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仮釈放率:戦後最低…厳罰化が審理に影響 法務省まとめ

2009年06月25日 | スクラップ

2009年6月25日 2時30分 更新:6月25日 2時30分



 刑務所で満期を迎える前に仮釈放される受刑者の割合が08年、戦後最低の50.1%となったことが法務省の調べで分かった。満期出所者が仮釈放者を上回る勢いで、出所を待たずに死亡した受刑者を加えると、仮釈放の許可数を初めて上回った。仮釈放は、被害者感情を背景とした厳罰化の高まりを受け数年前から激減傾向で、厳罰化が仮釈放審理へ与える影響を鮮明にした。

 出所受刑者のうち仮釈放者の占める割合を示す仮釈放率は、戦後しばらくは6~7割台だったが、82年に50.8%に落ち込み、84~04年は55~58%台で推移してきた。しかし04年56.5%▽05年54.7%▽06年52.6%▽07年50.6%と急速に落ち込み、08年は速報値で50.1%になった。

 仮釈放は刑務所長が申し出た場合などに、全国8カ所の地方更生保護委員会が審理する。悔悟の情や再犯可能性、社会感情などを基準に、委員が是非を決める。このため、社会の処罰感情の高まりの影響を受けやすいとされる。更生保護法の施行により、07年12月からは仮釈放審理に際し、被害者が意見できる制度が導入された。施行後は、被害者感情がより強く反映されているとみられる。

 刑期を2割以上残して仮釈放を認められた受刑者の割合も、03年の45%が07年には32%に減少。満期近くまで服役するケースが多くなっていることを示している。

 仮釈放された受刑者は、本来の刑期が終わるまでは保護観察処分となり、保護司との定期的な面会や1週間以上の旅行を届け出るなど順守事項が与えられる。刑期満了までは社会内処遇期間と位置づけられる。【石川淳一】

 ◇仮釈放◇
 刑法は、懲役または禁固の刑を受ける受刑者らに更生が認められる場合、有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年経過後に仮釈放できると定める。仮釈放中に罰金以上の刑を受けたり、保護観察の順守事項に違反した場合は取り消され、刑務所などに戻される。

 ◇解説 出所者受け入れ拡充を…マイナス生む仮釈放率低下
 受刑者の多くは刑期中に家族との関係を絶たれ、身寄りを持たない。中でも満期出所者は、保護観察の続く仮釈放者と違って国の監視・保護の下から離れる。仮釈放率の低下は、社会復帰後に国の支えを受けにくい出所者の率が増加する側面を持つことを意味する。

 仮釈放者には一時的に住まいを提供する更生保護施設などの援助が受けられる他、残りの刑期には保護観察が付き、保護司との定期的な面会などが義務付けられる。

 満期出所者も、更生保護施設の援助は受けられるが、利用者は少なく、わずかな作業報奨金を手に出所直後に生活苦に陥り、再犯を起こすケースが多い。

 東日本の更生保護施設の施設長は「職と住のいずれもが安定しなければ、社会に踏みとどまるのは難しい。準備期間として、施設で生活し、保護司の支援を受けながら安定軌道に乗せる仮釈放は有効だ」と指摘する。

 また刑務所の過剰収容状態が長年続く中、十分反省し、更生の意欲も十分な受刑者を刑務所内に留め置くことは、社会コストの面からもマイナスだ。

 仮釈放許可には、出所後の帰住地確保も一つの条件とされ、国は受刑者の出所前から帰住地について面会を重ねる政策を進めつつある。出所者の安定した生活を維持させるため、国はさらに受け入れ態勢を拡充すべきだ。

 そのうえで、仮釈放率が低下を続ける現状が適切なのか、更生保護委員会の審理の在り方について議論を深めてほしい。【石川淳一】


 

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