○パレナン四重奏団(EMI)
師匠格のカルヴェと違いケレン味の無く素っ気ない、しかしアンサンブル技術をきわめいわゆる現代フランス的な美しい表現を持ち味とする団体だ。ミヨーは厚い響きの複調性的な重奏を多用するわりに基本は南欧の牧歌的世界を軽い旋律で描こうとしていることが多い。この作品はカルテット作品でも成功した良作と思うが、それは高音域の非常に美しい旋律線を、低音域のカイジュウなアンサンブルが邪魔しない程度におさまっているせいかと思う。じっさいこの曲の旋律は旋律作家ミヨーとしても屈指のインパクトがあるからなおさらバランスよく感じられるのかもしれない。完成期以降のミヨーの緩徐楽章は前衛嗜好のあらわれた耳辛いものが多いがこの曲も多聞に漏れない。しかしここでパレナンならではの軽やかな響きが楽想の暗さを薄め、はっとさせる、そうか、ミヨーの意図は20世紀の作曲家としての辛苦を表現することではなく、この演奏で感じられるような、けだるい午後の空気感の創出にあったのだ、と。終楽章はかなり派手に表現しており、曲もそれを求めているので大団円。とはいえ、○にとどめよう。
師匠格のカルヴェと違いケレン味の無く素っ気ない、しかしアンサンブル技術をきわめいわゆる現代フランス的な美しい表現を持ち味とする団体だ。ミヨーは厚い響きの複調性的な重奏を多用するわりに基本は南欧の牧歌的世界を軽い旋律で描こうとしていることが多い。この作品はカルテット作品でも成功した良作と思うが、それは高音域の非常に美しい旋律線を、低音域のカイジュウなアンサンブルが邪魔しない程度におさまっているせいかと思う。じっさいこの曲の旋律は旋律作家ミヨーとしても屈指のインパクトがあるからなおさらバランスよく感じられるのかもしれない。完成期以降のミヨーの緩徐楽章は前衛嗜好のあらわれた耳辛いものが多いがこの曲も多聞に漏れない。しかしここでパレナンならではの軽やかな響きが楽想の暗さを薄め、はっとさせる、そうか、ミヨーの意図は20世紀の作曲家としての辛苦を表現することではなく、この演奏で感じられるような、けだるい午後の空気感の創出にあったのだ、と。終楽章はかなり派手に表現しており、曲もそれを求めているので大団円。とはいえ、○にとどめよう。