墨汁日記

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万引き

2005-05-12 20:38:56 | 駄目
 新聞配達には「順路」というものがあり、誰さんちに新聞を配ったら次は誰さんちというふうに順番が決められている。その「順路」を書き込んだ帳面を「順路帳」と言うが、今日の話題にはあまり関係ないので、はしょっておく。

 今日も夕刊配達のアルバイト。
 俺が夕刊を配っている配達区域の順路のはじめの方は、街道沿いの駅前商店街だ。
 この街道をバイクで配達するのは、とても怖い。
 狭い道路を車が頻繁に行き来きしている。バスはいきなり停留所で停まるし、タクシーは問答無用で突っ込んでくる。自転車が飛び出し、歩行者が歩道からあふれおちてくる。
 基本的に原付バイクなので、道の端っこを走っているが、出前用の配達バイクや業務用車の路上駐車には毎回泣かされる。
 だが、この話題も今日は関係ないのではしょる。

 玩具屋。
 焼き鳥屋。
 焼き鳥屋。
 と順路どうりに配ったら、次は駅前の交番。
 たいてい、いつもここの交番は戸締まりもせず無人クンで、不用心きまわりないのだが。
 今日は誰かいる。
 三人もいる。
 交番の中で、机をはさんで制服のおまわりさんとヒゲを生やした少年が座っている。机の上にはゲームソフトがおかれてる。
 もう一人は腰に無線機をぶらさげたネクタイにワイシャツの若い男。もしかして刑事さん!

 キャー刑事さんとか思いながら、無線機をぶらさげた若い男に、手にした夕刊を渡す。

「ごくろうさまです。」

 アレ?この口調は商売人のアレだな。無線機の男は、遠慮がちに制服のおまわりさんの横に俺から手渡された夕刊を置く。
 なんだ。刑事さんではなさそうだ。どっかの店の警備員らしい。

 ヒゲをはやした少年に表情はない。おまわりさんは彼を激しく問いつめる。
「だからぁ電話番号は!?」

 警備員と、机の上に置かれたゲームソフト。

 どうやらヒゲを生やした少年は万引きで捕まったらしい。

 置かれたソフトは「ドラゴンクエスト」
 今時、ドラクエで御用か。情けない。いけてないにもほどがある。

 ところで。

 俺も万引きをしたことがある。
 小学校二年生の時。

 クラスの不良な同級生。ツモリ君に誘われて。
 当時あんまり彼とは仲が良くなかった。だいたい、彼には仲の良い友達がいなかった。
 ある日、彼に誘われ言われるがままに万引きにつきあった。

 ツモリ君は、俺があまりにとろくて頭が悪いから、手下にでもしようと思って、声をかけてくれたんだろう。
 二人とも一円も持ってないのに、西武線の「恋ケ窪」から電車に乗る。
 駅員には「僕たち幼稚園児ですから!」と嘘の自己申告。今、思えば良く乗せてくれたもんだ。
 その後「国分寺」の「西友」のおもちゃ売り場で、スプリングのおもちゃを万引きする。
 虹色に輝いていて、すごく欲しかったのだ。
 階段かなんかにおくと、スプリングの力できぃよん、きぃよんいいながら階段を下るのだ。キラキラしながら。

 でも、その後はまたツモリ君とは遊ばなくなった。俺があまりにとろくて頭が悪すぎるから、こいつは使えないと見切りをつけたんだろう。

 しかし、五年生の時。

 いきなり校内放送で俺は校長室に呼び出される。

 なんだろうと行ってみると、担任と校長に教頭。
 そしてツモリ君。

 小学二年の悪事を五年生の時に先生達にチクられたのだ。
 ツモリ君は最近の別件の万引きで御用。
 なんとか、ごまかそう。
 怒られるのがオレだけじゃごめんだと彼なりに考えて、「万引きしたのはオレだけじゃない。」と俺を含めた何人かの名前を暴露したらしい。

 さんざん先生達にしぼられた。
 そして、心に決める。「他人は信用ならない。これから悪事を働くときは一人でやろう。」

 あ。ごめん。これはうそ。
 そして、心に決める。「万引きはもう二度としない!」

 万引きは見つかるとかっこ悪いよ。
 できれば、しないほうがいい。 


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