goo blog サービス終了のお知らせ 

昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

東芝(TOSHIBA) 「かなりやFS」 5UL-548

2006-03-06 | 東芝 かなりやシリーズ
              
   東芝(TOSHIBA) 「かなりやFS」 5UL-548     

 昭和29年(1954年)から40年(1965年)頃までの約10年間に約30種類以上製造された「かなりやシリーズ」中期の機種である。
 かなりやシリーズの機種名は、発売された順番に中波専用機には『かなりやA』 『かなりやB』・・・といった1文字のアルファベットを、中波/短波2バンド機は『かなりやAS』 『かなりやBS』・・・といった2文字のアルファベットを付加し、リリースしている。

 メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやFS 5UL-548』

 サイズ : 高さ(約13.5cm)×幅(約28cm)×奥行き(約12cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)

              
   東芝(TOSHIBA) 「かなりやFS」 キャビネット内部     

 オークションで落札後、届いた段ボールを開梱しまず外観からチェックを開始した。
キャビネット、裏蓋、フロント透明パネルのいずれも経年による汚れはあるものの酷いダメージは無く、40数年前のラジオとしては比較的キレイである。
 裏蓋を開けると、キャビネット内にはクモの巣、シャーシやバリコンには40年間の埃が堆積している。
 通常は底板にある取付けネジまたはキャビネット内のネジを外してシャーシーを取り出すのだが、この機種はシャーシー上の部品とキャビネットの隙間の一番奥にナットで固定してあるため、ナット用ドライバーが必要である。またいつものことながらイヤホンジャックの取り外しには苦労する。

              
   取り出したシャーシーには埃が堆積している     

 やっとの思いでキャビネットからシャーシーを取り外したが、シャーシー上の部品、シャーシー内部に年代相応の埃が溜まっていたため、刷毛とダスト除去用エアースプレーを使い埃を除去したあと、エレクトロニクスクリーナーで洗浄すると、新品に近い輝きをとり戻した。

              
   マジックリンで洗浄したら・・・トホホな結果に・・    

 今回はキャビネットをマジックリンを使い洗浄したところ、フロントパネルの塗装が一部剥げ落ちてしまい大いに焦ったが、プラモデル用ラッカー塗料を吹きつけ無事修復できた。  (ホッ・・・・)
諸先輩方のホームページにも「マジックリン洗浄を行なうときは、塗装の剥離に十分注意し・・・」と警告されています。

  『皆さ~ん、マジックリンを使った洗浄は慎重に行なってくださ~い!』

              
   シャーシー内部を点検    

 シャーシー内部を目視点検。若干埃が溜まってるものの修理された形跡はない。
ACプラグ、OPTの導通などを確認し、通電してみた。何度行なっても緊張する一瞬だ。
 PLが点灯し、真空管のヒーターが灯ると音が流れ始めた。おもむろにチューニングダイヤルを回し受信を確認する。 オォ・・・感度も良好、アンテナ線を延ばさなくてもたくさんの放送局が受信できる!! バーアンテナを内蔵していない機種でこれだけ受信できればIFTやトラッキングの調整も必要ない。

              
   友人に借りたソケットレンチはホント便利!    

 ただボリュームを最小値にしても音を絞りきれず、かなり大きな音がするため、ボリュームを取り外し交換した。ガリ音も無く、リニアに音量調整できると心なしか音質も改善された気になってくる。
 またパイロットランプのソケット部分が金属でシャーシーに取り付けられている。ほんの数ミリの部分に100Vを超える電圧が流れており、案の定試験中にちょっとしたはずみでショートしてしまった。
金属製ソケットを取り外し、サトーパーツのS-4110を装着したところPLショートの不安を完全に解消することができた。

              
   レストアを完了した東芝(TOSHIBA) 「かなりやFS」 5UL-548

 各チェックポイントの電圧、電流も問題ないため、今回はペーパーコンデンサの交換も行なわずオリジナルのまま保存することにした。
しばらくテストした後、シャーシをキャビネットへ組み込み、ボリュームシャフトにツマミを差し込む際に、またまたツマミを1個破損させてしまった。最後の段階でこういった下手を打ってしまう自分の詰めの甘さに自己嫌悪・・・・かなりやOSの修復時にも同様の事故をおこしましたが、二度あることは三度ある。
割れた部分を掻き集めアロンアルファにて接着・修復し事無きを得たが、大いに反省した次第である。

              
   Voice of America 50周年記念ベリカード

 レストアを完了したかなりやFSのバンドをSW(短波)に切り替え、チューニング・ツマミを回していると、雑音を押しのけて「アルプス一万尺」の軽快な演奏が聞こえてきた。
アメリカ合衆国政府が公式に運営する国営短波ラジオ放送局VOA(Voice of America:アメリカの声放送)のインターバルシグナル、『Yankee Doodle』である。

 16世紀、マンハッタンを中心としたオランダのニューネザーランド植民地における小作農達によって、小麦などの収穫時に「Yankee Doodle」のルーツとなる曲が口ずさまれていたときく。
ニューアムステルダムは1664年にイギリス軍によって占領されると、ニューヨークと改称され、オランダはアメリカ新大陸における植民地争いから脱落することとなった。
「Yankee」と「Doodle」の部分については、ヨーロッパでの海上貿易や当時の北米殖民地化競争なと様々な点で何かと争いの絶えなかったイギリス人を「まぬけなイギリス野郎」と揶揄(やゆ)する意味があるようです。
ちなみに「Yankee Doodle」のメロディーには、確認されているだけでも190以上の様々な歌詞が付けられていると言われています。

一方日本では、「アルプス1万尺」として慣れ親しまれ、その替え歌というのは伝統的に

アルプス1万尺♪ 小槍の上で      ⇒汽車の窓から♪ ○ンチ○出して
アルペン踊りを 踊りましょう♪ヘイ!  ⇒汽車賃出したと 大威張り♪ヘイ!

だと思っていたのですが、先日の飲み会で披露したら、その場からつまみ出されそうな雰囲気になってしまいました。

東芝(TOSHIBA) 「かなりやA」

2006-02-20 | 東芝 かなりやシリーズ
              

 東芝はmT管5球スーパーラジオに鳥名の愛称をつけて発売を始めた。
木製キャビネット大型高級機種を「めじろ・かっこう」、中型には「うぐいす」、小型卓上型タイプを「かなりや」と分類し、シリーズごとにアルファベットをつけて発売していた。
 その「かなりや」シリーズの第一号機が、昭和29年(1954年)に発売された『かなりやA』である。

              

 かなりやAが発表された時代は、茶の間の娯楽の中心がラジオからテレビに移行するとともに、ラジオがパーソナルな娯楽の道具へと移る時期である。機能・性能に関しては大差無いこのクラスのラジオ、特に東芝かなりやシリーズは、『デザインという付加価値』による消費者ニーズの掘起しを図った高度経済成長期の量産工業製品でもある。

 「かなりやA」の角張ったボクシーなフォルムと正面右の円形周波数表示板を配置したデザインは、好みの分かれるところ。
先に紹介した「サンヨーSS-60」のアールデコ調のシンプルでエレガントなキャビネットと比べ、かなりやAの「無骨な潔さ」にボクは惹かれてしまう。
ブリティッシュ・グリーンとゴールドの色合わせも、色彩学的にはマル印であり、かっての木製キャビネット製ラジオのイメージを払拭し、プラスチック素材の特長を活かしつつ落ち着きを求めて試行錯誤した選択だったのではないかと想像される。

              

 昭和29年(1954年)から40年(1965年)頃までの約10年間に約30種類以上製造された「かなりやシリーズ」はmT管トランスレス式5球スーパーラジオと思い込まれがちだが、第一号機である「かなりやA」は唯一電源トランスが使われている。

  メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA) 形式「かなりやA 5MB-42」

  受信周波数 : 中波 530KC~1650KC

  使用真空管: 6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR6(電力増幅)、5M-K9(整流)

              

 かなりやシリーズの初号機「かなりやA」を手にすると、比較的小型だがトランスレス式と比べれば一回り大きく、電源トランスが装着されているため持ち上げるとズッシリと重い。厚目のプラスチック製キャビネットは、カッチリした作りだ。
 裏蓋を外すと50年間の埃が堆積したシャーシーの上には、マツダ製のmT管とマツダと刻印されたIFTが並ぶ。シャーシー中央に電源回路を配置したため、通常のトランスレス式と異なり写真中央のIFT左隣に整流管5M-K9が位置する。

              

 
 今回も自慢がてら、友人の事務所に持ち込み、一緒に症状のチェックを行なった。
キャビネットから取り出したシャーシーの中央には電源トランスが座り、減速機構付バリコンや大型スピーカーも取り付けられ、卓上ラジオとしては堅牢な作りであるが、パイロットランプは破損しており、手持ちの新品と交換した。

              

 シャーシー裏側は、埃も少なく意外とキレイだ。 目視点検のみで通電テストに移ることとした。毎度の事ながら緊張が走る一瞬だ・・・  意を決してスイッチON!! ん?PLは点滅せず、ウンともスンとも言わない・・・ ヒーターの灯りも灯らない。
 ヒューズは正常だったのに! ??何で??どーしてなの??
テスターでACプラグの通電はOKだったのに・・・ ヒューズフォルダーの接触不良でもなさそうです。

友人曰く「ヒューズ切れ寸前だと、目視では溶断してないようでも、ヒューズ管の根本が切れかかっており、テスターの電流だと導通しても100Vの電圧がかかるとそのショックで切れることがある」とのこと。ヒューズを交換すると、無事に電源は入りました。でもまだ音が出てきません。

              
 
 ヒーター、B電圧はOKなことを確認し、シャーシーをドライバーの柄で軽く叩いてみると雑音が出る。 昔の家電製品は故障を発見・断定するために「叩く」「ひっくり返す」「揺する」といった技を使うが、怪しい・・・ボリュームが交換されており、パーツの取り付け処理ミスか?
結局、AVC用コンデンサーのリード線に半田屑が付着し、他のパーツと接触していため音が出なかたことが判明。パーツの取り付け位置の手直し、電源回路とカップリング回路のペーパーコンデンサーも交換した。

              

 修復完了後、チューニングダイヤルを回してみても感度が今一歩。おかしいな・・・と思いつつアンテナ線を伸ばし、アルミサッシの窓枠アンテナ?!に接続すると急に感度が上昇した。
 当時のラジオは基本的に「アンテナ線をつなぐ」ことを前提に設計されていることを再認識した次第である。

              

 ブリティッシュ・グリーンに見えていたキャビネットをコンパウンドで研磨し、表皮を剥ぐことで、実は深みのあるミッドナイト・ブルーであることが判明した。
つまり元々ミッドナイト・ブルーのボディーなのにタバコのヤニの黄色でコーティングされていたため、青+黄=緑 と見えていたわけだ。
 一部消えかかっているゴールド部分を再塗装するか、そのまま50年前の「味」として残すかは、嬉しい悩みでもある。

 このラジオでNHK第一放送の毎週水曜21:30~放送されている「ときめきジャズ喫茶」を聴くと、いい雰囲気だろうなぁ・・・と考えてたところに藤岡琢也さんがご病気で長期療養に入られたニュースを知った。

              

 番組はスタジオをジャズのライヴ喫茶に見立て、俳優・藤岡琢也氏と写真家・浅井慎平氏が隔週でマスターを勤める。主として藤岡はスタンダードナンバーを、浅井はジャズをアレンジした曲を中心に選曲・構成しているため、スタンダードジャズファンのみならず音楽愛好家なら存分に堪能できる仕掛けが取り入れられている。

 ある新聞のインタビューに対し、
「NHKラジオで『ときめきジャズ喫茶』って番組もやってるんです。
 昔はミュージシャンになりたかったぐらいで、不遇、下積み時代もジャズを聴いてここまでやってこれたって感謝の気持ちもあるので、世の中に良質なジャズのサウンドを提供したい。
 大人が聞ける音楽が不足してますからね。 大人を音楽で力づけたい。形はいろいろあるけど4ビートのスタンダードジャズを聴かせたいんですわ。」
と熱く語っておられた藤岡さん。じっくり治療されてラジオの向こうから再びボクらに永遠のスタンダードナンバーを届けてくださる日をお待ちしております。
 
 その時はぜひこの50年前に世へ送り出され、今こうして甦ったミッドナイト・ブルーのかなりやAのスイッチを入れて、窓越しに夜空を眺めながら「大人のときめきの時間」を味わいたいものです。

復活!かなりや 鳴いた

2005-12-11 | 東芝 かなりやシリーズ
    見事に復活した「東芝 かなりやOS」 

 緊張の一瞬・・・・息を止め、壁のコンセントにACプラグを差し込む。
不安な面持ちで、ボリューム・スイッチを右へまわし、「カチッ」っとスイッチを入る。
パイロットランプが一瞬光り輝くが、その輝きも弱々しく失われていく。
吸い込まれるように、ボクの目はその光の動きを見据えている。
「一、二、三、四・・・・」心の中で数字を数えながら、何かにすがるような気持ちで暗くなったパイロットランプに目を凝らす。

 消えかかったロウソクの灯りが再び燈るように、パイロットランプは徐々に明るさを取り戻す。
「ザザッ・・・・」 スピーカーからかすかな雑音が聞こえはじめ、パイロットランプの明るさと正比例して、その音は大きくなる。
ボクは焦る気持ちを抑え、おもむろにチューニング・ダイヤルをゆっくりと回す。

 雑音まじりに、人のしゃべり音が聞こえてくる。ボクの指は不規則に左右へとチューニング・ダイヤルを回し、その音を捉えようとする。
やがて雑音を打ちし、アナウンサーの声がはっきり聞こえてきた。
さっきまでの不安はどこかへ消し飛んでしまい、高揚感だけがどんどん膨らんでくる。

 セブンスターに火をつけ、このラジオを見つめ、NHK「ラジオ深夜便」を聴いていると、煙の向こうで幼なかった昭和30年代の情景が浮かび、動き始めた。
高い空、空き地の土管、三角ベース、裏山の秘密基地、野良猫・・・・
駄菓子屋のおばちゃん、近所のお姉さんに、友だち。

 モノが何でも手軽に安く手に入るかわりに、希薄な空気に包まれた時代に生きる今だからこそ、不便で性能も劣る真空管ラジオを前にして、その夜、ボクは本当の意味での豊かさを考えた。

              

 見事に復活した「かなりやOS」の裏ブタを開け、部屋の灯りを消すと、真空管の灯りがやさしく燈っている。
暖炉の火を思わせる、幻想的で暖かみのある光だ。

 このラジオが日常的に使われていた頃、まだ豊かではなかったけれど、チョットしたことで感動できる時代があった。
真っ直ぐに前を見つめて、大人は働き、子供も遊び、汗を流していた。
「便利」を知らないから「不便」を自覚しない日常・・・
「便利」を知った時の感動が、さらなる「便利」を求めて、明日への活力となっていた。
社会全体に、他者を思いやる「情」があった。

IT長者の無作法な企業買収の企てや、ファンドの株の買占め・売り抜けを「神業」と思うようになってる社会を、マスコミが応援し、ワイドショー好きの主婦や若者が支持してる。
コツコツ働くだけの者は、社会の隅に追いやられる。
市場原理主義、アメリカ型新自由主義・・・弱肉強食思想によって日本人を拝金主義に変えていく「公」なき手口で、日本人のアイデンティティが失われていくことを憂えてしまう。

「『一生懸命に生きる』ことが本当の豊かさなんだよね。」

暗闇に浮かび上がる真空管の灯りの向こうから、懐かしさを通り過ぎて、誰かがボクにそう語りかけてくれた。

ネットオークションで再会!・・思い出の真空管ラジオ・・東芝かなりやOS

2005-12-03 | 東芝 かなりやシリーズ
  思い出の真空管ラジオ(東芝 かなりやOS)

今年のとある日、ネットオークションを何気に閲覧し、このボロボロのラジオを見かけたときの衝撃は、言葉では言い表せることができない。
40年ちかい歳月を経てボクの目の前に現れたこのラジオは、仕事に明け暮れる両親にかわって、よく遊んでてくれていた近所のお姉さんの部屋にあったラジオです。

出品者のコメントは次の通り・・・・

『電源を入れても動きませんでした。これまで、修理もできないくせに、「私よりも大事にしてくれる方へ」という気持ちで、オークションに出品してきました。
これほどまでに心を揺さぶられたラジオは、ありません。とても可愛らしいデザインで、見ていて飽きません。普通のラジオより、かなり小ぶりで、頬擦りしたくなります。このラジオの可愛らしさが、写真に出ていないのが残念です。(こういったことは、個人的な嗜好に関する問題ですので、これまでは記帳するのを控えてきましたし、これからもそうして行く方針ですが、今回は敢えて言わせていただきました。すみません。)
初出しの為、掃除等は行っておりません。古い物ですので、経年による汚れ、錆、擦傷などありますが、特に目立つ欠損はありません。修理される方に、是非、綺麗にしてもらって、生き返らせていただきたいです。』

見習看護婦だった優しいお姉さんとの思い出のラジオを復活させたい!との強い思いが通じたのか、数千円で無事に落札することができました。

              
  かなりやOS 5LR-287 コンパクトでかわいいデザインの真空管ラジオ

 オークション終了数日後、届いた『かなりやOS』は、昭和34年(1959年)頃に製造されたmT管トランスレス・5球スーパーヘテロダイン方式のコンパクトな真空管ラジオだ。
 宅配便の箱から取り出して手に触れたとき、遠い昔の懐かしさと優しさ、淋しさ・・・まだ幼かったあの頃の情景が交錯し、何とも言いようのない気分に浸りながら、ボクはこの汚れて古びたラジオを何時間も眺めていた。

 メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやOS 5LR-287』

 サイズ : 高さ(約13.5cm)、幅(約28cm)、奥行き(約12cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)

 真空管ラジオは、年代と真空管、回路構成により、次の1.~4.のジャンルに分類されます。

1.昭和初期~昭和24年頃      ST管ストレート受信機ラジオ

2.昭和20年代中頃~昭和30年代前半 ST管スーパー・トランス付ラジオ

3.昭和20年代後半~昭和30年代後半 mT管スーパー・トランス付ラジオ

4.昭和30年代前半~昭和40年代   mT管スーパー・トランスレス・ラジオ

 戦前から高価で貴重な存在だったラジオですが、高度経済成長の胎動期であった昭和30年代から、「1人に1台」の時代へと変わっていく。
 そんなニーズから電源トランスを省略し、プラスチックの小型キャビネット、スピーカーも10cm程度の小型で安価な「mT管スーパー・トランスレス・ラジオ」が各社から売り出される。なお、その頃すでにトランジスターラジオも実用化されましたが、まだまだ高価だったようです。
 この『かなりやOS』は、戦前からのラジオ製造メーカーであるマツダ/東芝が、昭和30年代からコンパクトかつユニークなデザインのmT管トランスレス・ラジオを世に送り出し、コレクターの間でも人気の高い「かなりやシリーズ」のバリエーションの一つであることを、後日知った。
              

 思い出に浸りつつ、まずはキャビネットの裏蓋を外して内部を目視点検を開始。オークションで真空管ラジオを入手した場合、すでにコレクターの手が入った状態のものもあると聞くが、この「かなりやOS」は埃と汚れが積もり、誰の手にも触れられることなく過ぎた40余年の歳月を感じさせてくれる。
オークションや骨董市で手に入れた真空管ラジオに、いきなり電源を入れることは非常に危険です。
部品の耐用年数はとっくに過ぎており、コンデンサーが爆発したり、煙が出たり、火を噴いて火事になる可能性もあるそうです・・・・おぉ恐っ!
              
  「東芝 かなりやOS」 キャビネットから取り出したシャーシ

 次にキャビネットからシャーシを取り外し、清掃作業にトライしてみます。
詳しくは、真空管ラジオ レストアの達人である諸先輩方のホームページの記事がたいへん参考になります。

1.ツマミを取り外す。
2.キャビネット内部に見える「周波数指針」の止め金具を外す。
3.キャビネット底にある取り付けネジを外す。
4.スピーカーの取り付けネジを外す。

 この手順で、簡単にキャビネットからシャーシを取り外せるはずでしたが・・・・ツマミを取り外そうとしても、プラスチックが経年変化で固くなり、シャフトからスムーズに抜けません。
無理矢理引っこ抜こうとすると、割れてしまいます。
ボクの場合も、何とかツマミを抜いたものの、再度シャフトに差し込む時に無理矢理押し込んで、ツマミの一部を割ってしまいました。(ガビィ~ン・・・・顔面蒼白!)
 復活修理するはずの大切な思い出のラジオなのに、自分で壊してどーすんの!
ボクのことを破壊王とお呼びください・・・・
ダメ男と呼んでいただいても結構です・・・
・・・・と、一人ボケ・ツッコミを入れたところで元に戻るはずもありません。

こんなトホホなスタートで本当に「かなりやOS」は、復元できるのでしょうか。

              

 修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーは4個しか使われていない。