湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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チャイコフスキー:交響曲第5番

2006年07月13日 | チャイコフスキー
イワーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(MELODIYA)LP

うーん私の盤面は悪すぎる(泣)冷静な判断ができかねるなあ。このやり尽くされた曲で個性を発揮するのはなかなか難しい。異常に聞き、弾きも分析もしている私には、それゆえになかなか満足いく演奏に出会えないという代物になっている。この演奏も意志的な流れに少し個性を感じるものの、ルバートのかけ方や各楽器の表現にどうしてもスヴェトラを感じてしまう。勿論逆なわけだし、もっと直截なわけだが、二楽章のホルンソロなど想起するなというほうが難しい。ルバートの振幅はもちろん小さいし、音楽のまっすぐな筋道を重視したイワーノフらしいもので、だからといって全体を厳しくスリムに締め上げ流れを作るムラヴィン様式ともあきらかに違うし、コンドラシンの豪胆な即物様式とも違うのは言わずもがなだ。逆にそういう(決して西欧的な意味でではないのだが比較論として)中庸な解釈ぶりが余り脚光を浴びないゆえんなのかも知れない。二楽章後半は安定したテンポでやや客観が勝る部分もあるが、細かい音量操作に特徴がある。もっともこのオケではなかなか弦楽器の音色の統一を始めとする、全体を一体化して盛り上げを作るのは難しいのだが、何とかレベルは保っている感じだ。三楽章は落ち着いていて個性に欠ける。テンポは相変わらず余り揺れず、微妙な音量操作にのみ特徴を見出だせる。四楽章も落ち着いているが、展開部あたりのリズムは程よく跳ねていてよい。オケはまさにソビ響、号砲磊落なブラス(しかし細部まで隙無く上手い)に開放的な弦楽器の弾きっぷり、それらのパートのおしなべて大ざっぱな音の切り方にうーんと思っていると、何故かテンポをきっちり守る木管群、成る程いつものソビ響だ。やや客観的なままクライマックスからコーダへよどみなく進むが盛り上げがイマイチだ。御定まりのコーダの表現もイワーノフらしくインテンポでリズムを守る。開放感がない。無印。

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