湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆チャイコフスキー:交響曲第7番(ボガチレフ編)

2018年03月14日 | チャイコフスキー
○オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(COLUMBIA,CBS他)CD

長く、ほぼこれ一枚しかなかったはずである。「題名の無い音楽会」などライヴで国内試演されることはあっても全曲はなかなか聴けなかった。チャイコフスキーにそもそも興味を示していなかったオーマンディ(ラフマニノフ以降は大好きだったのに)が、恐らく「新し物好き」の範疇で手を出した編曲作品で、私はLPで聴いているのでやや音が煤けているが、それでも派手な弦楽器が繰り出す強い音楽は魅力的にひびく。曲はよく知られたとおり寄せ集めで、その中でもいくぶん原型をとどめている1楽章は面白い。直前の5番よりむしろ4番を思わせる強引だが細かく複雑な書法、激しい転調などいかにも最盛期チャイコフスキーの鋭敏な感性を示している。とくに響きの移ろいがオーマンディ盤においてはとても明瞭で、チャイコがやや(自己に)保守的になる前の野心を透けてみせる。中間楽章は3番を思わせるところのある渋いもので諸所面白いところはあるし、終楽章は5番を思わせる部分がある。

フィラデルフィア管は弦の個々人が非常に強く派手なぶんバラケを感じさせるため、求心的な演奏を好む人は避けがちかもしれない。この曲ではブラスが目立たないこともあって長所の一端が失われてしまっているようにも感じる。しかし今もって最も「聴ける」音盤には変わりないだろう。じつにまとまった1枚。現役ではないのが惜しい。

※2010-07-16 11:59:19の記事です

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