墨汁日記

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愛に生きる(改訂版)

2007-04-29 16:37:57 | 駄目
 泰子はもう恋はしないと決意していた。
 そうしようと自分で決めた。
 女をすておばさんに安住しようと決めていた。
 恋愛を望んでも、今の私には得られるはずもないと決めつけていた。そこへ今の恋人の建治が登場したのだ。

 出会いは突然で、一旦停止もクソも無いノンストップムービーのような急展開であった。

 泰子がはじめて建治と出会ったのは、市内の公民館。

 泰子の趣味は盆踊りであった。会津磐梯山オサホケサの講習会の帰りに公民館の入り口ではじめて泰子は建治と出会った。
 建治は公民館の入り口で詩集を売っていた。

「僕の言葉を買いませんか?」

(言葉を売るんだ!)

 泰子が見ると、コピーされた用紙を2つに折りホチキスで止めて製本した『詩集』を建治は「定価190円」で売っている。
 詩集のタイトルは『大草原に生きる(囚われの愛)』というものであった。

 泰子は正直言うと、タイトルの意味が全く分からんと思ったが、建治という青年が持つオーラのようなモノに惹かれて、ついフラフラと建治の前に立ってしまった。

「お嬢さん。詩集はいかが?」

 まぁ。
 私が『お嬢さん』! 
 泰子の心はこの時に傾いたのかもしれない。


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