インターネット上で特定の個人をひぼう中傷する「ネットいじめ」が社会問題になっている。ここ数年、パソコンからではなく、ケータイからのアクセスが急増し、未成年の児童・生徒が中心になる傾向がある。
インターネットの子どもへの悪影響は? 知人の教師2人に聞いた。1人は東京都内の公立中、1人は大阪府内の市立中で教えているが、いずれも「ケータイの校内使用は禁止」という。だが「ケータイを学校に預けず、授業中に使っている生徒も少なくない」「不登校の生徒を調べたら、ネットで中傷されていた」と話していた。
日記をネット公開し、それを読んだ人がコメントを書けるブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は中学生の間でも広がっている。友人の日記に、中傷コメントを匿名で書き、それを読んだ人がいたずら気分でさらに悪質なコメントを書くといったいじめが横行しているという。助言や忠告程度のコメントでも、思春期の生徒が傷つくこともあるだろう。
インターネットがない時代から、子どものいじめやけんかはあった。「ネットがない時代は、だれがだれをいじめているのかが周囲の人にもわかりやすかったので対処しやすかった」という。匿名で特定の人を攻撃できるインターネットは大人にとっても“危険な社会”だ。まして、コミュニケーション能力が発達途上にある子どもにとっては“一人歩きが危険な世界”であることは言うまでもない。
子どもの安全を守るため、ケータイ事業者各社は03年から「有害サイトアクセス制限サービス」(フィルタリングサービス)を提供している。アダルトサイトや出会い系サイト、健全とは言えないコミュニケーションサイトなどにアクセスできなくするサービスだ。今年に入り、各社がその適用を強化する方針を打ち出している。
18歳未満がケータイを契約すると、フィルタリングは必要ないと申し出ない限り、自動適用される。その詳細は次週紹介するが、子どもにケータイを持たせる際、最低限取るべき措置として覚えておいてほしい。(ITライター)
毎日新聞 2009年2月13日 東京朝刊
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます