもあります。発信回路には周波数調整用のトリマやコア等は一切ついていませんが、全バンドでほぼスケールどおりに発信します。
また周波数可変用にアルプス製2連バリコンを採用、ダイアル機構は金属製円形プレートをシャフトで回転させる仕組のため、スムーズな操作感です。
    
操作パネル説明
  ①変調/搬送波/水晶 選択スイッチ (EXT/400~/1000~/XTAL)
  ②校正用水晶発振子端子 (XTAL)
  ③パイロットランプ
  ④電源スイッチ兼低周波出力入力調整 (POWER OFF AF IN-OUT)
  ⑤低周波入出力端子 (GND) (AF)
  ⑥周波数同調ダイヤルつまみ
  ⑦高周波出力レベル調整 (RF FINE)
  ⑧高周波出力端子 (OUT)
  ⑨高周波出力 HIGH/LOW切替スイッチ (RF HIGH/LOW)
  ⑩周波数バンド切替スイッチ (FREQ RANGE)

規 格 
 発振周波数範囲 120kHz~390MHz
 高周波出力電圧 約100,000μV (120kHz~38MHz)
 高周波出力調整 High/Low   (2段連続可変)
 変調用周波数  約400Hz 約1,000Hz
 水晶発信子    FT-243型
 低周波出力電圧 3~4V
 低周波入力電圧 2~4.5V
 電     源   AC 100V 50/60Hz
 真 空 管     12BH7  6AR5
 付 属 品     75Ω ケーブル
 寸法・重量     190×275×115mm 約2.5kg

 「LSG-11」でググってみたところ、
JH1GVB の無線室というウェブサイトに同機が紹介されていました。
LSG-11の回路図を見ると、コンデンサが6個使われており、真空管ラジオと同様、当時のオイルコンデンサは経年変化しているため、すべて交換したほうが良さそうです。そこで厚かましくも氏にメールにて調整箇所の有無を確認したところ、同機に内部調整箇所は無く安心してコンデンサ類の交換が行なえる旨のアドバイスをいただきました。また'66年当時の月刊雑誌『初歩のラジオ』に掲載されていた「テスト・オッシレーターの正しい使い方」という貴重な資料までお送りいただき、感謝感激!
        
 同ウェブサイトでは、ハリクラフターズ製受信機のコレクションと、それらを極めて高度なリペア技術で今に甦らされたご様子も紹介されています。'50~60年代、アメリカ製の送受信機はまさに世界をリードするコリンズやハマーランド、ハリクラフターズといったメーカーが競いながら最高品質の製品を提供し、当時発展途上であった日本の工業界やアマチュア無線家に大きな影響を与えた時代である。ダブルムーン呼ばれる半円状のダイヤルスケールをコンセプトとした同社独特のデザインは、インダストリアル・デザインの視点からも、魅力的だ。
また同ウェブサイトでは、ハリクラフターズのリペアにとどまらず、“ S-38CをリスペクトしたデリカCS-7への逆改造 ”、“ OEMで供給されたS-119と国内販売されたスターSR-100との比較・考察 ” など、同社の魅力を余すところなく紹介された、氏のセンス溢れる興味深いコンテンツが満載です。