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外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

国語と英語:速読より、遅読と要約作成のすすめ

2014年04月09日 | 言葉について:英語から国語へ

  国語と英語:速読より、遅読と要約作成のすすめ


読書 1「となり百姓」という言葉があるそうです。隣が種を撒いたから、うちもそろそろね」という「主体性のない」根性を自己卑下して使う言葉のようです。私も、小浜さん(左下にブログの紹介がある)たちに倣って、このブログを始めています。英語スクールの宣伝になるかな、と思いますが。いったん、始めてみて、周りのブログを見渡すと、自己主張が多くて圧倒される一方、みんな似たようなことを言っているなという印象を持ちました。

「英語学習より国語学習を優先すべきだ」というのがその典型です。私もそういう意見をよく人に言ったり書いたりしていましたので、「私の意見も人真似みたいだなあ」と恥じ入ったしだいです。

さて、こういう書き出しで、「速読より遅読」について述べますが、このテーマも多少気恥ずかしいものです。国語、英語論と同じように、「能率至上主義 versus 本質論」の匂いがします。しかし、まだあまり言われていない(と、書き手が思っているだけかもしれませんが…)ということが、意見を述べてもよい唯一の理由となるでしょうか。

今、英語スクールの中級クラスでは、教材記事の要約(summary)をすることを生徒さんに課しています。その過程でレッスンで扱ったテキストを何度も聴き、読み、英語力がつことを期待します。(単なる「復習」より面白いでしょう。)要約作成のためには、何度も、聴き、読むのですからこれを遅読と言ってよいと思います。

が、英語習得の手段という側面と並び、要約作成の、より本質的なことは、「分かった」ということを確認する作業だということです。言い換えると、「分かっていない」ということを認識する作業だとも言えます。本や記事を読んで、聴いたあと、分かったかどうか、どのように判断するのでしょう。たいてい、「分かった気がする」ということを「分かった」と思っているのではないでしょうか。

たしかに、そうではない場合もあります。それは、行動にすぐ移る場合です。「明日までにこれ、仕上げてね」と言われて、明日、その仕事が仕上がっていなければ、「分かっていない」と看做されても仕方ありません。

broken telephone gameしかし、世の中、すぐ行動に結びつく文章ばかり読んでいるわけではないので、誤解、誤読が山のように積みあがっていくわけです。誤解に基づく誤解が生まれて、現実離れしていく怖さがあります。そこで、それを食い止め、言葉と現実をつなぎとめる作業が要約作りだといえるのではないでしょうか。要約したものを、もとの記事を聴いたり、読んだりしていない第三者に伝えて、それがそのまま「第四者」、「第五者」に伝わっても、そして、ぐるっと回って、元の人に戻ってきたとき、「違和感」がなかったら、成功です。その伝言ゲームの最初の鎖作りが、サマライズということになります。

こういうとなんだか難しそうに聞こえますが、実際は、気楽に構えていいのです。英語でも日本語でも、ニュースを聴き、読んだ人に、誰かが、「ねえ、何て言っているの(書いてあるの)?」と訊きます。そして、最初の人が、「そうですね。~~~だそうですよ」と言うことが要約作成です。このとき、第三者に伝えたいという気持ちが生じますが、その気持ちが一番大事です。さっき、「分かった気になる」と、気持ちについて否定的表現を用いましたが、<気持ち>が要約作成を支える原動力になります。心理学の語彙を使えば動機付けということでしょう。

理解実際、要約してみたものと最初の記事を比較してみると、「分かった」という気持ちが強まります。あるいは、「む?。変だ、抜かしている」、または、「無駄だな」とい気持ちに苛まれることもあります。前者は、必要条件(necessary condition)を満たしていないことに気がついたということ、後者は、十分条件(sufficient condition)が広すぎるという認識です。こうして、「理解したい」、「伝えたい」という言語活動の基本的な感情に基づき、言語習得をより正確、身のあるものにしていく過程が要約作成、遅読の意義です。

さっそく、この記事をsummarizeしてみませんか。

必要 十分-------

このエッセイの後まだ書くべきことがあります。、要約を作る(output)には意義があるが、要約を読むこと(input)に頼ることは危険だということ、また、「理解」にはもっと深い側面があるという点について、論じ足りません。深くなりすぎそうですので、しばらく後に、書くことになるかと思います…。

 

 

 

 

 

 

 

 


スパゲッティの樹 エイプリルフールの伝説的傑作 台本と訳 1957年

2014年04月02日 | 言葉について:英語から国語へ

  スパゲッティの樹 エイプリルフールの伝説的傑作 台本と訳 1957年英国製

poisson d'avril

 

4月1日は、「4月馬鹿」、エイプリル・フールでした。フランスでは、「四月の魚」(ポワソン・ダヴリル)と言って、知らない人の背中に魚の絵を貼り付けたりするそうです。『フレンチ・コネクション2』という、ジーン・ハックマン主演の映画の冒頭でその場面を見たことがあります。

 

Poisson d'avril 2

 

 

 

 

 

〇参考:ユーモアと言えばモンティパイソン(『議論』)。こちらも見てください。

今回は、エイプリル・フールの放送のなかでも、伝説的な傑作とされているものをご紹介しましょう。教室で用いたものです。テキストはこのブログのいつもの記事より少し長いです。下のBBCの番組をご覧ください。

02:25

http://www.englishclub.com/esl-videos/misc/swiss-spaghetti-harvest.htm

 古いので画像があまりきれいではありません。訳を下につけておきます。まず、日本語だけ読んで、「あれ~」と思いながら見るのも面白いですよ。

教室用のテキストには語学的注があるのですが、今回は英語と日本語の対訳のみにとどめましょう。ユーモアを説明することほどユーモアに反することはありませんから...。

え、何が面白いか分からないですって…。え~と、それは...。

 

スイス スパゲッティ①

 It isn't only in Britain that spring, this year, has taken everyone by surprise. Here in the Ticino, on the borders of Switzerland and Italy, the slopes overlooking Lake Lugano have already burst into flower at least a fortnight earlier than usual.

 

 

今年、イギリスでは、春の訪れは突然でしたが、これはイギリスに限ったことではありません。ここは、スイスとイタリアの国境にあるチッチーノ。ルガーノ湖を見下ろす山の傾斜地では、例年より少なくとも2週間早く、すでに花が満開です。


But what, you may ask, has the early and welcome arrival of bees and blossom to do with food? Well, it's simply that the past winter, one of the mildest in living memory, has had its effect in other ways as well. Most important of all, it's resulted in an exceptionally heavy spaghetti crop.

What does A have to do with B?:AはBとどういう関係があるのでしょう。


しかし、うれしくも早い蜂と花々の訪れが、食べ物と関係があると言ったら、いったいどういう関係があるだろうか、と尋ねる方もおられるかもしれません。さて、それは至極簡単なこと。過ぎし冬は私たちの記憶に残るうちでもっとも穏やかな冬の一つに数え上げられるのですが、暖冬の効果は食べ物を含むさまざなな分野にも現われているのです。とりわけ重要なのは、例年になく豊富なスパゲッティの収穫がもたらされたということです。


The last two weeks of March are an anxious time for the spaghetti farmer. There is always the chance of a late frost which, while not entirely ruining the crop, generally impairs the flavour and makes it difficult for him to obtain top prices in world markets. But now these dangers are over and the spaghetti harvest goes forward.


3月の後半の2週間は、スパゲッティ農家にとっては不安な時期です。遅霜(おそじも)が訪れる可能性があるからです。遅霜は農作物を完全に破損するということはないのですが、一般的に香りが損なわれ、世界市場において最高の価格を得ることが難しくなるのです。しかし、今、こうした危機は去り、スパゲティの収穫は順調に進んでいます。

スイス スパゲッティ2

   Spaghetti cultivation here in Switzerland is not, of course, carried out on anything like the tremendous scale of the Italian industry. Many of you, I am sure, will have seen pictures of the vast spaghetti plantations in the Po valley. For the Swiss, however, it tends to be more of a family affair.


ここ、スイスにおけるスパゲッティ栽培は、言うまでもなく、イタリアの企業による大規模農法とは似ても似つかぬ規模で実行されております。皆さんは、きっとポー川流域における広大なスパゲッティ・プランテーションの写真を見たことがあることでしょう。しかし、スイス人にとっては、スパゲッティ栽培はどちらかというと、家内農業といってよいものです。

Another reason why this may be a bumper year lies in the virtual disappearance of the spaghetti weevil, the tiny creature whose depredations have caused much concern in the past.

今年が豊年である可能性があるのですが、それにはもう一つ理由があります。スパゲッティ・ゾウムシの実質的な消滅です。この虫による損傷は過去において大きな心配の種だったのです。


After picking, the spaghetti is laid out to dry in the warm Alpine sun. Many people are often puzzled by the fact that spaghetti is produced at such uniform length. But this is the result of many years of patient endeavour by plant breeders who've succeeded in producing the perfect spaghetti.

スイススパゲッティ ③

 収穫のあと、スパゲッティは乾燥させるために、暖かいアルプスの太陽の下で横たえられます。スパゲッティがこのような均一の長さで生産されるという事実に接し、不思議な気持ちに打たれることがよくあるという人が多くいます。しかし、このように均一の長さで生産されるようになった背景には、品質改良家の長年にわたる忍耐強い努力があるのです。いまでは、完全なスパゲッティを生産することに成功しています。



And now, the harvest is marked by a traditional meal. Toasts to the new crop are drunk in these boccalinos, and then the waiters enter bearing the ceremonial dish. And it is, of course, spaghetti-picked earlier in the day, dried in the sun, and so brought fresh from garden to table at the very peak of condition. For those who love this dish, there is nothing like real home-grown spaghetti.


さて、この収穫には伝統的な食事がつきものです。新たな収穫を祝う乾杯は、ボッカリーノと呼ばれるこれらの杯で行われます。乾杯の後、ウエイターが収穫祝いのご馳走を運んできます。もちろん、その日の朝早く収穫されたスパゲッティです。それは太陽によって乾燥され、もっともよいコンディションの時に、庭からテーブルへ直接運ばれるのです。この一皿をこよなく愛する人たちにとって、本物の家庭栽培のスパゲッティに勝るものはないのです。

スパゲッティ

  ボッカリーノ



 

 

 


クイズ:「こと」と「もの」の区別  英語圏の人には分かりにくい日本語

2014年03月28日 | 言葉について:英語から国語へ

 

「こと」と「もの」の区別  英語圏の人には分かりにくい日本語

英語 green pizza

哲学者、長谷川三千子さんの著書からの抜粋です。長谷川さんが論じておられる、「こと」と「もの」の区別を、穴埋め問題にしてみました。

私の英語学校にやってきた最初の小学生(3年生)は、テーブルの上においてあったこの問題を、古語を除いてさっと解いてしまいました。問題形式になっているとすぐ解くように反射神経が形成されているのでしょうか...。

ところが、米国人の講師は四苦八苦。顔をしかめていました。

なぜ、難しいか。その理由は意味か文法か。私たちが英語を学ぶ際にもこういうことがあるのか...。判断基準を規則として定義できるか。いろいろ、頭に浮かびますが、まずは、軽い気持ちでクイズを解いてください。

答えは...、必要ないでしょう。


『日本語の哲学へ』長谷川三千子 ちくま新書866より、作成。


適語を入れよ。 文法とは「無意識に守る規則」です!。
① こと ②もの

1. なんとばかげた[       ]をしでかした [        ]だ。

2. だって教えてくれないんだ[             ]。

3. まあ、きれいなチューリップだ[          ]。

4. そうそう、この公園でよくカンけりをした[           ]だ。

5. 昨日逗子へ泳ぎに行ったんだが、まあ、人のいる[             ]、いる[              ]。

6. 若い頃にはこんな俵くらい楽々かついだ[          ]だ。

7. この宿題をやっておく[             ]。

8. 宿題は早めにやっておく[             ]だ。

9. 父さんとよくこのお店に来た[               ]だわ。

10. そいつは[           ]だ!。

11. こら、そんな[           ]言う[           ]ではありません。

12. 人生がむなしい[           ]だという[         ]が、この年になってようやくわかった。

13. 大舟を荒海(あるみ)に出だしいます君恙(つつ)む[             ]なくはや帰りませ
(『万葉集』巻十五)

14. かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根しまきて死なまし[            ]を
(『万葉集』巻ニ・86)

15. 生ける者、死ぬとふ[           ]に 免かれぬ [             ]にしあれば…
(『万葉集』巻三・460)

 

万葉集 大舟を

 

 

 

 


フィンランドのタモリ 日本語が外国人にどう聞こえるか

2014年03月27日 | 言葉について:英語から国語へ

フィンランドのタモリ 日本語が外国人にどう聞こえるか

今回は、軽い話題です。

タモリの「笑っていいとも」がもう少しで終わるそうですが、この番組が始まる前、タモリは、「密室芸」と称する出しモノで、深夜放送などで、一部に熱狂的に受けていました。英国の「お笑い番組}(と言っていいかどうか...)モンティ・パイソンの司会が、テレビのデビューだったと思います。「4カ国語マージャン」って、知っていますか。

たもり

単に「お上手」というものだけでないことは、分かる人には分かると言いますか...。まあ、あまり説明すると面白くなくなってしまいます。下の音声を聞いてみてください。

http://www.youtube.com/watch?v=SgP3hMwKjzg

 

この感覚に近いのが、ユーチューブで、百万以上ヒットし、米国での芸能人の道が開けたという、、Sara Maria Forsbergです。もうすぐ日本でも知られるようになるかもしれません。

Sara Maria Foresberg

Finnish gibberish talker finds fame, heads to US
APの記事
 
gibberishというのは、「でたらめ、ちんぷんかんぷん」
 
日本語(に聞こえる?):00:57
 
これまた、01:02
 
フィンランドのTV ヴァライエティ・ショウに出演:
02:16に、各英語アクセントの真似あり。
アメリカ、テキサス、オーストラリア、イギリスの上流階級
04:52フランス語
 
どうですか。日本語に聞こえますか。それにしても、ポーランド語とロシア語の違いなんてね。やはり世界は広い。

 

 

 

 

 

 

 

 


米国人にとって日本語は世界一難しい言語...、つまり…。

2014年02月26日 | 言葉について:英語から国語へ

  『英語教育論の進め方への疑問 - 普通の日本人にとっての英語学習は、<限られた時間で、限られた英語力を養う>ということ』の草稿より

(2018年10月、画像追加)

日本人にとって英語は難しい言語だということ....。まるでタブーであるかのように、このことに触れられません。商業的理由でしょうか…。

日本語今回、「アメリカ人にとって日本語が難しい」という、米国国務省の外交官向けデータを紹介します。

「アメリカ人にとって日本語が難しい」ということは日本語と英語の距離が離れているということで、「日本人にとって英語が難しい」ということを意味します。(日本語の文字が3種類だという点は、差し引いて考える必要がありますが)
このことを考慮に入れないで、「日本人は英語が不得意だ」、あるいは「英語教育が悪い」と言っても意味がありません。

出典は、『日本人の英語勉強法』(2013 バーダマン)。この書の評価についてはまた触れたいと思います。よい点と欠けている点があると思います。

The Foreign Service Institute (Department of State)
外交官が実際に習得にかかった(らしい)時間の言語別のリスト
いつのリストか分かりませんが、言語はそう簡単に変わらないことを考えると参考になります。

日本語は、Languages which are exceptionally difficult for native English speakersの、5言語の1つに分類され、そのうち、唯一、「特に難しい」のアスタリスク(*)マークがつけられています。つまり、世界一難しい言語 ということになります!。
ちなみに、以下の「~週間」とは、習得時間のこと。すでに外国語のエキスパートである外交官にとっての習得時間です。(「~語」は省略)

1/5 英語と密接に関連した言語:23 ~24週間
アフリカーンス、デンマーク、オランダ、フランス、イタリア、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン

2/5 英語に似た言語:30週間
ドイツ

3/5 英語から言語学的に、および/もしくは、文化的に異なる言語:36週間
インドネシア、スワヒリ、マレーシア

4/5 英語から言語学的に、および/もしくは、文化的に著しく異なる言語:44週間
アルメニア、アゼルバイジャン、ブルガリア、ビルマ、クロアチア、チェコ、*エストニア、*フィンランド、*グルジア、ギリシャ、ヘブライ、ヒンディー、*ハンガリー、アイスランド、クメール、ラトビア、リトアニア、マケドニア、*モンゴル、ネパール

5/5 英語のネイティヴスピーカーにとって習得が非常に難しい言語:88週間
アラビア、広東、中国標準、*日本、韓国

アスタリスクに注目!。

米国務省日本語難易度