○マッケイブ(P)(DECCA)
このアルバムではRVWの曲の次にホルストのこの曲が収録されている。その差は歴然である。余りに素朴で親しみやすいRVWの民謡風音楽に続いて顕れるこの曲は、ドビュッシー的な妖しい雰囲気の中に硬質のフレーズを散りばめた、まるで異なる視座の音楽になっている。格段に複雑だ。といっても影響色濃いドビュッシーのものより、やや特異さがあるというだけで要求される技術は下るであろう。しょっちゅう変わる不安定な調性もホルストらしい尖鋭さを象徴している。冒頭は「お、夜想曲」という雰囲気なのに、進む音楽は不気味な自動機械の徹夜操業のようだ(言い過ぎ?)。でも雰囲気は満点である。妖しいといっても南欧のぬるまゆい空気の放つ妖しさではない、冷え冷えとした金属の輝きの醸す妖しさだ。決してクラ界に溢れる夜想曲の系譜において輝きを放つ作品とは言えないものの、面白いことは確かであり、イギリス好きなら聴いてみてもいいと思う。○。
このアルバムではRVWの曲の次にホルストのこの曲が収録されている。その差は歴然である。余りに素朴で親しみやすいRVWの民謡風音楽に続いて顕れるこの曲は、ドビュッシー的な妖しい雰囲気の中に硬質のフレーズを散りばめた、まるで異なる視座の音楽になっている。格段に複雑だ。といっても影響色濃いドビュッシーのものより、やや特異さがあるというだけで要求される技術は下るであろう。しょっちゅう変わる不安定な調性もホルストらしい尖鋭さを象徴している。冒頭は「お、夜想曲」という雰囲気なのに、進む音楽は不気味な自動機械の徹夜操業のようだ(言い過ぎ?)。でも雰囲気は満点である。妖しいといっても南欧のぬるまゆい空気の放つ妖しさではない、冷え冷えとした金属の輝きの醸す妖しさだ。決してクラ界に溢れる夜想曲の系譜において輝きを放つ作品とは言えないものの、面白いことは確かであり、イギリス好きなら聴いてみてもいいと思う。○。