湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆スクリアビン:交響曲第2番

2016年11月22日 | スクリアビン
○ロジェストヴェンスキー指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル(bis)1972/11/26live・CD

とても聞かせる技に長けた指揮者で面白い演奏を紡ぐ職人と言ってもいい。そのため深みに欠ける場合もなきにしもあらず、この演奏も急くようなテンポで表層的なドラマ表現が目立ち、前半楽章の暗澹たる雰囲気や中間楽章の繊細な抒情などに今ひとつ物足りないものも感じるが、全体としては面白くできている。中間楽章はともかく前半楽章の暗澹たる雰囲気が至極苦手な私はいきなり楽しく聞けて寧ろよかった。初心者向けと言いたいところだが、オケがいかんせん楽譜についていっていないところが多く、録音のホワイトノイズを含めロジェストの意図を表現するに最良の状態とは言いがたい。これは曲によるものと言っても過言ではない。ワグナーへのオマージュがちりばめられた楽曲であり(1楽章前半のブラスからいきなり度肝を抜かれる人もいるかもしれない)、弦にとっては非常に弾きにくい複雑な装飾音符がえんえんと続いたり、リズムの奇妙にずれた細かい音符の多用や半音階的で独特の旋律は弾き慣れないと巧くまとまって響かせることができない。3番と2番の違いはひとえにこの部分が大きい。だからまともな2番の演奏というのは案外少ないのである。

この曲をワグネリストであるリムスキーは大絶賛しペトログラードでの評判はおおむね上々だったという。今の耳からすると豪快な楽器法や強い旋律性(作曲家ものちに恥じたあまりに恥ずかしい終楽章の旋律を代表とする)にはロシア様式が現れているし、作曲技法上の工夫、表現方法、そして与える印象は当時の最先端の音楽・・・マーラーなどの西欧音楽・・・に接近もしくは並行したものを感じさせる。何も知らないで聞くと寧ろ後者の印象が強くてロシアの曲であるという意識を持てないかもしれない。いずれ国民楽派の時代においては異端であり西欧かぶれでありながらも中間をいった異色交響曲として、マニアなら一度は聞いておいたらいいと思う。前半で寝ないこと。ロジェストが来日公演で取り上げたこともある。

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