プリメイラ Honolulu

袰岩奈々のホノルル・カフェぶらぶら日記。
こちらもどうぞ→ https://note.com/nana_horoiwa

田口ランディ著「キュア」読みました

2008-07-15 09:32:27 | 読んだ本
昔々、私がアルバイトで雑誌のライターをしていたころ。
メールはもちろん、ファクシミリもまだありませんでした。
なので、締め切り直前は出版社の地下にある会議室で、
睡魔や疲労、不平不満などと闘いながら、原稿用紙を埋める、
ということがほぼ日常となっておりました。

今はもう休刊になってしまった「コスモポリタン」という雑誌で
心理モノにかかわることが多かったのですが、「恋愛」や「会社の
人間関係」などというテーマが次々と降ってくるなか、
20代の経験などたかがしれているので、ライター仲間と
「どうしてる? どうだった?」と情報交換しながら、コンテンツを
膨らませては書いていたのです。

そんな寝不足のそう状態の中で思いついたのが「鶴の恩返し」のストーリー。
ライターたちが経験という羽を抜いて、ハゲチョロケになりながら、
人様にお見せできる反物を織りあげる。それをフクヘンが背負って、
売り歩く、という図です。フクヘンが男性だったのでよひょう(だったっけ?)
のイメージが出てきたのかもしれません。

前振りが長くなりましたが、ランディ氏のこの本。ブログやノンフィクションを
たんまり読んでから、読んだせいか、この部分はあのエピソードから
出てきたのかな、なんて勝手に想像しちゃいました。

作家さんたちはホントにサービス精神がいっぱいだと思います。
途中でめんどくさくなって、切って捨てたくなるようなこんがらがった糸を
根気よく、じっくりほどいていく。さらに、その糸を使っていろんな布に
織り上げていく。そういった作業をキチン、キチンとやっていく。

そして、読者である私はその布の織や風合いやデザインを
勝手に楽しませてもらえる。
ありがとう!