墨汁日記

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79才の夏

2005-06-29 20:38:41 | おくやみ
 いつからふっていたのだろう?

 朝起きたら雨が当然のようにふっている。雨は嫌いだが、今日の雨は好きになれそうだ。この雨は最近の蒸し暑さをやわらげてくれるはずである。俺はそれを希望する。

 バイト先のパン屋に行ってみると、今日は雨でパンの生産量が減っていた。生産数が減った分だけ俺の仕事は速く終わる。いつもより一時間ばかり早く仕事が終わった。仕事が早く終わってヒマなのでパン屋の二階にある休憩室からベランダに出てタバコを吸う。
 室内は禁煙だ。
 ベランダに出てみると、午前中はあんなにふっていた雨が、やはり当たり前であるかのようにやんでいた。
 なにもかも当たり前なんだなと思う。
 ただ、俺の希望どうりに、午前中の雨でかなり外は涼しくなっている。希望がかない嬉しい。

 いつの間にか、二階の休憩室には、店長のお父さんと奥さんが来ていて世間話をしている。俺とはまったく一面識もない、まるで関係のない老婦人のうわさ話。

 昨日来た救急車に連れて行かれた老婦人は、亡くなられたらしい。
 79才。

 連日の蒸し暑さが老体にこたえたらしい。
 突然、ポックリ亡くなられたようだ。俺は良く冗談でココに「死ぬような暑さ」とか平気で書いてるが、やはり死ぬ人は死ぬんだ。

 79才か。
 あと少しで、80才だ。
 天寿とも言えるが本人はあと39年は生きていたかったのかもしれないし、もう、この暑さには一時も耐えられない、もう死んじゃっていーやと思っちゃったのかもしれない。
 なんにしろ体力のない老人には耐えきれない暑さであったんだろう。
 もし、あと一日、雨が早く降れば、彼女は死なずにすんだかもしれない。

 そう思えるぐらい、雨上がりの今夜は涼しい。
 しかし、俺ももう30年以上も生きているが、老人になってからの30年ってどんな具合なんだろう。
 俺はいつまで生きられるんだろうか? 


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