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いろ波・3 木賊色(とくさいろ)

2006年12月18日 | 色の世界

こんなところで、木賊(とくさ)を見つけました。大通りに面したビルのエントランスの軒沿いに、木賊が植わっているのです。一般的にはつつじのような花の咲く低木や、青蔦を這わせるところですが、このビルは、木賊が整然と並んで植えてあります。

古い日本家屋の庭の片隅や、雪隠(せっちん、昔玄関脇の表に有った お便所)の脇などに植えられていたものです。私も久しくお目にかからなかった植物なので都会の真ん中でビルとの取り合わせが妙にモダンで斬新な感じに見えました。

他でもデザイナーの好みで、コンクリートの打ちっぱなしの建物に沿わせて植えることもあるのかなと思いました。上野公園のように多くの植物があるところでも見かけないのですが。

このあまり一般的でない植物の木賊の色が、伝統色名の木賊色と言うことは、かっては何処ででも見られた身近な植物であったのでしょう。

鎌倉時代以降中世の物語にも木賊色の狩衣や水干の記述があるとのことです。色は木賊の色そのものの深い緑色でやや黒味をおびた色。木賊(とくさ)を知らない人や、木賊をモクゾクと読む人には、もはや色名として通用しないのではと心配するのです。

シダ植物で、多年草、およそ一寸間隔で、竹のように節のあるこの木賊がビルの軒先で健在でありました。

砥草とも書くように、この茎はサンドペーパとして物を磨くのに役立てたそうです。

ところで、深緑の木賊色の色無地のきものは、中年配の方の慶弔両用のきものとして、お勧めしています

白っぽい格調のある帯を合わせますとセミフォーマルとして、また喪の帯(染め帯、織帯)で、通夜や、法事のきものとしてお召しいただけます。


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