ワリー・コーエン(Vn)カーティス指揮スワン管弦楽団(signum)CD
押しの強い音が好みではないが、かなり誇張した表現は独特で、ヴォーン・ウィリアムズの新古典作品でこうも派手な伸縮を付けた演奏は聞いたことが無く、面白く味わえた。初手には向かないが曲を知っているなら色々楽しめるとおもう。楽団も良い意味で色のない音をソリストに添わせて適切に聞かせており、響きの純度の高さがロマンティックな曲に忍び込まされている不協和音を耳に届かせ、甘さだけでは成り立たないヴォーン・ウィリアムズの真価を問うてくる。二楽章終盤などなかなかの音世界である。問題というか解釈の問題として両端楽章のスピードが緩い。堅実にテンポをとり強いアタックによりデジタルな音色変化を確実に届かせていく、それが生硬な感もあるし、まったく新古典主義的な曲に沿った演奏でもないし、ただ計算ずくの中でしっかり聴かせたい独自の焦点については、ちゃんと脳まで届かせることに成功している。
Vaughan | |
Signum UK |