goo blog サービス終了のお知らせ 

湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆フランセ:弦楽交響曲

2017年12月27日 | フランス
○モーリア指揮ツールーズ国立室内管弦楽団(PIERRE VERANY)CD

フランセ晩年に自演も含め作品選集を随時出していたレーベルで、この指揮者も作曲家に近しい間柄だった。作品は小馬鹿にしたような小品の多いフランセの中では名作に類する形式音楽で、軽妙な新古典ふう交響曲に表向き見せながらも真摯さの伺える機知に富んだ作品になっている。旋律が提示されるもすぐ解体され、見通しのよさは維持しながらも装飾音的フレーズやリズム音形が交錯する無調的な雰囲気音楽と化す・・・もしくは旋律そのものが明確に形成されることなく、限られたいくつかの音を音列的に組み合わせ(隠喩的記譜法であろう)その変容に加え律動と絡み合いだけで進行させてゆく。これはフランセが一時期得意としたやり方で同盤収録のBEAセレナーデにも(あちらはもう少し世俗的にこなれている組曲だが)みられるが、作曲技巧に走った筆のすさびとみなされるような凡作も多い中では注意深く、方法が方法だけに(フランセには珍しく)緩徐楽章・部が目立つこの静かな曲では冗長感を醸す部分も少なからずあるものの、新しい印象派表現として楽しめる範疇である。スーラのような「輪郭のはっきりした数学的点描画」を思い浮かべた。大人しいオケで技術的にも弦楽合奏団にしては音色のバラケやアタックの弱さが目立ち押しの弱さが作品自体を地味に聴かせてしまっているところもあるが・・・といってもこれは近代フランスの古「雅」な作品でありドイツやロシアの重くて鋭いもの、あるいは学究的な古典合奏団のような計算的なものを目指した演奏をなすべきではない・・・現代の室内楽団はそれら主流派の影響を受けすぎて無機質高精度で押しが強過ぎるのだ・・・フランセのもうひとつの顔であるひそやかなINTIMATEで優しいものを浮き彫りにしているところは評価できるだろうか。○。

※2009-02-02 12:14:59の記事です

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆ホルスト:組曲「惑星」、冥... | TOP | ☆リムスキー・コルサコフ:シ... »
最新の画像もっと見る

post a comment

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | フランス