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昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

英国 ロバーツ Swinging Radio R-550

2008-03-04 | 三流オトコの二流品図鑑
‘50年代に「Swinging Radio」の愛称で大ヒットし、そのままのデザインで復刻したビンテージスタイルの英国製トランジスタラジオがヤフオクに出品されているのを発見した。英国王室ご用達ラジオとしてロイヤルワラント(英国王室御用達)を下賜されているロバーツ社のR550である。 
        
        ▲英国王室ロイヤルワラント(英国王室御用達)ラジオ ロバーツ社 R550
 1932 年にハリー・ロバーツとレスリー・ビッドミードが創業したロバーツ・ラジオは、機械化が進んだ現在も手作りにこだわり、ヨークシャーにある工場で一つ一つ手作業によりラジオ製作を行っている老舗メーカーだ。
        
        ▲「Swinging Radio」の愛称で大ヒットしたオリジナルモデルR500
エリザベス女王からロイヤルワラントを名乗ることを許されたのは、 1955 年のこと。 10 年ごとに実施される再審査も無事クリアし、今もそのロイヤルワラントを維持しているだけでなく、現在はエジンバラ公を除く、皇太后、チャールズ皇太子のロイヤルワラントも下賜されている。まさに英国を代表する音響メーカーのひとつといって差し支えない。 
        
        ▲'50年代に発売されたオリジナルモデルR500の内部
 ロバーツ社のリバイバルモデルであるR550は、50年代に「揺れるラジオ」(Swinging Radio)の愛称で大ヒットしたポータブルラジオR500を、そのままのデザインで復刻したビンテージスタイルのラジオだ。キッチンで主婦が音楽放送を楽しむために考案されたともいわれる、そのランチボックスを彷彿とさせる可愛らしいスタイリングと、木製キャビネットならではの素朴で温かみのあるサウンドは、変わることのない英国を彷彿とさせる典型的なプロダクトとして定評がある。
 今回ヤフオクで落札したR550は、残念ながら写真のように合成皮革に傷がついている。ちなみにR550(R500)には、キャビネットを包むカバーに、ロールスロイスやベントレー等最高級車のシートや内装、高級鞄メーカであるタナー・クロール社の鞄の素材に採用されているコノリー レザーを使ったモデルもある。
        
        ▲入手したR550のキャビネットを包む合成皮革カバーに大きな傷が・・・
 キャビネットの裏蓋を開くと電池ケースは液漏れで汚れ、乾電池の金具は腐食しており通電しない。 
        
        ▲電池の液漏れで電池ボックスの金具は錆び付いていた
 基板は「よくできた台湾製か?」と一瞬疑いたくなる仕上りだが、由緒正しきイギリス製だ。
AM /FM/長波を受信する性能は装備されているものの、現在のラジオの基準からすれば化石のような製品であり、驚くほどシンプルな構造だ。その割に値段は、世界のラジオ受信マニアも認めるオールウェーブラジオSONY ICF-SW7600GRの実売価格をはるかに上回る。しかしコーンスピーカを採用した木製キャビネットからは、現在のハイテク機能搭載のラジオとも真空管ラジオともひと味違う、なんともいえぬエモーショナルで、実に耳に心地いいサウンドが響いてくる。
        
        ▲R500に比べ復刻モデルのR550の内部はスッキリ
 使う場所にもよるとは思うが、地元の放送を聴くラジオとしては、何の支障もない。やや大きめなサイズだが、ポータブルタイプだから、外に持ち出して、ブリティシュ・ガーデンのチェアに座りラジオ・プログラムに耳を傾けるにも好都合である。
        
 ラジオに限らず、人がプロダクトに求めるのは、 “新しさや進化” だけではない。高性能、多機能だけでもなく、ましてやコストパフォーマンスだけでもない・・・そういう当たり前のことを、このロバーツR550は静かに語りかけてくれる。
        
        ▲ロイヤルワラント(英国王室御用達)を下賜された復刻モデルR550
 ロンドンのデザインミュージアム初代館長であるコンラン卿は、著書「テレンス・コンラン デザインを語る」の中で、このロバーツを例に復刻品についての不思議な魅力について語っている。

「ベルノのびんからリキュールをグラスに注ぐとフランスのカフェの思い出の香りが蘇るように、復刻された製品には特定の時代と場所の香りが閉じこめられており、見ると思い出の香りが立ちのぼってくるように思えるのだ。おそらく私たちには、技術の進歩はもう十分だと感じる一線が存在するという暗黙の了解もあるのだろう」

 英国人は、このロバーツを見て、キッチンで鼻歌を歌っていたママの姿、恋人や家族とピクニックに出かけた光景を思い出したりするのだろうか。彼らの郷愁をかき立て、琴線をかき鳴らすロバーツの「リバイバル」には、英国の普遍のスタンダードとしての特別な一面もあるわけである。
        
 かつての名作R200の復刻モデル リバイバル R250と、このR550は、いずれもヨークシャーにある工場でひとつひとつ手作りで製造されているという。
        
 R550より一回り小さな復刻版R250は、「ロバーツラジオ」と花柄やパステルカラーなど、女性らしいデザインで注目を浴びている英国のインテリアデザイナー・Cath Kidstonのコラボレーションモデルとして英国の有名デパート「ハロッズ」や「ジョンルイス」などで販売されているようだ。
        
 またオーストリアの職人が1点1点手作業でスワロフスキーの装飾を施したのコラボレーションモデルなどもあり、凡人であるボクのセンスを超越している(笑)
        
 居酒屋1軒 or キャバクラ1セット分の飲み代を我慢して、今回入手したR500の復刻モデルR550は、伝統の英国へ思いをはせることのできる、きわめてまっとうなラジオだ。

通勤用 名刺サイズ ポケットラジオ ソニー(sony) ICF-R350

2008-03-02 | 三流オトコの二流品図鑑
名刺型ラジオを愛用している人は多いだろう。通勤時間帯のラジオ番組、とくにNHKラジオ第1の朝の時間帯はビジネスマン向け情報が充実している。通勤や出張、旅先で気軽に楽しむポケットラジオがほしくなり、ソニーのICF-R350を入手したので、ご紹介する。
 夜中、のんびり真空管ラジオの音色を楽しむのもいいが、朝7時には自宅を出て、夜9時以降に帰宅する店長の表の顔はビジネスマン、のんびりテレビを見る時間さえままならない。
(もっともTVでは、つまんない番組しかないしなぁ~) 
必然的に “世の中の動向”に疎くなり、『浮世離れした生活』となってしまい、情報戦の現代社会の中では「不適格者」の烙印を押されかねない。
 その昔、携帯トランジスタラジオにイヤホンと言えば、スポーツ新聞を握り締めて競馬やプロ野球中継に聞き入るオジサン・・・ってイメージだったけど、
   HEMERSのタイを結んだGUESSのビジネスシャツのポケットに
   名刺サイズのラジオをしのばせる
 
なーんてスタイルも、デジタルオーディオに埋没するの若者とは一線を画した “粋な大人” を演出するアイテムと言える。
        
        ▲店長のビジネスシャツとソニー ICF-R350
 まぁ、そんなことを思っているのは店長だけで、今も昔もラジオを持ち歩いてると “オジサン” だよぅ・・・という意見もあるが、ここではスルーしておこう(笑)
 そんな訳で名刺サイズのポケットラジオを物色するために、家電量販店を訪れてみた。
店頭に並べられた乏しい種類の普通のラジオに引きかえ、名刺サイズのポケットラジオは、アナログチューニングの安っぽいものからシンセサイザー・チューニングの高級タイプまで結構沢山の機種が並ぶ。しかし「これいいな・・・」と思える機種は、1万円前後もするため、つい躊躇してしまう。(居酒屋やキャバクラ通いを止めればいじゃん!って、僕はそんなに行ってませんよ:店長)
冗談はさておき、ヤフオクにソニーのシンセサイザーポケットラジオ ICF-R350 新品が、¥9,240のところを¥4,980で出品されているのを発見! 速攻、落札した。
        
        ▲“スタミナ105時間” の印刷が目を引く吊下げパッケージ入りのICF-R350

 手元に届いたCF-R350は写真の通り、“スタミナ最長105時間” の印刷が目を引く吊下げパッケージ入り。高感度AM&バックライト採用した薄さ約12.3mmのモノラル・TV(1ch-3ch)/FM/AM 2バンド PLLシンセサイザーモデルだ。
しかし実際は、イヤホン使用時の但し書き付でのオハナシ。単四電池1本で動作するICF-R350は、スピーカーを使うと20時間程度が関の山らしい。必要に応じて別売の充電キットBCA-TRG2KITを使えば充電式も選択できる点は、購入時の余分な出費を抑えることになり、嬉しい選択肢だ。
        
 外観は写真の通り、すっきりしたデザイン。幅55×高さ91×奥行12.3mmのサイズは、シャツの胸ポケットに余裕で収まる。ビニール製のキャリングカバーも付くが、こんな安っぽいデザインだから “オヤジ” っぽいと誤解を招いてしまう。
        
ここはi-PODなどデジタルオーディオや携帯電話のように塗装コストをかけ、カバー不要としてほしいところ。
巻取式のイヤホンコードの細さに一抹の不安を禁じえない。断線時の対応策なのだろう、イヤホンジャックが装備されている。
             
 操作性は、ジョグレバーと見やすいバックライト付大型液晶ディスプレイを搭載していおり、マニュアルを一読する必要はあるが、比較的簡単に操作できる。全国を14エリアに分割し、地元の放送局と中継局を呼び出し、プリセットできるスーパーエリアコール機能は、使い方を覚えれば、旅先や深夜の遠距離受信に効果を発揮する。
 思いのほか感度は高く、地方でも時間によっては、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡など大都市圏のラジオ局は勿論、思いがけない遠方の地方民放ラジオ局を受信できる。ただし内蔵アンテナの指向性が強く、ICF-R350本体を左右最適な方向にあわせる必要がある。こういった作業自体も、国内遠距離受信の楽しみの一つだ。
ちなみに使用してまだ1週間あまりだが、瀬戸内海沿岸部の当地では、深夜から明け方の時間帯に福井放送、ラジオ沖縄、山形放送などの地方局を確認できた。

 今まで “オヤジっぽさ” を気にして敬遠していた名刺型ポケットラジオ、愛用の通勤カバンTUMI26101の外ポケットやスーツの内ポケットには勿論、ビジネスシャツの胸ポケットにさえスッキリ収まり、移動や休憩のアイドル時間をニュースやビジネス情報、音楽で埋めてくれる。
        
 一流ブランドのスーツに身を固め、高速モバイルPCやワンセグといった先端技術を駆使したツールもいいが、肩の力を抜いて、わずか¥4980の携帯ラジオを情報ツールとして活用するところに “三流男の二流品” のオシャレな美学がある。

MA1 フライトジャケット

2008-02-13 | 三流オトコの二流品図鑑
寒さがいよいよ厳しくなってきた。機能性と防寒性を両立した冬の定番アイテムとして人気があり、店長も休日の普段着として、またラジオ修理の作業着としても愛用しているフライトジャケット MA-1を紹介する。
 映画「トップガン」公開以降本格的なブームが起こり、日本で最も知られ、今やフツーの人がフツーに着るようになった定番のMA-1を始めとするフライトジャケットは、本物からALPHA社自身が作るレプリカやコピー商品まで様々な商品がカジュアル衣料として数多く流通している。
        
        ▲店長愛用のヴィンテージMA-1と真空管ラジオSilvertone3002
 MA-1は度重なる改良(MIL-J-8279からMIL-J-8279Eまで、フライトジャケットとしては6回)により20年以上使用されたが、ボディはナイロン製でニットの衿を採用している。 軍の仕様規定であるMILスペックMIL-J-8279から8279Dまでのモデルはフラップを持たない、いわゆるスラッシュポケットになっているが、フライトジャケットとしての最終モデルであるMIL-J-8279Eとグランドクルー用MIL-J-8179Fには、ポケットにフラップが追加されている。またヴェトナム戦争時に使用されたMIL-J-8279DタイプとMIL-J-8279Eタイプは、緊急時に味方に発見されやすいように、リバーシブルとなっており、裏面にはレスキューオレンジと呼ばれるカラーが採用されているのも有名な話。
        
        ▲左ポケット内に縫付けてあるタグのMIL規格NO.MIL-J-8279J
 店長愛用のMA-1は、40年以上にわたってアメリカ軍に納入し続けてきた実績のあるALPHA社製の民生用モデルMIL-J-8279J。 
アメリカ空軍支給の制式MA-1ではないが、右袖に”COLORADO”、左袖に星条旗のエンブレムが付いている。右胸の”USAF AUXILIARY CIVIL AIR PATROL”は、アメリカ空軍補助機関(USAF AUXILIARY)のエンブレム。アメリカにはCivil Air Patrol(CAP)という制度があり、志願した民間人が軽飛行機に乗って、パトロール飛行を行ない、災害対策なんかに役立っているそうだ。
        
        ▲予備役の『なんちゃって空軍のパイロット』が羽織っていたMA-1
 つまりこのMA-1は、 “一応本物” ではあるが、当時米国空軍の主力戦闘機であった『F-4ファントムのパイロット』が着用したMA-1ではなく、予備役の『なんちゃって空軍のパイロット』が羽織っていたフライトジャケットということになる。
        
        ▲三菱?と思いきやプロペラがモチーフのエンブレム(笑)
 「やっぱり三流男の二流品じゃん!」 
ってオチになりそうだが、ヴェトナム戦争を戦ったパイロットがまとっていた本物のヴィンテージ品を身につけるほどの勇気はボクにはないが・・・かといって新品の模倣エンブレムを縫い付けたレプリカやコピー品は、恥ずかしくて着る気にはなれないのだ。
そんな訳で、自家用プロペラ機を操って、郷土の平和と防災・安全に貢献するCivil Air Patrolのフライトジャケットを、ボクはけっこう気に入ってる。
        
       ▲店長のフライトジャケット MA-1と愛用のレイバン、腕にSEIKO Sportura
 ちなみにアメカジの基本は、Tシャツ、デニム、スニーカーの3つ。まずはこれらを押さえ、ミリタリーテイストをミックス、それぞれのアイテムや歴史についての知識を深めれば楽しくなること間違いなし!  さぁ、キムタクに負けるな!!

真空管ラジオでFMを聴く♪

2008-01-19 | 三流オトコの二流品図鑑
 真空管ラジオと言えば、ヴィンテージアイテム、インテリアとして一部のコレクターたちの間では根強い人気があるものの、実際ラジオとして活用してきた人はどれ程いるのだろうか。 
 ラジオ放送には、中波または短波を使ったAM放送と超短波のFM放送がある。
ラジオ聴取人口が年々減る中で、ボクの周りでも20~30代は、男女問わず愛車のオーディオシステムのFM放送で流行(はやり)の音楽と、軽やかなナビゲーターの語りに耳を傾ける位であるという。ヴィンテージ&真空管ラジオを愛でるマニア(オタク?笑)が好んで聴くのは、ほとんどAM放送だ。
というのも日本でFM放送が開始された'64年には、すでに真空管ラジオからトランジスタラジオに移行し、FMに対応した国産真空管ラジオはほとんど生産されていなかったため、国産真空管ラジオ=AM放送専用ラジオ という図式になっていた。
        
        ▲トリオ(現ケンウッド)社製の中波/短波/FM 3バンド真空管ラジオ
 
 いっぽう外国製真空管ラジオは、FM放送を受信できる機能が備わっている機種も多々あったが、日本とアメリカ・ヨーロッパではFM放送の周波数帯域が異なる(日本では76-90 MHz、諸外国では87.5-108 MHz)ために受信できず、おのずとAM放送を聴くことに限定されてしまい、FM放送局の艶のある音は、長い間封印され続けてきた。

 ところが、iPodという最新のデジタルツールの登場により、“ヴィンテージラジオ”が見事に現代に蘇った。
iTripというFMトランスミッターをiPod本体下部のドックコネクタに接続するだけで、車や家庭用コンポのFMラジオから簡単に音楽再生を楽しめる。
接続方法は、極めて簡単。
iTripでカーステレオに飛ばすのと同じ要領で、ラジオを決まった周波数にあわせるだけで、真空管ラジオからお気に入りの音楽が流れはじめます。
バング&オルフセンをはじめ、ヨーロッパの老舗ブランドを中心に1点ものの真空管ラジオを購入すれば、そのラジオが奏でる音は、まるで時間の流れまで変えてしまうような、不思議な包容力で小さな空間を包む。
        
        ▲西ドイツ製の中波/FM(88-108MHz)対応の真空管ラジオ

 真空管ラジオに惹かれているのは、なんだか温もりのある音を聴きたいから。
最初にCDが出たときは便利でいいと思ったが、ある時、ふとレコードプレイヤーで音楽をもう一度聴いてみたくなった。便利すぎる世の中で、ひっくり返さなければいけないとか、針を置かなければ聴こえないとか、あえて不便なものを使ってみたいと感じるようになる。
        
 あらためてオークションを探してみたら、中古のバング&オルフセンやゼニス、TELEFUNKEN製真空管ラジオがあった。しかも1万前後から5万ほどで買える。憧れのバング&オルフセンの真空管、しかもこんなにカッコいいデザイン。部屋のインテリアとしてもぐっと味がある。

 iPodの音が嫌いだというこだわりのある人も、真空管ラジオで聴く格別な音を堪能できるはずだ。

LAPITA 「LPレコードをもう一度!」

2008-01-15 | 三流オトコの二流品図鑑
この数年30~40代男性向けの趣味・嗜好など大人のライフタイルをコンセプトとして打ち出している男性雑誌が増えている。内容はファッション・車・オーディオ・食事・お酒など多彩であり、男たちの時間の過ごし方、癒し方について、様々な情報を提供している。 
 社会的にも落ち着いてくる時期であり、ローンの縛りからはまだ逃れられないものの、自分自身や妻、あるいは彼女とのライフスタイルに貴重な時間とお金を使って楽しみたいという人が増えているのだろう。ボクもそういう男たちの代表格なのだろうか(笑)、時々手にする雑誌からは新しいトレンドと刺激を受けている。

先日も某女性雑誌の女性編集者(ドラマ"働きマン"日テレ/菅野美穂主演に似てる)と一献傾けていると
「店長さんも、そのドラマのデスク役だった沢村一樹の雰囲気ありますよね♪」
と言われた(笑)
        
だが決して彼のようにスマートではないと思うし、もっと別のカッコいいオヤジに憧れる。
それは姿・形だけの外見上のものだけではなく、思考・言動・行動にも表れなければならない。基本はあくまでも自分にとってのスタンダード。
その中で新しい感性を大事にして残された時間を生きていきたい。

 この休日、郊外型の大型書店に立ち寄ったところ、特集「LPレコードをもう一度!」と書かれた月刊誌Lapita 2月号の表紙が目にとまった。
        
 特集では、アナログ盤LPレコードとリマスター盤CDの聴き比べをクリス・ペプラー氏、松任谷正隆氏、渡辺香津美氏らが行っている。
結論としてはアナログ盤の方が「音がいい」ということになっているが、針をLP盤に落とす緊張感は何とも言えないし、溝をこすって音が出てくる原始的な構造も味わいがある。
またLPレコードの紙ジャケットを眺めながら、心地よい音に包まれる気ままな時間がいい。
消耗品のようにダウンロードした音楽が幅を利かせる昨今だが、便利で、新しいものばかりがいいものではないと、アナログレコードは教えてくれる。

最新アナログプレイヤーやアンプ、スピーカーなどの紹介、LPレコードの聴けるバーの紹介もあり、楽しい一冊に仕上がっているLAPITA2月号はお薦めですよ♪

真空管ラジオをオシャレに楽しむ

2008-01-07 | 三流オトコの二流品図鑑
 それはまるで、人生を知り尽くした円熟味のある人物のような風格を漂わせて、静かに佇む。 トランジスター・ラジオが台頭する以前、日本でも多く製造されていた真空管ラジオが、今、再び注目を浴びている。

        
 特に、製造から50年ほども経つともいえる、なんとも言えない懐かしさを漂わせるアンティーク・ラジオの人気が高い。
“復活”のきっかけは、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」に見られる昭和レトロのブーム。インテリアとして楽しめるのも嬉しいが、今もなお、耳を楽しませてくれるところが何とも心憎いのだ。
 そしてi-Podの登場といったトレンドも見過ごせない。 実は多くの真空管ラジオにはPHONO端子があるため、i-Podなどデジタル・オーディオ・プレイヤーやCDプレーヤーの音源を、真空管ラジオを通して聞くことができる。
歴史を見つめてきたアナログのアンティーク・ラジオと、時代の最先端を行くデジタル音源が、互いに呼応しながら、新しい可能性を生み出していくというわけだ。
        
          ▲ZENITHのクロック ラジオからMP3音源を流す

 そもそも、真空管が醸し出す独特の柔らかな音質は、オーディオ・ファンにはお馴染みである。 昔、子供の頃に聞いたような、優しく昔懐かしい音だ。
だからこそこのラジオは、ボサノヴァやジャズ、ギターやピアノといった優しく、表情豊かで、心に染み入るような音色との相性がいい。

 オーディオ・ファンといえば男性というイメージが強いが、ボクの知り合いには、ヴィンテージ・ラジオの優しい音色やデザインに魅了され、“一目惚れ”する女性も多い。

 某航空会社のキャビン・アテンダントだった知人の一人は、アンティーク・ラジオのある生活を堪能している。 神戸の郊外に住む彼女は、’50年代後半の真空管ラジオで地元や大阪のAMラジオ番組を聴く傍ら、デジタル・オーディオ・プレイヤーをつなぎ、お気に入りの音楽を楽しんでいる。
        
 今、彼女の一番のお勧めは、1960年代に大活躍したスウェーデンの歌姫モニカ・セッテルンド。ビル・エバンス・トリオの演奏とモニカ・セッテルンドのヴォーカルが両方楽しめるアルバム「ワルツ・フォー・デビー+6」を真空管ラジオで聴くと、透明感あふれるヴォーカルと北欧独特の哀愁感がたまらないと語ってくれた。
             
             ▲アルバム「ワルツ・フォー・デビー+6」
               モニカ・セッテルンドwithビル・エヴァンス

 「父に教えてもらったけど、当時は、音楽もラジオに合うような音で録音されてたんだって。
  だから、ラジオで聴くにはピッタリ! 今は、自分だけのお気に入りを探してるところ♪」

LPレコードを真空管アンプで聴くことが唯一の趣味という、寡黙な父親との共通の話題もできたそうだ。
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 某国立大学大学院に在籍する女性研究員は、日々学問に没頭する中、夜中の気分転換に、真空管ラジオのスイッチを入れる。 地元のラジオ放送より、雑音の中から聞こえてくる地方のラジオ番組に、耳を傾ける。
「雑音まじりに聴こえる真空管ラジオの澄んだ音が、疲れた身体に心地いいんです。
  CDや普通の(トランジスタ)ラジオだと、音が耳に突き刺さる感じがして・・・」
アナログが奏でる音色のフィーリングを無意識に体感し、酷使した彼女の脳にしばしの休息を与える。
        

 真空管ラジオは年季が入っているだけに、長時間の使用を避けるなどのチョッとした気遣いは必要だが、経年劣化したパーツを交換しておけば、メカに弱い女性でも、安心して真空管ラジオの魅力を満喫できる。
50年近く放置された、埃と汚れまみれのプラスチックキャビネットの筐体を洗浄し、クリーナーで磨きこむと、新品のような輝きを取り戻す。
「昭和」という時代の中で、人々の文化と娯楽を支えてきた真空管ラジオの功績をいたわるように使っていくうち、使い捨て文化では芽生えにくい、『モノへの愛着』が生まれてくる。

 長い年月を経てきたラジオとそれに惚れこむ人間との、“古くて新しい出会い”には、ただならぬ縁を感じる。

 たかがラジオ、されどラジオ。 あなたにもきっと、特別な出会いが待っています。

馬場俊英 スタートライン~新しい風

2007-12-31 | 三流オトコの二流品図鑑
史上ワースト2の視聴率だった『第58回NHK紅白歌合戦』を今年も見ました。
今年のお目当ては勿論、不屈のオールドルーキー馬場俊英が歌う、“スタートライン~新しい風”のステージを見ることにある。


“スタートライン~新しい風”のフレーズ、
     「だから そうだよ くじけそうな時こそ 遠くを見るんだよ
      見えない このスタートラインから また ここから 」
に胸が詰まる。

 実は応援歌の類が大嫌いで、「岡村孝子の“夢をあきらめないで”を聴きながら頑張りました」的な人様のコメントを聞くと虫唾が走る性格なのだが・・・。

        

ビリー・ジョエルの「Honesty」を思わせるサビのメロディの馴染みやすさもあって、かく言うアタクシ店長は、広島サンマリで初めて彼のライブを聴いていらい、9月に発売されたアルバム『青春映画が好きだった』を聴いている。

 馬場俊英の歌声は甘美でもなければ、情熱をたたえたものでもない。
ただ、ふだん気づかない心の痛みに、隣で静かに語りかけてくれているようだ。

 アルバム『青春映画が好きだった』(フォーライフ)は、前向きなメッセージソングから心に染み入るラブソングまで、その時々の情景が浮かんだり、自分の思いと重ね合わせたりしてつい、口ずさみたくなる。

        

今年40歳。「不惑のオールドルーキー」。そして、不屈の人だ。

 バンド活動を経て平成8年、28歳でメジャーデビュー。
7枚のシングル、3枚のアルバムを出しながらもヒットに恵まれず、32歳で契約解除。だが、音楽の道をあきらめるどころか、新たな目標を自分自身にかした。

 「いつか、大阪野外音楽堂に3000人集めてワンマンライブをしよう。『野音でピース』だ」

 インディーズに移り、再起をかけて、知り合いのいる大阪に向かう。自主製作のCDを紙袋いっぱいにつめて、レコード店を一軒一軒回った。

 「レコード店で『CDいらないよ』って言われるのが、『お前は存在価値がない』 と否定されているようで…。
 ならば、大勢より一人ひとりの心を揺さぶるべく、3年間がむしゃらにやってやろう、と誓った」

 愛車のワゴンに機材や即売用のCD、Tシャツを積み込んで全国を回る日々。機材の搬入からCDの手売りまで、何でもこなした。本番ではギターを弾く手がしびれることも度々だった。

 「インディーズになって、CD1枚買ってもらうことがいかに大変か、身をもって感じましたね。僕の音楽を愛してくれる人々の思いまでも大切に歌い上げたい気持ちが強くなったんです」

 転機が訪れたのは5年前。野球少年だった自分のこれまでを、試合に重ね合わせて力強く歌った『ボーイズ・オン・ザ・ラン』が大阪のラジオで頻繁に流れ、人気デュオのコブクロがカバーしたことから、徐々に人気を獲得。38歳で再度メジャーデビューした。

 今年4月、悲願だった大阪野音に3000人を集め、「野音でピース」を達成した。3年前、わずか30人しか集まらなかったライブからは想像もつかないステージ。会場では、8歳の男の子から80歳の男性まで『ピースピースピース!』と両手を挙げて喜ぶ声が地鳴りのように響き渡った。

まさに歌のごとく、さまざまな局面で岐路に立ち、迷い、憂うことが多い40歳で放った鮮やかな逆転ホームラン。

今夜大晦日のNHK紅白歌合戦で歌った馬場俊英の代表作、「スタートライン~新しい風」は、以前に発表した「スタートライン」をコブクロの小渕健太郎がプロデュースし、リメイクしたもの。
 散髪(ヘアメイク?笑)し、小ざっぱりしたステージ衣装に身を包んだ馬場ちゃんは、やや緊張した面持ちで登場した。
レコード店回りをしていたときの情景が、彼の脳裏に蘇っていたのではないだろうか。
        

 ステージが始まり、馬場ちゃんの桧舞台を小渕健太郎くん(コブクロ)がバック・バンドのギタリストとして、金城綾乃(Kiroro)はピアノの演奏でしっかりサポートしてました。
        
「・・・あと少しだけもう少し 強くならなくちゃ
でも大切なことはいつも 誰も教えてくれない・・・」
のフレーズでは、国民の期待に応え無礼者をマットに沈めた内藤大助選手のカットインされる表情もよかった。
        

 大舞台に立った馬場ちゃん、史上最年長33歳でのタイトル防衛に成功した元イジメられっ子だった内藤大助選手・・・地獄を味わった不屈の人たちが、はにかみながら笑顔を向ける眼差しの奥には、力強い優しさと自信に満ちていた。
 
スタートライン  作詞・作曲 馬場俊英
 
もうダメさ これ以上は前に進めない
そんな日が誰にだってある
だけど雨でも晴れても何でもいつでも
その気になりゃ何度でもやり直せる 何度でも

これからのことを思うと 負けそうになる
心配なことがあって しゃがみそうになる
あと少しだけもう少し 強くならなくちゃ
でも大切なことはいつも 誰も教えてくれない

だから そうだよ くじけそうな時こそ
遠くを見るんだよ
チャンスは何度でも 君のそばに

この道の先に何が待ってるのかなんてこと
わかるわけない
答えがあってもなくても YesでもNoでも
決めた道を行くしかないさ
あるだろ? そんな時

青春と呼べた 時代は過ぎたのに
今でも心の奥に 風が吹きぬける
優しい人にばかり 悲しみが降りかかる
報われないことが ここには多すぎる

だけど そうだよ どんな時も
信じることをやめないで
きっとチャンスは何度でも 君のそばに

だから そうだよ くじけそうな時こそ
遠くを見るんだよ
見えない このスタートラインから
また ここから

きっと そうだよ いつかきっと
真心が何かに変わるんだよ
そうさチャンスは何度でも いつも君のそばに

いつも君のそばに

馬場俊英  ~青春ラジオ~

2007-12-24 | 三流オトコの二流品図鑑
大晦日に行われる『第58回NHK紅白歌合戦』に初出場が決まったことで話題となっている男性シンガー・ソングライター、馬場俊英。今年の春からRCC中国放送ラジオ(1350kHz)のジングル、 『いつも~そばにいるよ。青春ラジオRCC♪』でおなじみのあの歌を歌っている人です。
(*1)ラジオにおいて、コマーシャルの開始や終了、または番組の節目に挿入される短い音楽。
        

 ♪ 悲しい時には 君が笑ってくれた
   嬉しい時には 君がいつも泣いてくれたね
   時が流れ ずいぶん経ち 君の居場所ももう知らない
   だけど君と歩いた道過ごした日々 胸の中に~♪

   風の便りも途切れてしまったけど
   いつもそばにいるよ 青春ラジオ RCC~♪
   いつも胸の中に...
 
>青春ラジオRCCの60秒ジングルは、↓をクリックすると試聴できます。        

 馬場俊英は、シンガー・ソングライターとして'96年に29歳という遅咲きのメジャー・デビューを果たすが、5年間の活動を経てレコード会社との契約が終了。いわゆるリストラの憂き目にあった。
音楽をあきらめることができず、「あきらめなければ夢は叶う」とその後一人で自主レーベルを設立し、CDを自主制作して発送までもすべて自分の手で行った。
インディーズに移り、再起をかけて、知り合いのいる大阪に向かう。自主製作のCDを紙袋いっぱいにつめて、レコード店を一軒一軒回った。

 「レコード店で『CDいらないよ』って言われるのが、『お前は存在価値がない』と否定されているようで…。それならば、大勢より一人ひとりの心を揺さぶるべく、3年間がむしゃらにやってやろう、と誓った」

その活動が実り、2年前の2005年に前回と同じレコード会社・フォーライフより再メジャーデビューを果たした。
コブクロ、テリー伊藤など各著名人から熱い支持を受ける“不屈のシンガー”としてメディアで取り上げられ、人気が急上昇。
その歌声は甘美でもなければ、情熱をたたえたものでもない。ただ、ふだん気づかない心の痛みに、隣で静かに語りかけてくれるようだ…。
        
 9月に発売されたアルバム「青春映画が好きだった」(フォーライフ)は、コブクロの小渕健太郎もプロデュースに参加。
オリコン初登場15位以後、ロングセラーとなり、前向きなメッセージソングから心に染み入るラブソングまで、その時々の情景が浮かんだり、自分の思いと重ね合わせたりしてつい、口ずさみたくなる。
会社や家庭・・・さまざまな局面で岐路に立ち、迷い、憂うことが多い30代後半から40代にやさしく、力強いメッセージを届けてくれる。
          
            ▲アルバム「青春映画が好きだった」

アルバム「青春映画が好きだった」の2曲目に、冒頭紹介したRCCラジオのジングルを元に作られた『青春ラジオ』が入っている。

     青春ラジオ 作詞・作曲 馬場俊英 

    悲しい時には 君が笑ってくれた
    嬉しい時には 君がいつも泣いてくれたね

    別れ道から どれだけ歩いただろう
    友達や恋人は どこで何をしてるだろう

    時が流れ ずいぶん経ち 君の居場所ももう知らない
    だけど君と歩いた道過ごした日々 胸の中に

    風の便りも途切れてしまったけど
    いつもそばにいるよ 青春ラジオ聴きながら

    仕事帰りの夕暮れ 染まる街並
    今の暮らしを嘆くつもりなんてないけど

    目を閉じれば真夏の夜に 耳を澄ませば冬の朝に
    途切れた風 途切れた道 途切れた唄 胸の中に

    戻るつもりも忘れるつもりもないさ
    今日もここにいるよ青春ラジオ聴きながら

    大切なものは目に見えない 暮らしの中に溢れるwave
    どこまで届くのかわからない 風のようにラジオのように

    悲しい時には 君が笑ってくれた
    嬉しい時には 君がいつも泣いてくれたね
    いつもそばにいるよ 青春ラジオ聴きながら

    今日もここにいるよ 青春ラジオ聴きながら

        

 「青春映画が好きだった」に収録されている1曲目、 『君はレースの途中のランナー』そのタイトルがあまりにステレオタイプ過ぎて、一瞬躊躇しちゃうんだけど、聴いたらもう一撃でハマってしまった。

   数え切れない夢から覚めた世代の歌がない
   泣ける映画やドラマじゃ もうずいぶん泣いていない・・・

 『スタートライン~新しい風』は、ダイドーブレンドコーヒーTV-CMソングに起用され、耳にされた方も多いはず。

 「日々、埋もれている感動を探し求め、シャッターを押すようないとおしい気持ちで、自分の居場所を楽しくしてるんですよ」

 彼のそんな飾らない等身大の感覚が、多くのファンをひきつけるのだろう。

孤島で過ごすプチ・バカンス?&グアムのKUAM 630kHzを聴く♪

2007-08-09 | 三流オトコの二流品図鑑
 瀬戸内海の孤島に、この7月にオープンしたばかりのリゾートホテルで、1泊2日のプチ・バカンスを過ごした。
村上春樹か田中康夫になった気分で、その様子を綴る・・・ (;^_^A アセアセ・・・
 

その日、同行者の運転するBMW120iの助手席に座った僕は、メイナード・ファーガソンの「スター・ウォーズ」を聴きながら、運転席の彼女から手渡されたスタバのアイス・コーヒーに口を運んだ。
Maynard Ferguson という人はもともとジャズの人で、このベストCDもジャズコーナーで売っていたし、選曲も「ロッキーのテーマ」「スター・トレックのテーマ(アメリカに行きたいかー!!)」と「星影のステラ」「枯葉」「Airegin」が仲良く混在し、曲の途中でぶったまげるくらいのハイ・ノートが聴ける。
        

 BMW120iは、大伴旅人などにより万葉集に詠まれた、古(いにしえ)の港町に到着。

迎えへ来てくれたクルーザーは、 貸切状態。
瀬戸の島々を眺めながら、約50分でこの島ただ一つの小さな桟橋に接岸した。
        

南北へのびる島の斜面に沿って、山の緑に映える自然の木々に囲まれた4棟の建物が建つ。
日を受けて輝く弁柄の柱と漆喰の壁が醸し出す絶妙なコントラスト。
瀬戸内海のはるか沖合いの離島にたたずむ格調あるアンビバレントに、驚かされる。
        

出迎えのコンシェルジェのエスコートで案内されたロビーのパノラマウインドに広がる景色に
思わず二人は足をとめた。
同行者がチェックインをすませるあいだ、窓際の椅子に座りウェルカム・ドリンクを喉に流し込み、
からっぽの頭で、ただ潮風だけを感じていた。
        

案内された部屋はデザイナーズ・マンションを思わせる広いリビング
  シンプルで清潔感溢れるダブルベット
    オーシャンビューの広々とした窓に映る森の木立と青い海

「どう、気に入った?」
  彼女は自分の気持ちに賛同を求めるように訊ねてくる
    答える代わりに彼女を軽く引き寄せ、二人の心を重ねた時空が流れる
        

海にせり出したウッドデッキに設けてある檜のジャグジーにつかりながら、
自然と同化する時間が過ぎる
波の音と木々のざわめき、小鳥のさえずり以外は何も聞こえない。
        

瀬戸内海から採れる食材にこだわった、シェフ心づくしの夕食を味わうため、
隣接するレストラン棟に向かった。
ほどよく冷えたシチリア産ワインが、乾いた喉を潤してくれる。
信楽、有田、京焼の器にとけこむ、決して奇をてらわない天然食材の料理が
自然と人間の営みの絆を語りかけてくれているようだ。
        

夜中の2時、ベットを抜け出し、オーシャンビューのウッドデッキから、ぼんやりと真っ暗な海を眺める

月に照らされた島影と満天の星空、遠く揺れる漁船の漁火
  何百年も変わらないままだったであろう この幻想的な空間に身をゆだねる

愛用のセブンスターに火をつけ、その煙の行方を追いながら、さまざまな思いを馳せる。
       

部屋に戻り、ソファーに腰掛け、ソニーICF-SW7600GRのスイッチを入れてみた。
国内民放ラジオの停波した都市ノイズのまったくないクリアな中波をゆっくり探る。
IDは確認できなかったが、英語をまくしたてPOPミュージックを流すグアムのKUAM(630kHz)が聞こえてきた。
グアムからの民放ラジオ放送の弱い電波を瀬戸内海の孤島で聴くのも、おつである。
タガログ語のフィリピン局も数局聞こえる。
夏枯れのこの時期、TP(トランス・パシフィック)は期待できないが、晩秋なら多くの成果があげられそうだ。
         

「何してたの?」
いつのまにか目を覚ましていた彼女は、ベットに入った僕に子供っぽい表情で尋ねる。
鳥が美しい音色を競いはじめ、それに潮騒、梢の葉擦れの音がシンフォニーを奏でる夜明け前、再び眠りについた。

数時間後、部屋に備え付けのミルで挽くコーヒーの香ばしい匂いに、深い眠りから目覚めた。

朝のやさしい光を浴びながら入るジャグジーは、昨日とはまったく違った趣がある。 
小鳥のさえずりと波の音が心地よい。

散歩がてら、コテージ下の水際で、磯の蟹や小魚と戯れる。
        

朝食を済ませ、昼前にチェックアウト。
クルーザーに乗り込み、デッキで潮風のコロンを浴びながら芸予諸島の水軍の足跡を巡る。
       

明治27年に建築された造船所所有の迎賓館を、全面改築したホテルのレストランでランチ・タイムだ。
かっては世界各国の船主を迎えていた、和洋折衷建築ともてなしの細やかさは今も定評がある。

日常から開放してくれた二日間の終わりを告げるように、スパークリングワインの泡末が、グラスの中ではじけた。

予算は、1泊2食で一人¥60,000弱。(2日目のクルーズとランチは別料金らしい)
支払いは同行者任が済ませてくれたため、費用は未だ謎である。

フラッシュメモリタイプ携帯型オーディオプレーヤー東芝『gigabeat Pシリーズ』

2007-07-07 | 三流オトコの二流品図鑑

 出張の時は、2月に店員からプレゼントしてもらったCDウォークマンD-NE920を愛用のTUMI社製ビジネスバッグのサイドポケットに入れ、新幹線の移動時間にお気に入りの音楽を聞いていたのだが、iPodの大ブレイクにより、携帯型音楽プレーヤーは一気にメモリータイプへとシフトしてしまった。
        
 その人気を裏付けるように、ウォークマンもメモリータイプが主流となり、デジタルオーディオプレーヤーも多くのメーカーからバリエーションに富んだものが次々と登場してきている。少し前まではHDDタイプするか、メモリータイプするかが選択基準だったが、昨今は動画、ワンセグ、Bluetoothなど多機能化により、今まで以上に「欲しかった機能を搭載したデジタルプレーヤー」が選べるようになっているようだ。
        

        
 一方、アナログ/デジタルの境界線上をうろつき、どちらかと言えば『アナログ派』である我ら世代にとっては、多様化したデジタルプレーヤーの機能・性能を実体験することから始めることが必要と感じ、友人である音響の匠氏と一緒に東芝『gigabeat Pシリーズ』をAmazonにて格安で購入した。
東芝のgigabeatといえば、HDDオーディオプレーヤーの先駆け的な存在。初代(MEG50JS)の登場はiPodより早い2002年6月である。
 今回購入した「gigabeat P10K」は、現行のgigabeatシリーズ中で唯一ストレージにフラッシュメモリを採用。6万5536色表示の1.1インチ有機ELディスプレーを搭載し、本体サイズは幅31.9×奥行き13.2×高さ82.0mm、重量が約50gの1Gフラッシュメモリタイプの携帯型オーディオプレーヤーだ。
        
 FMチューナーのマニュアルスキャン機能、時計表示機能に“アナログ時計”、省電力のためのオートパワーオフ機能を追加したモデル。基本機能こそ既存モデルと変わらないが、「2色のフェースパッド」が同梱されており、その日の気分でスタイルが変更できる。本体カラーとしては、ピンクとホワイトが用意されている。基本機能は従来機種のものを継承しており、FM放送の聴取/録音やボイスレコーディング(モノラル)が行なえるほか、ステレオライン入力端子を備えており、ダイレクトレコーディング(MP3、44.1kHz、192k/128k/96kbps)も行なえる。
        
 収録曲数は512MBあたり125曲/約8.3時間(WMA/MP3、128kbps、1曲4分の場合)。対応オーディオ形式は WMA/MP3/WAV(PCM)で、ビットレートは16k~320kbps。著作権保護技術は“Windows Media DRM 10”に対応している。インターフェースはUSB 2.0/1.1を搭載し、対応機種はPentium II-300MHz以上(Pentium III-1GHz以上推奨)を搭載したPC/AT互換機、対応OSはWindows XP。再生可能なファイル形式はMP3/WMA/WAVの3種類。Windows DRMにも対応する。また電源はリチウムイオンバッテリーを内蔵し、約14時間の連続再生が可能とのことだ。

 ところがアナログ店長、さっそく充電方法でズッコケてしまった。
本機の充電や音楽の転送はMedia Player 10をインストールし、USBケーブルを使ってパソコンから行なうのだが、準備を整え、gigabeatとパソコンを繋いでもELディスプレイには「充電準備中」の表示が、無機質に点灯し、ピクリとも動かない。ケーブルを抜いたり挿したり、gigabeatのキーを押したり離したり・・・ ヽ(  ̄д ̄;)ノ オテアゲー 状態、僕自身がフリーズしてしまった。
        
この窮状を見かねた後輩が「このくらいは調べないと!http://www.gigabeat.net/mobileav/audio/download/gbp_mtp.htm」との憎らしいコメント付で、ドライバのインストール方法の示されたURLを送ってくれ、無事、本体画面に「充電中・・・」とアニメーション表示されていることを確認できた。
        
 最初の時点でつまづいた操作方法も実は簡単で、電源を入れた後に現れるメインメニューから「オーディオ」を選択し、アルバム/アーティスト/プレイリストのいずれかから聴きたい楽曲を選択するだけ。「プラスボタンで項目を選択し、決定ボタンで選択決定」というインタフェースは直感的な操作を可能にしており、戸惑いを感じることはない。
 再生中にはプラスボタンの上下で音量調整、左右で早戻し/早送りが行え、決定ボタンを押せば再生/一時停止となる。プラスボタンをはじめとしたボタン類はクリック感もしっかりしており、快適な操作が行える。ボタン入力に対する反応も機敏だ。
 再生中でも側面のMENUボタンを押せばメインメニューの呼び出しが可能で、イコライザーの適用や再生モードの変更はここに用意されている「設定」から行う。プリセットイコライザーはFLAT/ROCK/JAZZ/CLASSIC/POP/USERの6項目あり、かなり強力に効くので、慎重に適用したい。再生モードは通常再生のほか、1曲リピートやシャッフル再生など合計5つのモードを備えている。
        
 パッケージに付属するヘッドフォンと組み合わせて試聴してみたところ、ベースもしっかり響き、全体的なバランスも悪くないのだが、高域部分がこもるような印象を受ける。人によっては「ヌケが悪い」と感じるかもしれない。これをゼンハイザーの「MX400」やソニーの「MDR-EX71SL」などと組み合わせると、ヌケの悪さは改善されるという。ただボクの場合は広域部分をある程度カットした音の方が、遠距離出張などで長時間聴くには疲れなくて快適だ。録音可能なFMラジオやダイレクトエンコーディング、ボイスレコーディングの機能も備えている。
        
 ディスプレイにはJPEGの画像データを表示させることもできる。表示させるには、まずPC上で「Photo」というフォルダを作成して本体メモリ内の「メディア」フォルダにドラッグ&ドロップした後に、そのPhotoフォルダへ画像データをコピーしてやればよい。ディスプレイサイズは1.1インチと小さく、解像度もそこそこ(96×96ピクセル)なので、迫力ある画像を楽しめるとまでは行かないが、CDジャケットを表示させるなどオマケ的な機能として楽しむこともできる。
        
 本製品のスタイルとカラーリングは意見の分かれるところかもしれない。フラッシュメモリプレーヤーはUSBメモリのような無味乾燥なデザインの製品も数多いが、iPodをやや意識したフォルムとカラーリングは、メイク・パレットのようなカラーリングをまとったかってのgigabeatシリーズのデザインにおける独自性を失った。
ただiPodの数分の1の値段で購入でき、十分に小型軽量であり、操作性もシンプルで好感の持てるデジタルオーディオプレーヤーであることは間違いなさそうだ。
        
 このところ毎週、関西あるいは九州方面へ出張しており、移動中の退屈しのぎに実際どうなのか、また4月に買ったiPodを常に持ち歩き自慢している店員が、この「gigabeat P10K」を見てどんな反応を示したか、次回レポートする。