要領の悪さ

　頭が良く、なんだってスイスイと泳ぐようにこなすくせに、おそろしく要領の悪い人間がいるもので、そういう人間を見ているとなんだかなと思う。
　すごく頭が良くて、知識量も半端じゃなく、ユーモアもあって仕事だって出来る。なのに、ものすごく要領だけが悪い。
（ちなみに、これは、多数の人に向けたメッセージで、誰かだけの問題ではない）

　こんな人たちは、頭が良すぎるが為に、自分の理論で自分の心を丸め込めんでいるとしか思えない。だから、疑問を疑問としない。簡単に世間の罠に引っかった自分を許せないからなのか、おかしいなと思っても罠にかかった事を自己正当化しようとする。しかも、頭が良いから、即座に完璧に自己正当化してしてしまう。
　罠にかかった事さえ認めれば、罠から抜け出す手段をすぐに見つけ出せるはずの頭の良い人間がいつまでも罠にかかったままでいて、自分を束縛するコレは罠なんかではないと論理で自己正当化し、これが当然だと自分を納得させている。
　頭は良いが要領は悪いように思える。

　俺なんかは、頭が悪いから、いつまでもグズグズと、なんだかおかしいなぁと考え続けて、あぁ罠だったんだと２０年くらいかけてやっと気がついて、罠から外れる手段を４０年ぐらいかけて考えているうちにやがて老衰死する。

　頭の良い人が罠を罠と認めたなら、すぐさまに罠から解放される手段を見つけられるだろうにと思うのだけど、なんだかどうも頭の良い人は要領が悪いようだ。